
こんにちは、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。
さて、福岡には、知る人ぞ知るレジェンド鮨職人がいらっしゃいます。
お店の名前は安春計。
親方は、なんと新津武昭氏のもとで修行された稀有な職人さん。
鮨好きならば避けては通れない店が福岡にある次第です。


若い頃に尻込みして訪問を延期して以来、訪問できずにおりましたが、福岡の食通友達が声をかけてくれたお陰で訪問が叶いました。
いやあ、完全に唯一無二なので、訪問して良かったです!

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「安春計」の親方は、唐津焼の巨匠である中里 隆さんに薦められて銀座「きよ田」に2年在籍し、有名な「鮨の天皇」藤本 繁蔵氏の愛弟子である新津 武昭氏の薫陶を受けられた方です。

鮨マニアであれば否応なしにテンションが上がる系譜ですね。

「きよ田」出身の職人さんとしては、唐津「つく田」の松尾 雄二親方、広島「吉鮨」の吉村 憲治親方がいらっしゃいます。
なお、「あら輝」の荒木 水都弘親方も「弟子」と表記する方がいますが、実際には弟子入りは断られたものの、「週に1回仕込みを見学できる」と言う特別対応が許可された経緯があるそうです。


新津親方の修行は全く厳しくなく、非常に紳士的であったそうです。
昔の鮨業界のスタンダードを考えると、予想外のコメントに驚きました。
なお、不思議な響きの店名は佐賀弁で、意味は「あそこ」だそうです。ご主人は店名に頓着がなく、「あそこ」で良いと考えたものの、中里隆さんが「分かりにくいから、「あすけ」にしよう」と決めて、当て字で「安春計」となったそうです。
なお、トップ写真の店内に飾られている書の揮毫は中里隆さんです。
僕は中里ファミリーの作品が大好きで集めているので、お店でも色々な器に触れることが出来て嬉しかった。

仕事については独自性の塊で、〆ものと煮ものについては堂に入った存在感を放ちます。

これは一朝一夕では体得できない、鮨職人ならではな凄みのある仕事。
タネについては正直なところ玉石混交ですが、仕事と独特の構成で最後まで魅せてくれるおまかせです。
タネと仕事の味と、自らのシャリの味とのバランスを取っている点も、若手の職人さんに味わって欲しいポイントです。

鮨の生命線であるシャリは江戸前の本寸法。
赤酢のみで砂糖は不使用となりますが、決して尖っていません。
老舗の系譜ながら温度はほんのりと温かく、パラりとほどける最適な粘度です。
握りのフォームは流麗で、捨てシャリがリズムとして組み込まれています。
乗ってくると捨てシャリ無しでスピードがアップするところが昔ながらの職人さんらしいです笑
シャリの表面にはザラつきがあるものの、タネと食べると不思議と合うのは、シャリの味付けと仕事のバランス故かな…と感じました。
「安春計」のおまかせは19,800円となり、お店の格式と現代の相場水準を考えると驚くほどリーズナブルです。
なお、「安春計」さんは一日6人のみしか予約を取りません。一斉スタートではないものの18時に入らないと品数が減るという面白い裏ルールがありますので、ご注意ください(笑)

お酒については、ビールは「ヱビス」、日本酒は「三千盛」のみとシンプルです。

肉厚で脂が乗った鰻の蒲焼きからスタートとは意外性がある。

標準和名キジハタ。西日本の夏を代表する高級魚で、極厚切り!バチッと脱水されているため、噛みしめると旨味が込み上げて、香りもふんわりと広がる。

自家製の柚子胡椒が秀逸で、柚子の香りがたっぷりでピリ辛。鰹はねっちりした食感で、酸味が爽やかかつ香ばしい。

最後に残った刺身用の妻を海苔で巻いて提供するとはお洒落。SDGsの先駆者や。薬味が贅沢になる海苔のクオリティで、食感、香り、歯切れ、旨味の全てが良い。

肉厚。キンキンに冷えていて極厚ながら、しっとりと切れる。味わいの方向性から冷製であるのは意図的だと実感する。


唐津の手前の山の上で無農薬で育てられているというきゅうり。澄んだ清涼感があり、香りが良くフルーティな印象だ。

筑後川の鮎で、四時間風干しして焼いているそうだ。皮はパリッと、身はホロッホロ。美味。

余市の鮟肝に柑橘の酸をバシッと効かせている。ポン酢が良い仕事だ。

砂糖不使用。酸味と辛味がスッキリと効いていながら、バッチリ旨いガリ。

名刺代わりの一貫目がオコゼとは何とも嬉しい!昆布で15分ほど〆ているそう。短時間ながら昆布の旨味がバッチリ乗りつつ、オコゼらしいむっちりした食感を維持している。

2貫出しが如何にも昔ながらの職人さんだ。赤身は軽やかな漬け加減の赤身。トロはサッパリ味。

新子もバシッと〆ているのが実に粋だ。塩気をしっかりと浸透させ、実にパンチある味付けである。香りが勢い良く広がる。これは古典の魅力を感じさせる新子であった。

巨大なものを上品な漬け込みで提供。シャリの塩気で食わせる古典的なバランスに惚れ惚れ。翻って煮ツメは軽い。ホロ苦さ、旨味、香りがこみ上げる。実に巧みな煮の仕事である。

塩で脱水した鯵。厚みがありつつ脂が甘く滲む。これぞ仕事の素晴らしさ!!

脂ノリノリで甘く、シャリの塩気と合う。

「フッコ」とは素晴らしい。これも脂が乗っているのでシャリの塩気と合う。むちむち、パツパツの食感だ。

基本的に墨烏賊を出すそうだが、夏はアオリイカとの談。甘味とシャリはバッチリ合う。

むっちりした食感で、白身魚が多くてもバランスを取る仕事と硬派なシャリが素晴らしい。

茹で置きの真骨頂、甘味と香りを満喫させ、シャリでキレのあるフィニッシュへと導く。

濃密!甘味が強い赤海胆だ。力強い味わいの海胆がたっぷり乗せられているが、海苔も美味なのでバランスが取れていて押し付けがましくない。

穴きゅう巻きは穴子の握りとは異なる魅力があり、個人的に【ひもきゅう巻き】と並んで大好きだ。

水菓子がメロンとはクラシックで、一周回って良い!!
「安春計」さんについては、お電話での予約となります。
店名:安春計(あすけ)
シャリの特徴:赤酢を用いつつオールマイティに合う方向性で、温度や粘度も老舗よりもモダン寄り。
予算の目安:おまかせコース 19,800円
最寄駅:薬院駅から260m
TEL:092-716-6688
住所:福岡県福岡市中央区薬院1-6-28
営業時間:18:00~
定休日:日曜
福岡で僕が好きな鮨店。




古典の醍醐味を満喫する、すしログ(@sushilog01)でした。
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