こんにちは、鶏が大好きな、すしログ(
さて、個性と高い技術を兼ね揃えていると聞いて、長らく気になっていたYAKITORI燃es。
多大な期待を寄せて訪問したところ、期待値を大きく超える満足度でした!
高級焼鳥店としては他に無い個性を確立していて、死角の無い料理構成に魅了されました。
すしログ
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YAKITORI燃(もえ)とは?
「YAKITORI燃」と言う店名はシンプルながらに不思議な響きを持っています。
オーナー料理人の阿部敏昭さんが、然=シンプルなものを、火=愛と情熱で御料理へと昇華させる、と言う思いで名付けたそうです。
阿部さんはこの道30年近いキャリアを持つ焼鳥職人。
大衆店からキャリアをスタートされ、精力的な食べ歩きによってご自身の焼鳥哲学を確立されてきた模様です。
僕は柴田書店刊行の『やきとり 11店の技術と串バリエーション』でお名前を知りました。
阿部さんがお店をオープンしたのは2002年との事で、2010年には「YAKITORI燃WEST」を開店。
「YAKITORI燃WEST」は48席と言う大箱でしたが、2021年6月に「YAKITORI燃es」に生まれ変わりました。
「YAKITORI燃es」は席数12席+個室1部屋なので、コンパクトにして表現の幅を広げた模様です。
そして、「YAKITORI燃es」を人気店たらしめているのが、焼き手の沼能大輔さんです。
「YAKITORI燃WEST」の頃から技術に定評があり、実は僕は「YAKITORI燃WEST」に行きたいと思っていました。
なので、閉店と聞いて残念に思ったところ、アップグレードしたお店で再開された時は、率直に嬉しかった。
沼能さんの焼きについては、噂通り大満足です。
食感のコントラストを強く感じ、香りや火入れ以外に食感も連続性に貢献していると感じました。
純粋に美味しく、しかも独自性の高い焼き方で、さらにサプライズもあります。
鮨のように焼鳥も進化していることを実感する鶏料理です。
YAKITORI燃で使用する鶏肉
「YAKITORI燃」では愛媛県いなほ農園の「媛っこ地鶏」を使用しています。
性別はメスのみ。
「媛っこ地鶏」の出荷日齢は80日以上150日までで、飼育方法は平飼いもしくは放し飼い。
銘柄鶏ではなく、紛れも無い地鶏です。
YAKITORI燃では出荷後に丸鶏のまま2週間ほど熟成させてから使用されるそうで、食材のクオリティのみならず、一仕事加えてから切り付けと串打ちを行っています。
その結果、旨味を実感する鶏肉で、沼能さんの火入れも相まって、他の味覚と食感を独特に楽しませて頂くことが可能です。
また、「媛っこ地鶏」以外にも食材のクオリティは高く、野菜類も美味しいです。
鶏肉以外だと、ホロホロ鳥や「七谷鴨」を使用されています。
「七谷鴨」は墨田区鐘ケ淵の名店である「鳥田中」さんでも使用されていますね。
他に有名どころでは、「NARISAWA」でも使用されている筈です。
YAKITORI燃esのコースの詳細
「YAKITORI燃es」のコースは8,800円のお任せのみです。
お酒を飲んで1.5万円~2万円弱なので、焼鳥店としては上位の高級店になります。
…が、内容的にはコストパフォーマンスが高いと感じました。
ひとえに焼鳥をコース料理として高度に表現しているため。
また、ワインが日本ワイン主体であるところも素晴らしいです。
この度頂いたお酒
- スノーブロンシュ・ジャパン・ホワイトエール
- Vinoble Vineyard Sauvignon Blanc 2020
- Tsuno Wine Makiuchi Vineyard Unfiltered Chardonnay #6-B
- 小布施ワイナリーSogga Pere et Fils Syrah et Pinot Noir 2019
- 而今、純米吟醸
- 若駒、美山錦70 無加圧採り 無濾過生原酒 2020BY
ペアリングコースは用意されていませんが、おまかせで頂くのが面白いです。
お酒がお好きな方は、ご相談してみると楽しいかと思います。
下手なペアリングコースのお店よりも、よっぽど精度が高くて個性的なペアリングを行ってくださります。
スノーブロンシュ・ジャパン・ホワイトエール
前菜
右から、炭のグリッシーニとジャガイモと鶏のテリーヌ、チキンのビスケット、ブーダンノワールとアマゾンカカオのビスケット。
コース主体の焼鳥店としては申し分ない前菜の盛り合わせ!
見た目、ポーション、個性の全てを揃えている。
テリーヌはジャガイモも鶏も風味があって、香りで食欲を刺激する。
チキンのビスケットも香ばしく、これは「大人の高級おっとっと」と言うべき逸品(笑)
ブーダンノワールはコクがあり、香りも上品で、ビスケットとの相性も良い。
前菜を頂き、並の高級焼き鳥店でないことが歴然であると分かる。
媛っこ地鶏のコンソメ
ベタ付かず、クリアながらに旨味があり、酸味が個性的なコンソメだ。
同時に鶏の香りも漂わせ、焼鳥店として良い助走の付け方だと感じる。
媛っこ地鶏のもも肉
タタキ状に焼いている。
炭火焼きに加えて、藁で即席のスモークを掛けているようだ。
皮はカリリと食感良好、スモーキーフレーバーもあり、五感に訴えかける。
赤身は柔らかく、脂はとろり。
そして、酸味と野趣がじわりじわりと味を引き締める。
見た目以上に考えられている御料理で、食材の選択と調理の選択が合致している。
サラダ
認識できた範囲で、ロマネスコ、ミニトマト、モロッコインゲン、落花生、紫人参、素揚げのカボチャ、ナスタチウム、パプリカ、エディブルフラワー、ナス、サツマイモ、むかご!
種類豊富!
白ワインビネガーベースのフレンチドレッシングも美味。
ここでお待ちかねの串が登場する。
媛っこ地鶏のせせり
くにゅっくにゅっと食感をムチャクチャ活かしている火入れだ!
脂がありつつ、サラリと流れる脂の質。
ごく軽く山椒を振っているようで、軽いピリリとした痺れがある。
ぼんじり
カリッ、じゅわっと裏切らない味。
やはり脂のクドさがないので、序盤でも嫌味にならないぼんじりだ。
茶碗蒸し
出汁の香りと具の選択が魅力で、白マイタケ、ハナビラタケ、菊花。
超滑らかな口当たりで、とろっとろ。
鶏のゼラチン質が出ていて、塩気は穏やかで旨味を活かしている。
ねぎま
もも肉とネギを皮でくるんで焼いている。
オーソドックスな【ねぎま】を料理として再構築している点が素晴らしい。
しかも、バランスが良い。
火が当たる範囲を調整することでネギの甘みと香り、食感が活きる。
そして、皮のホロ苦さが上品に引き締める。
Vinoble Vineyard Sauvignon Blancの後に登場した、Tsuno Wine Makiuchi Vineyard Unfiltered Chardonnayとの相性も良い。
新銀杏
もっちりと食感が良く、香ばしくて甘い。
つくね
媛っこ地鶏と七谷鴨のブレンド。
甘みと酸味に脂が混ざり、噛み締めるほどに乳化するつくねだ。
火入れはミディアムレア。
表面はカリッとしている。
斬新なつくねに心が躍る。
クリームチーズとフレッシュいぶりがっこ
いぶりがっこではなく、大根の漬物に燻製オリーブオイルを掛けている!
なんてお洒落な。
良い香りだし、新鮮な楽しさがある。
レバー
ぷつっと弾け、とろりととろける。
香りも血の味も濃くない。
クセが無いのにコクがあるレバー。
鶉の卵
出汁が利かされていて、これは「超トロトロな味玉」だ。
小布施ワイナリーSogga Pere et Fils Syrah et Pinot Noir 2019
レバーパテ
洋梨のコンフィチュールとともに。
メチャクチャ美味しいレバーパテ!
コクが強く、クセが無く、それでいて血の香りはふんわりと楽しませてくれる。
スパイスも良い塩梅だ。
笹身の紫蘇巻き
叩き梅を乗せて。
しっとり、ほろり、じゅわり。
笹身の味が薬味の香りと一体化して爽やかな串に仕上げている。
低温でじっくりと火入れしている模様。
日本酒にスイッチ。
而今、純米吟醸から。
椎茸
じゅわっとエキスが滲み、スッキリ目の椎茸。
旨く、香りを穏やかに楽しませる。
炭の香りも良い。
火入れで水分を飛ばしすぎていない椎茸の仕事。
ここで、追加オーダータイム。
本数を指定しておまかせで追加する。
2本頂いた。
七谷鴨のロース
肉質がしっかりしていて、上品な香り。
…だが、炭の香りの後に鴨の香りが追い掛けてくる。
鴨好きには嬉しい美味しさ。
砂肝
巨大!
じゅわっ、コリッコリっと、これは美味しい。
臭みは無し。
快感こそが砂肝の魅力だと気付かせてくれる切りつけと火入れである。
ホロホロ鳥の振り袖
ガリッガリに焼き込み、噛みしめると脂がじゅわっと溢れ出る。
そして、身はしっとり、ホロホロ。
付け合わせは柚子胡椒味噌か?
鶏ラーメン
秀逸な味わいで、下手なラーメン店を凌ぐ美味しさ。
もの凄いゼラチン質と旨味だ!
調味料は白醤油か?味付けも良い。
麺はふにゅっとして反発を見せる、媚びない感じの麺。
スープの奥深さと麺の個性が焼鳥店のラーメンを超越している。
そして、何よりも塩分濃度と油量に関しては、バランスを崩している淡麗ラーメンの人気店よりも上だ。
YAKITORI燃esの立地と雰囲気
お店は六本木交差点からほど近い場所にありますが、路地裏なので静かで落ち着いています。
そして、明かりがついていないと、お店だと分からない外観です。
店内には重厚感が漂い、ゆとりある席の配置です。
焼き鳥店離れしたラグジュアリー空間で驚きました。
あたかもステーキ屋さんのようなので。
高級焼き鳥店は割烹風にすることが多いので、個性を感じる内装です。
BGMは無く、その点においても上質な空間です。
シックにまとめられていますが、温かみもあり、それはスタッフの方々の接客の賜物だと思います。
YAKITORI燃esのお店情報と予約方法
「YAKITORI燃es」さんのWEB予約は、OMAKASE経由のみ可能です。
店名:YAKITORI燃es(やきとり もえ えす)
予算の目安:コース8,800円
TEL:03-6455-4554
住所:東京都港区六本木7-13-10 宮下ビル1F
最寄駅:六本木駅から150m
営業時間:18:00~23:00
定休日:日曜、不定休
※完全予約制です
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