個性と実力、ホスピタリティを兼ね揃える!白金の「鮨まつうら」

鮨まつうら暖簾

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

さて、「美味しくて、サービスが良くて、リーズナブルな鮨店」と聞いて、気にならない人はいませんよね。

この度ご紹介する白金の「鮨まつうら」さんは、正にそのような鮨店です。

オープンから1年以上の間は口コミでひっそりと話を聞く優良店でしたが、2021年に入り春頃から人気が急上昇したように感じます。

すしログ

6月に確認して、8月の予約が何とか取れる状況だったので、すぐさま予約をさせて頂きました!

現在も人気が高まっている状況で、リピーターも多いようなので、気になる方はお早めに予約されるのが良いと思います。

少人数制である鮨店はパンデミック下でも強いな…と実感します。

まつうら鮪赤身

お客側は感染対策を日々バッチリ行い、貴重な外食の機会を大切にしたいものですよね。

口うるさいことは言いたくありませんが、「お店(飲食空間)はお客みんなで共有させて頂いている」と言う意識が、より重要になっている局面であるのは間違いありません。

すしログについて

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☆「すしログ鮨会」のご案内は、すしログの公式LINEにて
★noteに、各種グルメマガジンを連載しています!
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「鮨まつうら」の松浦修親方とお店の魅力

「鮨まつうら」の親方、松浦修さんは愛媛県出身の鮨職人です。

18歳で地元、宇和島を離れ、最初は魚屋さんに就職されたそうです。

その後、鮨職人に転身し、幾つかのお店で研鑽を積まれました。

 

最初は今やグローバル企業となっている「鮨 銀座 おのでら」に入り、ハワイやロサンゼルスの新店立ち上げを担当されたと言う、輝かしいキャリア。

その後、表参道「ます田」、恵比寿「鮨 来主」の二番手を経て、2019年9月に独立されました。

すしログ

海外店の立ち上げをされた後に、実直な修行を重ねられている点が粋ですね。

松浦親方は叩き上げの職人さんですが、その確かな技は味に結実しています。

「鮨まつうら」の魅力とは?

「鮨まつうら」さんを訪問して感じた魅力は、下記の通りです。

  • 米酢主体の美味しいシャリ
  • 魚の食感と香りを重視する仕事
  • 他とは「ちょっと」異なるセンスのある酒肴

まず、鮨の「生命線」であるシャリが魅力的です。

まつうら白烏賊

ぱらりとほどけるシャリは、硬すぎず、お米の甘みを感じさせます。

硬めではなく、もっちりと炊いている感じで、羽釜か土鍋で炊かれているのは間違いないです。

 

酸味は比較的穏やかで、塩気がキリッと立っているところが特徴です。

酸味が上品なのでお米の甘みを引き立てているように感じ、同時に赤酢の旨味もあります。

香りはヨコ井の輿兵衛らしいが、味は穏やかで、米寿をメインに使用されている模様。

お話を伺ったところ、輿兵衛は10%未満との事でした。

 

そして、松浦親方は魚の扱いに妙があり、特に食感と香りを重視する仕事であると感じました。

脂や旨味を強く打ち出す当世のトレンドとは少し異なります。

構成として力強い味わいの魚も結構混ぜられていますが、食べ疲れせず、魚の魅力を多角的に提示されるところが魅力だと感じました。

 

その結果、鮪の脳天やノドグロ(アカムツ)と言った脂が強いタネを用いても、メリハリが効いて上品にまとめられています。

今のトレンドを半歩先に進めるような構成に好感を覚えました。

 

さらに、酒肴も魅力的です。

全体的に手数の多い「料理」にせず、「鮨店の酒肴」の範疇に収めつつ、ちょっとしたアレンジを加えて他に無い酒肴を作られています。

例えば、定番の煮蛸で下ごしらえと火入れで独特の食感を生み出したり、ノドグロを酒蒸しにして脂を落としつつノドグロらしさを引き出したり。

まつうらノドグロ

使用する魚種も豊富なので、オーソドックスすぎず、意外な出会いも期待できる点が心ニクいです。

味付けも程良く、特に甘みを落としている点は洒脱な味だな…と感じました。

 

また、元・魚屋さん故かセンス故か、魚の仕入れが巧い印象を受けました。

鮪の仲卸が稲良商店である点などにも、仕入れ価格をお客に高額転換しないポリシーを感じます。

 

唯一、残念であったのが、光り物の〆ものが無かった点。

鮨店で〆ものが無いと、残念に思います。

しかし、河岸に小鰭も無かったとのことなので、これは自身の食運のせいだと思うほかありません。

 

押しなべて満足させて頂いたので、予約の難易度が高まっている点が悔しいところです(笑)

「鮨まつうら」のおまかせの詳細

「鮨まつうら」さんのおまかせの価格は16,500円です。

鮨バブルの世の中では非常に好ましい価格設定です。

 

そして、コースが握り主体である点も嬉しいです。

コースは酒肴5品、握り14貫、椀、玉子で構成されます。

あくまでも握り主体の鮨店こそが、本物の鮨店です。

同じく白金にある「鮨いまむら」さんも「鮨 島津」さんも全て握りを重視されているのが、本当に素晴らしい。

白金は優良鮨店の密集地帯になっていますね(笑)

 

この度頂いたお酒

まつうら新澤醸造愛宕の松スパークリング

  • 新澤醸造・愛宕の松スパークリング1,100円
  • 惣邑・純米吟醸・酒未来
  • 三井の寿・純米Coccinella
  • 大澤酒造・明鏡止水・純米朝日
  • 楽器正宗・特別純米Queen
  • 播州一献・純米超辛口

日本酒は1合1,320円~で、半合ずつ多種類頂くことも可能です。

 

「鮨まつうら」さんは、酒器も大変素敵です。

バリエーションに富んでいるので、写真でご紹介します。

まつうら酒器01

可愛らしい波佐見焼き。

まつうら酒器02

まつうら酒器03

まつうら酒器04

 

鮪脳天の海苔巻き

まつうら鮪脳天の海苔巻き

ボストン産。

脂はトロトロで、ネギが良いアクセント。

海苔の香りがしっかりしているので、脂を受け止めてくれる。

当世流の脂嗜好に応え、食欲を刺激してくれる一貫目であろう。

 

煮蛸

まつうら煮蛸

横須賀産。

蛸らしいぷにゅぷにゅ感と皮のくにゅくにゅ感を両方残しつつ、柔らかく仕上げる方向性。

香りも良い。

味付けは甘みがあり、煮蛸らしい味わいだ。

身はサックリと切れながら鮹らしい食感を楽しませる調理に好感を覚える。

 

アラ

まつうらアラ

佐渡産。

旨味も甘みもあり、喉にコクが残るほど。

そして、野趣ある香りが持ち味。

ほのかな血の香りのような香りがワイルドだ。

4日寝かせているそうで、身はしっとりしていて、皮目はブチブチと力強い食感。

 

鮎の甘露煮

まつうら鮎の甘露煮

3日煮ているそうでしっとり、ホロホロ。

味付けが甘過ぎない点と、肝の苦みも楽しめる点が魅力の甘露煮。

有馬山椒とともに。

 

まつうら鰻

鹿児島産。

なんと津本式で血を抜いて5日寝かせている鰻。

臭みが無く、鰻の香りを楽しめる。

クリアに風味と鰻らしいつ脂を同時に味わわせる仕事に大満足。

鰻は恐らく養殖モノで、熱源はガスと思われるが、仕事によってポテンシャルを高めている。

 

ノドグロ(アカムツ)

まつうらノドグロ

最近人気を高める対馬のブランド、紅瞳ベニヒトミ

提供方法が良い。

酒蒸しだ。

脂が乗っている身はとろりととろけるようだが、しっとりした繊維質もあり、香りも残っている。

また、サッパリ味の味付けも良い。

ノドグロの脂を落としつつ脂を楽しませる仕事であり、ノドグロの出し方として良い選択肢だと感じた。

 

ガリ

まつうらガリ

甘みがありつつ、穏やか酸味でスッキリ味。

あっさりフルーティな方向性のガリ。

 

太刀魚

まつうら太刀魚

江戸前で、小柴産。

自家製の煎り酒とみじん切りの玉葱で頂く。

これまたセンスを感じる提供方法。

混ぜて乳化させて頂く今や一般的なスタイルだが、アクセントとなる調味料並びに薬味が凡庸でないところが良い。

 

まつうら鯵

出水産。

脂が強く、むっちりした身に効果的に包丁を入れて、とろり感を一層高めている。

同時に香りも楽しませる切り付け。

夏らしさを力強く楽しませる名刺代わりの一貫目に喜ぶ。

 

白烏賊

まつうら白烏賊

むっちりした食感と、とろりととろける食感を味わわせる包丁の入れ方。

また、酢橘の使用量にもセンスを感じる。

酒肴の鮹も同様だが、食感を強く意識されている点が嬉しいところだ。

 

カンパチ

まつうらカンパチ

長崎産。

シャリを変えて温度を上げている。

よって、かなり良い感じに乳化する。

脂がクリーミーに乳化するが、食感はむちむちで、パッツリ切れる気持ち良さもある。

 

タイラギ

まつうらタイラギ

愛知産。

甘みと繊維質のほどけ方を楽しませる包丁だ。

そして、磯の香りが高まってゆく。

 

メイチダイ

まつうらメイチダイ

鹿児島産。

さくりと切れて、ホロホロとほどける繊維はシャリに合致する。

そして、とろりと乳化。

さらに、香りを楽しませる。

 

白海老

まつうら白海老

甘く、かすかにホロ苦い。

酢橘少量を効果的に使用している。

 

鮪赤身

まつうら鮪赤身

初手で酸味が届き、香りもあり、血の余韻ある香りが強い。

サッパリでありつつ野趣のある味わいは、夏鮪としてもクールな感じだ。

 

鮪大トロ

まつうら鮪大トロ

濃密な脂と甘みは、いかにもボストンらしい。

包丁で歯切れを良くしていて、仕事がきめ細かい。

 

車海老

まつうら車海老

唐津産。

茹で上げで、むっちりむちむちな食感を楽しませる。

ミディアムレアを意識されていて、良い火入れ。

だからこそ、苦味が気になった点は残念。

 

イクラ

まつうらイクラ

8月上旬で新モノ!心から嬉しい。

出汁漬けにしているので、走りのイクラの淡い味を出汁がサポートする。

旬への期待を高めてくれる、走りに頂く喜び。

 

海胆

まつうら海胆

加工業者は小川(厚岸郡浜中町)だが、産地は礼文島と利尻島のミックス。

濃厚な甘みと旨味は旬の北海道モノだな~と実感する。

これは訪問の少し前に、荒木町のわたなべさんで西の海胆を食べ比べしたからこそ強く感じた。

 

穴子

まつうら穴子

表面は炙りでからりと、身はホロホロに仕上げる煮加減。

身には甘みがありつつ、表面の醤油の風味が蒲焼き的な趣向で、これは印象深い。

産地は一般的な対馬であるが、明確な仕事を打ち出している。

 

まつうら椀

アラ汁の味噌汁で、アオサ、浅葱入り。

かなり濃厚!

「魚介白湯」的なゼラチン質の濃度に驚く。

しかし、決してクドくない。

 

玉子

まつうら玉子

アオサ入りの出汁巻き玉子。

 

干瓢巻き 追加

まつうら干瓢巻き

Twitterで「干瓢普及活動」を宣言したので、コースにない場合は追加する所存!

「鮨まつうら」さんの干瓢は食感が強めで、ゴリゴリとワイルド。

味付けは甘みが利いていて、醤油は控えめ。

塩気は十分あるが、醤油の風味が前面に出てこない塩梅だ。

シャリの酸味の上品さが分かる。

 

水菓子

まつうら水菓子

黒糖のシャーベット。

甘みがスッキリしていて美味しい。

さらに、お酒とのマリアージュを楽しませるところが面白い!

玉川 Time Machine 1712(2019BY)

まつうらマリアージュ

熟成感の香りある酒で、混ぜることで香りが広がり、ラム酒的な方向性となる。

センスのある試みで最後まで笑顔だった。

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鮨まつうらの立地と雰囲気

お店は白金高輪のグルメエリアにあります。

この界隈は駅から徒歩10分くらい離れていますが、本当に良いお店が多い。

 

お店の外観はキリッとしていますが、白金高輪と言うハイソな街において緊張感を強いる意匠ではありません。

まつうら外観

「リラックスして入って欲しい」と言うメッセージが込められているように感じます。

 

店内は8席のL字カウンターで、こぢんまりしていて寛げます。

自然と穏やかに笑顔がこぼれるような雰囲気が素敵です。

親方のきめ細かい粋な接客と相まって、実に心地良い空間です。

鮨まつうらのお店情報と予約方法

お店のWEB予約は、食べログ経由で可能です。

ただ、人気が高まっているため、直近の予約は埋まっています。

しかし、少し遅い時間ならば取れる日もあるそうです。

もしも直近の訪問を希望されていて、時間帯を気にしない人は是非!

その場合、お電話での確認&予約になります。

鮨まつむら(食べログのリンク)

 

店名:鮨まつうら

シャリの特徴:米酢主体で輿兵衛の使用は10%未満。お米の甘みや食感を楽しませる良きシャリ。

予算の目安:おまかせ16,500円

TEL:03-6450-2557

住所:東京都港区白金5-7-8 ウイング綱島1F

最寄駅:白金高輪駅から650m

営業時間:お昼(土曜のみ)12:00~14:00(L.O.13:00)、夜17:00~23:00(L.O.20:30)

定休日:日曜、祝日

 

関連記事のリンク

修行先の一つ、「鮨 銀座 おのでら」

同じく白金高輪にある名鮨店

鮨いまむら

鮨 島津

 

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