上質な琉球宮廷料理をカジュアル&リーズナブルに!赤田風

外観

沖縄で琉球王朝宮廷料理の名店と言えば、美榮(みえ)。

創業は1957年となりますが、戦後に「琉球料理を復興」すべくスタートし、今や最高の格式を持つ料亭とみなされています。

僕は4年ほどまえに伺い、素敵な時間を過ごさせて頂きました。

そして、今回ご紹介する赤田風(あかたふ)さんは、美榮で包丁を振るってきた元料理長の方のお店です。

多くの方がイメージする「沖縄料理」とは異なる「琉球宮廷料理」をリラックスした雰囲気で、リーズナブルに頂けるのが、赤田風(あかたふ)さんです。

赤田風の城間健さんと「琉球宮廷料理」について

ご主人の城間健さんは、もともと美榮で料理長をされていた方です。

1948年の首里生まれで、料理人になられたのは28歳の頃との事です。

そして、修行から独立までずっと美榮にいらっしゃったそう。

つまり、2021年で45年の料理人ならびに琉球宮廷料理のキャリアをお持ちになる凄腕の方です。

45歳で独立したそうなので、お店の歴史としても既に30年弱あるのが、赤田風さんです。

 

ちなみに、琉球宮廷料理とはどのような料理かご存知でしょうか?

この問いに即答できる方は決して多くは無いと思います。

琉球宮廷料理は王族である尚氏に伝わる料理であり、琉球王朝時代に中国の冊封使や薩摩の在番奉行をもてなすために発達した、饗応料理になります。

他国の宮廷料理と同様に、もてなしの精神と王族の財力と見栄が合わさる事で、調理技術的にも様式的にも洗練されて進化を遂げました。

当然ながら元々は王侯貴族を中心とする上流階級のみの料理でしたが、明治以降に一般家庭に広がり、今の沖縄料理へと発展していきます。

 

しかし、現在でも「琉球宮廷料理」でしか頂けない御料理が幾つか存在します。

前述の美榮の創業者である古波藏登美さんは、最後の琉球国王である尚泰王の四男で美食家と言われた尚順の流れを汲む琉球料理研究会に所属し、琉球料理の研究に勤しみました。

その結果、失われつつあった琉球料理の保全に成功し、多大な手間が掛かる琉球料理が継承されています。

 

最後に、個人的に考える琉球宮廷料理、沖縄料理の特徴としては、以下の5点です。

  1. 食材の独特性:島野菜、海藻、豚肉、豆腐の多用
  2. 出汁の特殊性:強い鰹出汁に豚肉と豚骨の出汁を合わせ、さらに昆布に加えて、野菜出汁も用いる
  3. 調理法:中国料理に似ている調理法が見られ、油・脂を使用し、生食が少ない点も共通点となる
  4. 料理の思想:中国由来の「医食同源」の考えが強い
  5. 器:宮廷料理においては琉球漆器を多用し、陶器、磁器も古来より発達している

「豚肉の珍重」と「強い鰹出汁」は本州の伝統的な饗応料理とは趣を異にするのが、今なお頂いて面白く美味しい理由かと思います。。

赤田風の立地と雰囲気

内観

お店は首里城すぐそばにあり、宮廷料理のお店らしい立地です。

地図を見ると駅から少し離れているように見えますが、ゆいレールの首里駅から550m~600m程度なので、徒歩でも問題ありません。

駐車場もありますが、琉球宮廷料理は泡盛と合わせると魅力が倍増しますので、車の場合は代行を検討されてください!

 

お店は「宮廷料理」らしく凛々しい佇まいです。

しかし、お店の内装については、肩肘を貼らずに寛げる雰囲気。

修行先の美榮は沖縄瓦葺きの一軒家で重厚な雰囲気でしたので、赤田風さんは琉球宮廷料理が初めての方でも安心して訪問出来ます。

赤田風の御料理のコース内容(実際に頂いたもの)

コースは3つあります。

  • 7品コース4,400円
  • 10品コース6,380円
  • 12品コース8,690円

僕が頂いたのは【10品コース】で、その理由は【12品コース】との御料理の違い。

【12品コース】に付いてくる2品は【花イカ盛り合わせ】と【豆腐ヨウ】になります。

【花イカ盛り合わせ】は美榮さんで頂いた事があり、調味よりも調理が先行し、様式が魅力と言える料理ですので、今回は【10品コース】にしました。

【花イカ盛り合わせ】を食べたことが無い方は【12品コース】が面白いと思います。

 

ちなみに、【7品コース】と【10品コース】の違いは、【ポーポー】【ミヌダル盛り合わせ】【昆布イリチー】の有無となり、口直しが前者では【もずく酢の物】で、後者が【耳皮さしみ】になります。

7品と10品であれば【10品コース】の方が個人的にオススメです。

いずれにせよ、シンプルに他に無い味を楽しませてくれる名店である事は明白です。

【10品コースの内容】

  • ポーポー
  • 中身のお吸もの
  • 芋くずアンダギー
  • ミヌダルの盛り合わせ、田芋唐揚、苦瓜梅酢漬
  • 昆布イリチー
  • ドゥルワカシー
  • 耳皮さしみ
  • ラフテー
  • ジューシー
  • デザート

瑞泉

43℃の瑞泉を頂きましたが、水割りで頂くと甘みが引き立てられ、ストレートやロックで呑むよりも遥かに美味しい。

そして、御料理に実に合う。

ちなみに、瑞泉酒造さんは赤田風さんの至近にあります。

ポーポー1

ポーポー

漢字で書くと包包。
小麦粉を用いた皮で温かく、中に肉味噌を包んでいる。
生地はもっちりした食感で、肉味噌は生姜を利かせつつ、豚肉の風味もある。
美味しいポーポー。

中身のお吸い物

中身のお吸もの

個人的に琉球宮廷料理の華と考えるのが、【中身のお吸もの】。
【中身汁】として知られる家庭的なものとは大きく異なり、懐石料理における椀と同じ重要性だと考える。
赤田風のさんの味は、酸味も感じる鰹出汁に豚肉出汁を上品に合わせて、ヒハツモドキ(ピパーチ)を軽く利かせた吸い地。
実に端正な味わいの吸い地で、最後にピリッと辛味が走るヒハツモドキも良いアクセント。
流石に中身(ホルモン)の下ごしらえは抜群で、非常に柔らかく、臭みは無く、それでいてほのかな香りを楽しませてくれる。
これは知らずに食べた方は「湯葉」だと思うのではないだろうか?
非常に美味しい。

芋くずアンダギー

芋くずアンダギー
紅芋を葛で溶き揚げているので、軽いもっちり感がある。
紅芋の自然な甘みと香りが魅力的で、食感も良く、軽やかなサクサク感を楽しんだ後にとろりととろける。
食感の変化も楽しいアンダギー。

ミヌダル

ミヌダルの盛り合わせ、田芋唐揚、苦瓜梅酢漬

【ミヌダル】は下味を含ませた豚肉に黒胡麻をまぶして蒸したもの。
調理法的に和食ではなく中華の影響を色濃く感じる一品だ。
豚肉はしっとり柔らかく仕上げていて、胡麻の香りが食欲をそそる。
【田芋唐揚】が密やかに存在感が強く、黒糖の香りをまとった田芋は個性的な味わいで、沖縄情緒もある。
【苦瓜梅酢漬】は甘みを利かせ、梅酢の香りと酸味がゴーヤーにピッタリ。
甘み・酸味との好相性を学ばせて頂いた。

クーブイリチー

昆布イリチー

クーブイリチー。昆布は細切りで、柔らかさと歯ごたえの両方を楽しめる細さならびに炒め加減。
豚肉は三枚肉ではなく三枚肉のスーチカー(塩漬け)か?

ドゥルワカシー

ドゥルワカシー

非常に滑らかな口当たり!
そして一体感が半端ない!
田芋の甘みに加えて、椎茸と豚の旨味が渾然一体なドゥルワカシーで完成度が高い。
豚肉の香りもあるので、力強い味わいで、かなり美味しいドゥルワカシーだ。
余談となるが、中身のお吸い物やドゥルワカシーのレビューを見ると、食べ手がどの程度食べ込んでいるか容易に分かる。

ミミガー

耳皮さしみ

ミミガーと胡瓜、もやしを落花生と和えた御料理で、甘酸っぱく落花生の香りが嬉しい和え物。
ミミガーの食感を上品に楽しませる包丁使い。

お食事

お食事:ジューシー、ラフテー、ウサチ

ラフテー

ラフテー

とろっとろで、とろける!
そして、繊維質はホロホロ。
味付けは濃すぎず、これは誰が食べても分かりやすく美味しい逸品だろう。
ゴーヤーは極薄切りにして塩で脱水していて、シャキシャキ。

ジューシー

ジューシー

鰹出汁の香りが最後に盛り上げてくれる。
旨味がたっぷりなジューシーで、豚の脂が米粒に浸透し、細切り昆布もたっぷり。
具は他に人参、細かく刻んだ蒲鉾と、大変オーソドックスな仕様。

パパイヤ

デザート

完熟のパパイヤで美味!
香りも甘みも熟れていて、内地で食べたあらゆるパパイヤよりも美味しい。

リラックスして頂けますので、沖縄で宮廷料理を食べたことが無い全ての方にオススメできます。

赤田風のお店情報・予約方法

予約はお電話のみとなります。

僕がお電話した時はすぐに繋がりました。

 

店名:赤田風(あかたふう)

予算の目安:

TEL:098-884-5543

住所:沖縄県那覇市首里赤田町1-37

最寄駅:首里駅から550m

営業時間:18:00~23:00

定休日:日曜

※完全予約制です

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