すしログ:名古屋に輝く三河前の鮨店!硬派な鮨好きにオススメする「鮨 功」

鮨功暖簾

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

さて、気が付けば人気鮨店が増加した名古屋。

そのうち複数軒は半年以上先の予約が埋まる予約困難店となっている模様です。

多数ある名古屋のお店から今回選んだのが、鮨功すしいさおさん。

例によって握りの写真を見て決めたのですが、想像以上の美味しさでした。

鮨功縞鯵

すしログ

早乙女親方の鮨職人らしい接客や細部へのこだわりも印象深く、これは再訪したい!と、すぐに思った次第です。

正直なところ、人気になりすぎたら厄介なので本当は紹介したくないのですが(笑)、このような時世ですので、紹介したいと思います。

鮨 功と早乙女親方について

鮨 功の親方は早乙女慶さん。

功さんではありません。

早乙女親方は東京出身ですが、名古屋の「鮨 土方」で10年間修業されたそうです。

「鮨 土方」は現在食べログでナンバー1の鮨店になっていますが、早乙女親方がその地位まで高めた功労者である事は紛れも無い事実と思われます。

 

早乙女親方は接客が清々しく、ご自身の哲学や美学を明確に持っておられ、考えをハッキリ言われる素敵な方です。

実に鮨職人らしい方で、僕は名古屋で職人らしい職人さんに出会えたことを嬉しく思いました。

昨今、お客さんに媚びて歌って踊るような方も増えているので、職人らしい職人さんには拍手を送りたくなります。

 

早乙女親方は東京出身ですが、あくまでも「名古屋らしさ」にこだわります。

「東京スタイルの鮨はやらない」と言うハッキリした意志があり、名古屋らしさを出すことを目指されています。

魚介類の多くは三河産、東海産のもので、日本酒も東海地方の酒蔵のもの、器は瀬戸物のみと徹底されています。

すしログ

中でも器については、唐津焼きなどで格好良いものがあっても瀬戸物を使うという、ブレないポリシーが実に素晴らしいと感じました(笑)

 

そして、繁華街にあるためか26時まで営業をされていて、ランチ営業まである点は凄すぎです。

2019年5月6日のオープンながら、既に固定客が多数おられ、東海地方でも「通好み」の実力店だと感じました。

 

なお、親方は追々、月に何回かお弟子さんが握る日を作りたいと語っておられます。

その心は、ご自身が「握るために独立」されたため。

若手にもステップアップの機会を作るという心意気は、今の時代に合っていると感じます。

すしログ

東京の多くの人気店でも、早い段階でお客の前で握るシステムを採り入れ始めています。

これこそが、「従来の修行(徒弟制度)」と「修行不要論」の折衷案なのかもしれません。

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鮨 功のシャリと仕事について

さて、次に鮨功さんの味についてご紹介します。

早乙女親方のシャリは、独特です。

酸味が穏やかと思いきやタネによってはキリッと利いていて、まろやかさもある優しいシャリですが、塩は回っていて上品かつ端正。

赤酢を用いつつキリッとした方向性であると同時に、万能タイプのシャリを切られています。

独特の味わいなので伺ったところ、お酢は「三重県、熊野のものを使用」とのことでした。

おそらく御蔵酢かと思われます。

 

硬さは標準的で、温度は良好。

交換時ですら温度のブレが無いので、管理が非常に良いと感じます。

握りは捨てはあるものの手数が少なく軽妙に握られていて、終始安定感があります。

 

タネの仕事は一見するとオーソドックスですが、魚の特性を見極めて的確に調理されています。

そのように感じた理由は、地物の魚を巧みに使われているためです。

例えば、金目鯛や穴子は、東京だとピン(一級品)と呼ばれる産地のものが使用されます。

そして、その判断基準は昨今だと脂の含有率に左右されることが多い印象です。

しかし、早乙女親方は敢えて地物・三河産や東海産で勝負されます。

 

金目鯛も穴子も脂の含有量で言うとブランド産地のものに劣りますが、味わいとしては決して劣らない魅力に仕上げているのは、親方の仕事とシャリの賜物です。

すしログ

魚の脂の含有量で「これはピンだ!」と判断し、鮨店の良し悪しを「レビュー」する鮨の食べ手が増えましたが、鮨の妙味はさに非ず。

魚の特性を把握し、魅力を引き出し、自らのシャリと合わせて高度な握りに昇華させるのが鮨の妙味であり、良き鮨店の証左です。

早乙女親方はその試みを実践されているので、間違いなく今後名古屋を代表する職人さんになると感じた次第です。

 

なお、山葵はお昼でもバッチリ本山葵で、大きな山葵を直前におろされています。

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鮨 功のコースの詳細(実際に頂いたもの)

以下は2021年7月上旬に頂いた、7,700円のランチコースの詳細です。

 

蛤の茶碗蒸し

鮨功蛤の茶碗蒸し

口当たりは滑らかで、余計な味も具も加えていない点が清々しい。

具も出汁も蛤。

あくまでも蛤を楽しませる茶碗蒸しで、初手から琴線に触れた。

薬味も柚子皮がほんの少々使用されているだけで、センスを感じる。

茶碗蒸しは手を加えるほどに魅力が低下するリスクがある料理。

 

鮎の春巻き

鮨功鮎の春巻き

皮が少なめで、体の部分には大葉を巻き、爽やかに仕上げた春巻き。

鮎の肝の苦みと香ばしさを楽しませてくれる、良い酒肴。

 

ガリ

鮨功ガリ

薄切りで、非常に強い歯ごたえのガリ。

酸味が強く、辛味はじんわり。

甘みがありつつバランスが良い。

 

縞鯵

鮨功縞鯵

寝かせて柔らかくなった身に、細かく包丁を入れているため、歯切れが良い。

歯切れが良いことで、すぐに香りが立ち、縞鯵の香りを楽しませてくれる仕事と見る。

夏の力強い香りでスタート。

 

鮨功鱚

しっとりと柔らかい〆下限で、とろりとシャリに合致する。

 

スズキ

鮨功スズキ

地物。香りをふんわりと楽しませる。

縞鯵、鱚、スズキと頂き、実に良い流れだと実感する。

全く浮ついたところがない。

季節の変化を上品に楽しませてくれる、これぞ鮨の導入部だと思う。

 

蟹の赤味噌焼き

蟹の赤味噌焼き

酒肴にピッタリで、お酒を飲んでいたら…と後悔(笑)

 

金目鯛

鮨功金目鯛

蒲郡産!東京だと伊豆もしくは銚子のものがメインなので、意外な地物で興味津々。

頂いてみたところ、大変勉強になり面白かった。

食感はむちっ、しっとり、さらりとしていて、金目鯛らしい脂がありつつ、あくまでもスッキリしている。

香りと酸味を楽しめる金目鯛だ。

金目鯛に濃密な脂を求める口には合わぬだろうが、これはこれで魅力ある味だと個人的には思う。

 

タイラギ

鮨功タイラギ

甘みを感じた後、最後にタイラギらしい旨味とホロ苦味がじんわりと奥歯に広がる。

歯切れを良くする包丁使い。

 

ボタンエビ

鮨功ボタンエビ

むちっと反発を示した後、すぐにトロトロととろける。

甘みが強く、同時に香りも楽しませる、一体感重視の寝かせ仕事。

 

甘鯛

鮨功甘鯛

松笠焼きにした甘鯛に、甘鯛頭の出汁とかき玉の餡、ほうれん草。

甘鯛はバッチリ、パリパリかつしっとりに焼き上げている。

甘鯛に甘鯛の出汁を合わせる点で感性が合う(笑)

素朴な具材を足しているところも嫌味がなくて好き。

 

北寄貝

鮨功北寄貝

トロトロの後にコリッコリと強い食感を示し、甘みとともに滋味が高まる。

タネとシャリの温度のバランスが良かった。

 

鮪中トロ

鮪中トロ

産地は境港なのでまき網の可能性があるが、味は非常に良かった。

脂が強く、そして夏らしい酸味もある。

何よりも身が柔らかい。

血合いギシの部分を選ばれているためだろう。

なお、仲卸は豊洲ではなく地元の市場を通されているとのことだ。

 

鮪大トロ

鮨功鮪大トロ

脂は見た目ほど強くはなく、さらりとしている。

同時に、酸味もある

つまり、如何にもな夏の大トロの味わいだ。

筋が少し強いので、包丁を効果的に入れていて、仕事も良い。

 

鮨功鯵

三重産。

ぷりっとした身に脂がたっぷり乗っていて、香りも良い。

これは味わい深くて良い鯵だと感じた後に産地を伺った。

早乙女親方は鯵に力を入れているそう。

鯵と言えば出水(鹿児島)に始まり、浜田(島根)のどんちっち鯵が人気を集めているが、地物で美味しい鯵を開拓されている姿勢には頭が下がる。

これこそが地方の鮨の面白さ。

地方なのに豊洲から引っ張りすぎると面白さが薄れ、長期的なビジネスは難しくなってしまう。

なお、浅葱と生姜の合わせ調味料を噛ませている。

 

海胆軍艦

海胆軍艦

礼文産のバフンウニ。

たっぷり乗せて頂いているが、甘みは濃密すぎず、爽やかな印象がある。

夏の北海道らしい。

 

穴子

鮨功穴子

三重産。

対馬産ではなく敢えて東海産を使用されている点が嬉しい。

もともと対馬よりも脂が少ない魚体のようだが、ホロッホロに柔らかく煮ていて、旨い。

同時に香りも楽しませる。

これは仕事で魚を旨くする、鮨らしい仕事。

旨い魚を使うのだけが鮨ではない。

 

鮨功椀

アオサ入りの赤出汁で、名古屋らしい。

旨い。

 

玉子

鮨功玉子

しっとりかつホロッホロな玉子焼きだが、特にソフト!

スフレ的な食感だが、過度にスイーツ志向に寄せていない。

 

贅沢な太巻き

鮨功太巻き

お休みの前だったことと、店内が盛り上がったことを踏まえて、スペシャルな太巻きを作ってくださった。

夏の鮪で作る太巻きは非常に旨い。

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鮨 功の立地と雰囲気

鮨功さんは名古屋きっての歓楽街(であり水商売のお店が多い)錦エリアにあります。

祖に伴い、ビルは結構怪しい雰囲気…

しかし、女性のお一人客も多いようですので、ご安心ください。

 

店内も温かみのある数寄屋造りを少し崩した内装です。

カウンター6席と小上がり4席(掘りごたつ)で構成された店内は、こじんまりとしていて落ち着きます。

 

鮨店に「劇場」的な要素を求める方には向きませんが、親方のお話を伺いながら鮨と向き合いたい方には最適な空間かと思います。

鮨 功のお店情報と予約方法

WEB予約については、食べログ経由で可能です。

鮨 功(食べログのリンク)

 

店名:鮨 功(すし いさお)

シャリの特徴:赤酢を用いつつキリッとした方向性であると同時に、万能タイプのシャリ

予算の目安:お昼7,700円・11,000円・14,300円〜、夜16,500円〜

TEL:080-8262-5991

住所:愛知県名古屋市中区錦3-9-5 ピボット錦ビル2F

最寄駅:久屋大通駅から350m、栄駅から600m

営業時間:お昼12:00~14:00、夜18:00~26:00

定休日:不定休

 

【関連記事(名古屋でお気に入りのお店)】

名古屋は久々だったので、訪問から時がたっているお店が多いですが、きっと今も良いお店たちです

花いち@浄心

すし 弥助@桜山

あま木@久屋大通

 

間違いなくリピートしようと思う、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)でした。

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