すしログ日本料理編 No. 59 草喰なかひがし@銀閣寺道(京都府)

春にお伺いして感銘を覚えたなかひがしさん。

この度、秋に気が置けない友人と共に再訪しました。

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全国でも特に好きなお店の一つなので、心から楽しみにしつつ。

再訪しても前回抱いた感動は全く色あせず。

京都の山野の恵みを頂く喜びに満ちており、季節を変えて再訪する楽しみがあると感じました。

(料理を俯瞰しての感想は、前回のポストをご参考ください)

この度、頂いた料理は下記の通りです。

八寸

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ワラビの葉、モロッコインゲンのエゴマ和え、揚げ栗、クロカワの揚げ物、枝豆といちじくの酢の物、銀杏、目刺しの焼酎漬け、落花生、素焼きの林檎、チカのスモーク入り生春巻、ミョウガの押し寿司。

冒頭から八寸と言うのもグッと来るが、あまりにも多品種なところが魅力。

枝豆といちじくの酢の物は黄粉酢で合えており、印象的。

目刺しは焼酎漬けにする事により、良い意味で鰯のクセが強まっており、酒肴的に昇華。

チカのスモーク入り生春巻は、チカをスモークサーモン的なアクセントに使用している。

ミョウガの押し寿司は酢漬けミョウガの酸味と鱧の旨味が穏やかに調和。

クロカワの揚げ物はサクサク、カリカリに揚げ、塩気をやや強めに利かせつつ、苦味を活かしている。

料理好きとして、非常に刺激になる八寸である。

高級素材を用いた日本料理の対極に在って精彩を放つ八寸だ。

椀もの

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ハロウィン前だから…とカボチャを用いた椀。

素敵なユーモア。

カボチャは京野菜の鹿ケ谷(ししがたに)南瓜。

炒り焼きにした種をまぶしており、香ばしい。

カボチャの椀と聞くと甘みを想像するが、主張し過ぎぬ甘みで、香りが芳醇。

出汁は塩気を強めにしつつ、味噌との塩梅が丁度良い。

白味噌の椀だと大徳寺一久も美味しいが、こちらは椀種との掛け算が面白い。

鮎の焼きもの

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上弦の月をイメージした皿。

子持ち落ち鮎の焼きもの、ソースはみかんのジャム。

むかごとみかんのジャムの取り合わせが興味深い(相性も良い)。

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鮎はカリカリ、ふわふわに焼いており、卵はジューシィ。

頂いて、こちら出身の召膳 無苦庵のご主人の仕事(焼き方)に類似を感じた。

今年最後の鮎となったが、焼き方にも様々な方法がある事を学べた。

なお、鮎の脇の唐辛子は赤い方も万願寺。

鯉のお造り

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こちらで驚嘆に値する一皿。

3ヶ月の間、地下水で浄化した鯉はクセが皆無。

そして、前に頂いた時よりも脂が強いように感じた。

旨味がねっとりと舌に絡み、味が濃い事によって薬味や調味料との一体感もアップ。

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薬味、あしらいはとんぶり、ノビル、ハスイモ、芥子菜、花オクラと多様。

醤油と山椒の味の加減と香りのバランスが良く、実に印象的な逸品である。

煮えばな

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炊き合わせ

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蓮根餅、生小豆の蒸し焼き、蕪、キノコ、生姜。

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蓮根餅はみっちりと力強い歯応えで、香りが抜群。

一見すると地味なフォルムだが、その実、香りの多重奏が箸を止めない。

各素材の香りが複雑に絡まり食欲をダイレクトに刺激し、匂いフェチには堪らない(笑)

もちろん、香りだけでなく風味も抜群だった。

牛肉の焼きもの

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例によって笹鰈と選べたが、放牧牛をチョイス。

前回は北海道産だったが、この度は丹波篠山産。

ソースは万願寺のソースに加えて、アカヤマドリタケ(フランスのセップ茸)と面白い。

肉は脂が乗っているが、サッパリ。

付け合わせのエゴマの葉、山葵菜に加えて、マコモダケが甘みしっかりで美味しい。

こちらは野菜の引き立て方も魅力の一つ。

ちなみに、「ヤマドリタケ」がイタリアのポルチーニを指すとの事。

お浸し

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野三ツ葉、モロヘイヤ、オクラ、椎茸、錦糸瓜。

圧倒的な椎茸の旨味に加え、出汁の加減も良い。

お食事

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オクラとミョウガの味噌合え

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こちらのご飯は本当に美味しく、面白い(笑)

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水菓子

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みかんゼリーの上に鎮座するのは何とバジル豆腐アイス。

そして、更にバルサミコ酢を。

添えられた果物は生姜を利かせた梨、マスカットベリー、トマトの原種。

トマトの原種はホオズキっぽいけれどトマトの香りがあり面白かった!

またお伺いするのが心から楽しみになるお店です。

店名:草喰なかひがし(そうじきなかひがし)

食べるべき逸品:ご主人自ら採取された山野草を混じえた摘草料理

の目安:お昼6,000円、8,000円のコース、夜12,000円、15,000円、18,000円のコース

最寄駅:元田中駅から1,300m

TEL:075-752-3500

住所:京都府京都市左京区浄土寺石橋町32-3

営業時間:12:00~14:00、18:00~21:00

定休日:月曜

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