すしログ:江戸前源流の仕事を継ぎ、鶴八の技を駆使する名職人!神保町の鮨處はる駒

はる駒暖簾

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

さて、神保町で鮨通が舌鼓を打つ鮨店と言えば、鶴八つるはち

江戸前鮨源流の流れを汲み、初代親方の師岡幸夫氏が開いた一門です。

その鶴八で二代目として1998年から2017年まで漬け場に立たれていた方が、田島道弘氏です。

今回ご紹介するはる駒さんこそが、田島親方が20年を経て2018年に独立されたお店です。

鮨處 はる駒の親方・田島道弘氏について

田島氏は、鶴八の師岡親方のもとで修業をされた後、ご一家の栃木に戻られたそうです。

しかし、師岡親方からお声がけがあり、二代目として暖簾を継がれました。

その後、2017年12月に田島氏と師岡親方の店子契約が終えたため、鶴八は一時閉店。

鶴八は田島氏の兄弟子である石丸久尊氏が2018年4月に三代目を襲名して復活し、田島氏は自らのお店を開かれ、2018年7月にはる駒をオープンされました。

 

鶴八初代の師岡親方は「握りの神様」と呼ばれた加藤博章氏の薫陶を受けた職人なので、二代目を継がれた田島親方の技術も堂に入っています。

特に〆ものや煮ものと言った仕事は他の老舗にも無い個性を確立しています。

奇抜な事をせず、ただ正道に向き合い続けて個性を確立する職人こそ、名職人と言えるでしょう。

新たな仕事を生み出すことも鮨の進歩の為には必須ですが、肝心の〆ものや煮ものがなおざりだと、職人としてはいつまでたっても半人前と言われてしまいます。

新たな仕事を生み出す職人さんが凄いのは、新たな仕事の基に確固たる伝統技術があるところです。

 

僕はかなり前に鶴八時代の田島親方の握りを頂きました。

お好みのみで「好きなものを好きなだけ」頂くスタイルと、古い仕事の数々に魅了されたものです。

鶴八時代は雰囲気的に結構ストイックな印象を覚えましたが、独立後のはる駒さんは朗らかな雰囲気です。

 

鮨處 はる駒の雰囲気と立地、お好みでの頼み方

学生街の神保町にありますが、お店は路地にあるので閑静です。

路地に入り暖簾をくぐって入るお店は、ちょっとしたノスタルジーがあり、銀座の高級店とは異なる気持ちで鮨と向き合えます。

 

店内は全く豪奢ではありませんが、粋を感じさせる内装です。

白木のカウンターは磨かれていて、店内の空気は清浄。

暖簾や壁に掛けられた額に趣があり、席についてタネ札を見るだけで、テンションが高まります。

 

「タネ札を見て、好きなものをちょっとずつ頂く」のが、「お好み」と言うスタイル。

鮨に詳しくないと怖いな…と思う方もいらっしゃると思いますが、全く恐れなくて大丈夫です。

本当に、好きなものを頼んでいけば正解なので。

 

強いて言うなら、個人的には以下の流れが好きなので、ご参考にどうぞ!

  1. 白身魚や烏賊などの淡白な味のもの
  2. 貝類や蛸など淡白だが香りの強いもの
  3. 光物(脂が強くない光物=小鰭、春子など)
  4. 光物(脂が強い光物=鯖、鰯など)
  5. 軍艦巻き
  6. 穴子などの煮もの
  7. 巻物

 

田島親方が考える「鮨店」と「鮨店の酒肴」について

田島親方は「お客の好きなように食べて頂くのが鮨職人」、「お客が好きなときに訪問できるのが本当に良い鮨店」と考えておられ、「おまかせ×回転制」の現代のビジネスモデルの対極のスタンスを取られています。

 

また、金目鯛やアカムツ(ノドグロ)などの脂の強い魚は「出す必要性が無い」、「本当に江戸前の仕事に合うならばもっと前に先輩方が出していたはず」と仰います。

さらに、田島親方は厳密に旬や魚の旨い時期を見極めておられ、過ぎたら使用しません。

これはタネ数を削ることの裏返しなので、職人としてのストイシズムだと感じました。

純粋に「味」だけでなく「精神性」を学ばせて頂ける職人さんだと確信します。

 

そして、今回気付いたことがあります。

それは、鮨店の酒肴とは「切る」ことにあり。

はる駒さんの酒肴は「切った魚」だけです。

これは、鮨店として握りを食べて欲しいと言う想いがあるためでしょう。

昨今の鮨店は酒肴を工夫していて、それはそれで非常に面白い試みです。

しかし、行き過ぎはダメだと、当ブログでは昔からお伝えしています。

鮨店の酒肴は行き過ぎる(凝り過ぎる)と無粋です。

 

工夫されていても、「握りのための助走になる酒肴」こそが最適だと思います。

今回、同行者の若い方が「つまみをください」と言う代わりに「切ってください」と言う姿を見て、粋を感じて、このような思いを再認識しました。

酒肴が進化するのは面白いですが、「酒肴が美味しい鮨店」と言われてしまうと、黄色信号だと思った方が良いです。

 

鮨處 はる駒の握りの詳細(実際に頂いたもの)と予算

シャリは米酢と赤酢をブレンドして、赤酢の角を限りなく落としたもの。

赤酢特有の旨味は穏やかで、酸味は強すぎずないものの確かに立つ塩梅。

塩気は穏やかで、温度はやや低いものの気にならない範疇です。

米粒はもっちりしていて、見た目はギュッとしているが、口の中でぱらっとほどけます。

総じて、これぞ職人技と感じます。

 

親方の手返しのスピードは速く、返した後に指をしっかりと利かせるところに妙があります。

特に親指が力強く、リズミカルで爽快な握り方です。

 

この度は酒肴1品、握り10貫、巻物2種(をシェア)、日本酒1合頂き、13,000円弱でした。

お酒をガバガバ飲むお店ではありませんので、15,000円くらいを見れば問題無い筈です。

すしログ

こちらは写真撮影NGで、メモも取りませんでしたので、記憶より執筆いたします!

 

鯛の昆布〆(酒肴)

強く脱水して、むっちりと凝縮させるクラシカルな〆の仕事。

しかし、鯛の味を消さずにあくまでも封印している点が見事。

皮目の食感も楽しませてくれる点もベテラン職人さんならでは。

 

ガリ

新生姜を使用していて、シャキシャキな薄切り。

甘みが軽やかで、酸味は強くなく、辛味が新生姜らしくスッキリと抜ける。

 

アオリイカ

きめ細かい松笠切りを入れて、軽い湯霜にする仕事。

よって、アオリイカながらに食感が際立ち、トロトロ感は無く、強い食感を楽しませてくれる。

 

真子鰈

もっちりした食感で鮃とは異なる旨味と香りを感じさせる。

走りの真子鰈で初夏への期待を高めてくれる。

 

肉厚な切りつけなので大丈夫??と思うが、実際には柔らかく歯切れが良い。

それでいて繊維質を感じさせ、しっとりとほどける。

柔らかさと食感のバランスに、流石ベテランの田島親方だと実感する。

蛸は実に奥深い鮨種だ。

若手職人さんに懇願するがアカムツ(ノドグロ)を使うくらいなら、煮蛸を使って個性を競って欲しい!

食べ手も脂が多い魚でキャーキャー言うのは、そろそろ卒業しよう。

 

酒肴で頂くのとは異なる魅力がある。

同じサクなのに非常に面白く、シャリへの感謝の念がふつふつと湧いてくる。

 

大型の鯵で仕込みが美しく、身の色はピンクで美しい。

直前に酢洗いするクラシカルな仕事。

旬はこれからだが、脂が乗っていて旨い。

 

赤貝

名残の赤貝だが香りが良く、旨味も詰まっている。

小型なのでヒモも握る。

 

平貝

甘みが強いタイラギ。

磯のにおいや雑味が皆無。

 

小柱軍艦

食感と甘みを楽しませてくれる。

海苔も美味しい(丸山のもの)。

ちなみに、なぜ「小柱」と言うか教えて頂いた。

「大柱」はタイラギを示し、その対比でアオヤギの貝柱を「小柱」と称すようになったそうだ。

由来は東京湾でタイラギもアオヤギも獲れた時代にさかのぼる。

 

オボロ巻

甘みが上品で、海老の香りを楽しませてくれる。

オボロと海苔巻の相性は極めて高い。

 

穴子

煮含めてあり、直前に炙らずとも香り良く旨い穴子。

煮ツメは濃くて好みのテイストだが、穴子の味と調和していて前面には出てこない。

バランスが良い。

 

干瓢巻

柔らかくも食感を感じさせる煮加減。

山葵を使用しないクラシカルなスタイルだ。

 

玉子

握りで頂く。もちろん鞍掛けのスタイル。

みっしりした玉子で酢飯との相性が良い。

鞍掛けで頂く玉子の握りは江戸前鮨好きにとって癒やしだ。

 

鮨處 はる駒のお店の情報と予約方法

予約はお電話のみです。

お昼の営業も12時半からされていますが、事前にお電話してからお伺いしましょう!

鮨處 はる駒(食べログのリンク)

 

店名:鮨處 はる駒(すしどころ はるこま)

予算の目安:12,000円〜15,000円ほど

最寄駅:神保町駅から150m

TEL:03-3511-2557

住所:東京都千代田区神田神保町2-14

営業時間:お昼12:30〜、夜17:30〜 ※電話で要確認のこと

定休日:日曜

 

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お好みで頂く鮨の喜びを噛みしめる、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)でした。

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