![鮨きよし](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/68e5ff6e77d1f02e3c0c8d65c90d493c-1024x683.jpg)
こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
銀座「久兵衛」に25年も勤められて独立された職人さんがいる、と聞いてお伺いしました。
浅草「久いち」の出口親方が17年なので、まさか四半世紀も勤める方がいらっしゃるとは!
訪問したところシャリを3種類使用されていて、独自の路線を追求されていました。
![すしログライブラリー_アイキャッチ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/910017e372204aeb3368ce8ca768f40c-160x160.png)
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「鮨きよし」の酒井 清志親方は上記の通り「久兵衛」に25年勤められた後、2019年8月に独立されたそうです。
店内は席数10席ながらかなり広く感じる大型のL字カウンター。
フロアの接客スタッフが3名、握り手が3名、他にもお弟子さんがいらっしゃるようで、結構な大箱です。
![鮨きよし看板](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/7854d7c3554bdfbde3b01fdb7f50cc81-1024x682.jpg)
オーナーがいるようで、同じフロアの「鮨 酒井」さんも系列との事です(親方の姓と名で店名を分けるとは斬新)。
お店の特徴としては、シャリを3種類使用される点です。
大阪の「おおはた」さんが名付けた「ロゼ」を含め、赤酢、米酢の3種類を併用されています。
そして、各シャリへの配慮も凄い。
煮キリにも工夫が光り、甘味のある煮キリや出汁醤油も使用している模様です。
シャリについての詳細は以下のとおりです。
握りの前にシャリ玉の食べ比べからスタートする構成です。
米酢のシャリ
![米酢のシャリ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/7586eece12fc9388759a2f23afe20116-1024x680.jpg)
五島・福江島、福島さんの無農薬「にこまる」。
粒はもっちり、炊き加減良し。
米酢はキリッと酸味が効いて塩気もやや強めの仕様。
お酢はミツカンの白菊か?
赤酢のシャリ
![赤酢のシャリ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/bf0ab36574a4dc7c6acaed9e21485cfd-1024x680.jpg)
飛騨高山、今井さんの「龍の瞳」。
コシヒカリの1.5倍のサイズを誇る大粒の品種で、言わずと知れた復活の高級米だ。
赤酢はかなり力強いコクと香りがある。
ヨコ井の與兵衛か私市だろうか?
ロゼのシャリ
![ロゼのシャリ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/167ee158adff1cf59a312deebfd8ff79-1024x680.jpg)
群馬県・川場村の星野さんの「ゆきほたか」。
粘度が最も強い。
赤酢の旨味に白酢の酸味が加わり、良いバランスだ。
全てハッキリと違いが表れされていて、これは楽しい!とテンションが高まりました。
しかし、このシャリの食べ比べが最高潮となりました。
その理由は、握りの圧力が強すぎる為です。
食べ比べ(シャリ玉)では問題無かったものの、タネと共に握られると途端に米粒が圧で押されて密着して、お米の良さを全く感じられませんでした。
その理由は明白で、2点。
鮨の形にこだわっている点と、4人分の握り溜めをされる点です。
結果的に自ずと力強く握り込まれ、おにぎり状の酢飯となっています。
更には握り溜めで温度が低下するので、シャリ玉食べ比べの時の適温が実現されていませんでした。
「鮨の神様」と呼ばれた加藤博章氏は下記のような言葉を残しています。
力を入れるな、形にこだわるな
形にこだわって味を落とすな
形にこだわって手返しを増やしたものは無価値
形が悪くても少ない手返しで作った方が上
師岡幸夫『神田鶴八鮨ばなし』
今はインスタなどで美しい鮨の写真を数多く見ます。
しかし、料理において形状と本質は別。
本記事を見られている若手の職人さんは、「見た目<<<<<味」である事を頭に叩き込んでおくと将来的に輝かしいキャリアになると確信します。
「鮨 きよし」さんのコースは、夜は【店主のおまかせコース24品】33,000円ですが、お昼は【握りコース20品】14,500円がありリーズナブルです。
ただ、お酒については要注意。
WEBに掲載されている【クラシック仙禽無垢】が2,200円。
これは4合瓶で定価1,800円のお酒なので、正味1合であっても約4.9倍の値付けとなります。
お酒を頼まれる方は、一般的なお店の倍以上かかるイメージが精神衛生的に良い模様です。
![食前の甘酒](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/4373eb2e08d1ace0f5161085a2c7c08f-1024x680.jpg)
柚子を加えてスッキリと爽やかに調整している。
![ワカサギの南蛮漬け](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/30444d63c967050c844729757d605bd9-1024x680.jpg)
酸味と出汁が効いた南蛮漬けで、味付けはクラシックな方向性。
![浅蜊の生姜煮](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/d8f7ef4f075195b12cd7935eb306212b-1024x680.jpg)
甘味が極控えめで、浅蜊の味を楽しめる点が良い。
![ガリ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/851c556c06f6b4b53e23fd4f238a41ac-1024x680.jpg)
砂糖不使用で、酸味と辛味がしっかり効いて、食感はシャキシャキ。
![鮃縁側](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/c2497c8a36e6548f99bf96492839aa16-1024x680.jpg)
塩と酢橘をたっぷり使用しているが、鮃の味が強いので深刻な程には気にならなかった。
最も気になるのが、前述の握り込みの圧力と握り溜めによる温度低下だ。
![縞鯵](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/3fa986938d6839f142e7f50db9d53677-1024x680.jpg)
脂がたっぷり乗っている。
柚子胡椒を噛ませているので、柚子胡椒味に。
![鰤](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/89b24a6720cf824a2a18265cf17d903d-1024x680.jpg)
前半であるが、腹側で濃厚な脂(次が真鯛だったので不思議な構成である)。
![真鯛](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/7e35d73c154e30bc820723f43b4ecc7e-1024x680.jpg)
寝かせてとろりとした食感。
![鮪中トロ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/91cf0a47e1f4fd42928b0239f6fb427e-1024x680.jpg)
脂がしっかり乗っている中トロ。
赤酢のシャリが強い味なので、途中からシャリの存在感が高まる。
![メジマグロ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/612a566e8845a3d91cfa1cc0e298f326-1024x680.jpg)
きめ細かい脂で中トロよりもコクが強い。
こちらのようなタネならばシャリとのバランスが良い。
大粒の龍の瞳もタネを支えている。
![鮪赤身](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/d352ff606efb05084606f2e4cafeacce-1024x680.jpg)
漬け。
赤身のコクと香りを感じつつもシャリの味わいが強め。
![茶碗蒸し](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/0784684891be942e248704b6cc4d9a93-1024x680.jpg)
クラシックな茶碗蒸しで、アタリ強め。
海胆と三ツ葉。
![海胆](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/1dd207e63fc11a31b5072998ddab1061-1024x680.jpg)
ネガティブな香りと苦味は無く、甘い海胆。
もっちりしたテクスチャのロゼのシャリと合う。
握り溜めされなかったこちらは米粒がほどけたので、矢張り握り溜めが原因であった。
ましてロゼは粘度が最も高いので理由は明白である。
![車海老](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/5f50665831e51f7004a432c0d2d6347e-1024x680.jpg)
スペシャリテとの事で、「継ぎ足し4年の海老のコンソメ漬け」との事。
海老の甘味だけでなく香りもたっぷりなのがコンソメ漬けならでは。
これもシャリがパラッとほどけ、粒はもっちりしていて一体感が高い。
ただ、金魚鉢でのパフォーマンスは下品なので、如何なものかと…。
![車海老02](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/b42cc9ed631e6e7ad07bd1aa017c18bd-1024x680.jpg)
飲食に適した器の方が好感を持てる。
![サクラマス](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/31fc9a0488cc524543fbef3a8ac022c0-1024x680.jpg)
脂が乗っていて、とろりとした食感。
サクラマスの香りも心地良い。
ただ、握り溜め再開による圧力の向上を確認。
![アオリイカ](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/a5f2e6a357e48f703b4368bec7995cf2-1024x680.jpg)
肉厚でむっちりした食感で、甘味が強い。
![金目鯛](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/a65953b12d4d5f00e4eb0de2f374fe38-1024x680.jpg)
昆布〆。
脂がしっかり乗っていて甘い金目鯛。
昆布の旨味と香りも良い塩梅。
![鯵](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/765cd67dfb44b35786e65c29f8155649-1024x680.jpg)
味が薄い鯵に柚子胡椒を使用している。
全ての方向から強い圧力を掛けている。
![蝦蛄](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/0402ceeadcc7de8a27784931ffd14132-1024x680.jpg)
卵を抱えたカツブシで嬉しい。
香りと甘味が強く、蝦蛄は美味しい。
…が、握り込みが強すぎて蝦蛄を食べた後におにぎりを別途食べているような感覚に。
![干瓢巻き](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/7a35f7240b433f5dcc0931244e096f7d-1024x680.jpg)
コクが強く、細切りでも食感が強い干瓢で美味しい。
…が、巻くのも切るのも非常に遅すぎて、シャリが相当冷たい。
![カッパ巻き](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/3e7608f8e734b9b774cd96e8503d977d-1024x680.jpg)
爽やか。
![穴子](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/0c538324b7e756c2d1f98f51b9b60025-1024x680.jpg)
炙りすぎでパサパサしている。
江戸前の煮穴子よりは一夜干しの方向性の仕事。
![玉子焼き](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/1818afb16a418615d2616fd59fc3e7c4-1024x680.jpg)
芝海老入りで、汁気が多くジューシィな方向性。
![椀](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/dbe2ba6bdabdd0a5966f95f8ee4461da-1024x680.jpg)
超濃密なゼラチン質が滲み出た魚介スープで、あたかもつけ麺のつけ汁だ。
![水菓子](https://sushi-blog.com/wp-content/uploads/c87bcf0784af5fe39459d111911d5491-1024x680.jpg)
クリームブリュレと五島列島の椿茶。
生クリームがたっぷり使われているクリームブリュレで、とにかくヘヴィ。
これならば伝統通り玉子焼きで終了頂きたい。
そのような窮地を救ってくれたのは椿茶だ。
椿茶は紅茶とほうじ茶を合わせたような味わいでスッキリと美味しい。
初めて出会う椿茶の存在が鮮烈に印象に残る訪問となった。
「鮨 きよし」さんの予約については、「一休」経由でWEB予約が可能です。
店名:鮨 きよし
シャリの特徴:3種類併用し、シャリ自体は美味しい。握り込みが強く、握り溜めをされる点がネック。
予算の目安:お昼【握りコース20品】14,500円、夜【店主のおまかせコース24品】33,000円
TEL:050-5597-2672
住所:東京都中央区銀座7-3-8 Ginza 7th Place 9F-A
最寄駅:銀座駅から400m
営業時間:12:00~14:00、18:00~23:00
定休日:月曜、月曜が祝日の場合は翌火曜が定休日になります
握りの技術の大切さを痛感する、すしログ(@sushilog01)でした。
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