こちらは首都圏で「鮎料理の名店」とされるお店です。
数年前から訪問を試みたのですが、訪問当月に予約を取る事は至難。
何度か諦めた事があったので、今回は2ヶ月以上前から狙って訪問しました。
(約2ヶ月前から予約を受け付けておられるそうです)
お店は日本100名城の一つである鉢形城址の目の前にあります。
しかも、荒川を挟んで向かいなので、都心から1時間程度とは思えないほどの景観です。
建物は佐々紅華氏が1932年に建てた日本家屋。
昭和の旅館然としながらお部屋から庭園が眺められるので、非日常感があります。
京亭さんの鮎について
鮎は昔は荒川の天然モノを使用されていたそうですが、今や鮎釣り名人の手にかかっても1回7尾程度とか。
よって、天然モノは県外産を使用し、荒川の養殖放流モノを併用されているそうです。
そして、今回の天然鮎は岐阜高原川(神通川水系)のもの。
他に、新潟魚野川(信濃川水系)のものも使用されるそうです。
鮎のコースは6,500円から用意されており、7,000円のものから塩焼きが天然になるそうです。
今回は稚鮎の天麩羅が付くと言う8,000円のコースをお願いしました。
なお、こちらの名物である【鮎飯】は全てのコースに付くそうです。
全ての鮎が天然ではありませんので、その点はご注意を。
御料理は全体的に突出してはいないものの、
雰囲気と合わせて頂くと満足できるクオリティです。
島根の美加登家さん、岐阜の泉屋さん、富山のふじ居さんと言った「超個性派店」と比較するのは詮無いですが、何はともあれ名物の【鮎飯】は非常に美味しいです。
女将さんが迅速に骨を外してから混ぜてくださるのですが、素敵な方、おもてなしの心を感じさせます。
御料理だけでなく総合的に癒やされるお店だと感じました。
京亭さんの鮎の御料理
先付
鮎の煮浸し、潤香(うるか)
甘露煮としては甘みはそこまで強くないが、酒肴的な味わい。
身はホロホロ。
うるかもまた酒肴の代表格であり、苦味が強めで美味。
甘露煮との味覚的コントラストを楽しめる。
前菜
ツブ貝、鮎の骨せんべい、牛蒡胡麻酢、枝豆、とろろにオクラとマイクロトマト。
老舗旅館でありつつ骨せんべいを提供前に揚げている点が好印象。
進め肴
鮎の一夜干し、蕗醤油煮。
鮎は中心はしっとりで、周囲はカリカリ。
脂が強く、香りは穏やかな鮎。
これは養殖だなと、味わいで分かる。
お造り
鮎の洗い。
中々に旨味の強い鮎。
香魚と呼ばれる鮎の魅力たる香りこそ天然に及ばないものの、
脂の乗りは鮎に苦手意識を持つ人のイメージを変えてくれるのではないだろうか?
ただ、山葵は残念なクオリティ…
玉子豆腐、じゅんさい、蟹、柚子皮
じゅんさいのクオリティは悪くない。
出汁や甘みも、意外にも上品で良い。
焼きもの
天然モノの鮎の塩焼きで、産地は岐阜高原川。
肝は香りが濃厚で、身も旨味があり、繊維質はしっとり。
恐らくこれのみ天然か?と感じて伺ったところ、正解であった。
こちらの御料理を全て天然鮎と表現しているものも見かけたが、それは誤りである。
ただ、養殖の使用が決して悪いわけではない。
天然モノとなると価格が張るものなので。
振り塩はやや多め。
中皿
蟹真薯の石焼き。
中々に良い中継ぎ料理。
身はしゅわとろ。
蟹の香りと玉ねぎがたっぷりで甘い。
揚げもの
稚鮎の天麩羅。
衣薄く軽やかに揚げており、好印象。
塩気も穏やかだし、身はしっとりだ。
肝はしっかりした風味の稚鮎。
川海老も美味しく、身はむっちりで、甘く香り良い。
御飯
鮎飯、木の子椀、香の物。
こちらの鮎飯は炊き込みスタイル。
前述の通り、女将さんの骨外しが素晴らしい!
大葉と小葱を混ぜて提供。
炊き込みなので鮎の出汁が出ており、1尾混ぜた天然モノの方は肝も使用。
香の物は自家製の糠漬けで、椀はなめこ、豆腐、三ツ葉。
水菓子
スイカ、赤肉メロン、白玉餡。
出来合い感が無く、美味しい水菓子。
お食事後、お庭を散歩させて頂き、良き時間を過ごさせて頂きました。
枕流荘 京亭さんのお店の情報
店名:枕流荘 京亭(ちんりゅうそう きょうてい)
予算の目安:昼食5,000円、夕食6,000円、天然鮎塩焼きコース7,000円〜(税サ別)
最寄駅:寄居駅から700m
TEL:0485-81-0128
住所:埼玉県大里郡寄居町寄居547
営業時間:11:00~19:00
定休日:火曜
※完全予約制となります