2015年4月に初訪問した久いちさん。
久々にお伺いしたところ、何と顔を覚えていてくださり、感動しました。
前回訪問した時に煮蛤を頂けなかったため、この度「煮蛤はありますか?」と聞いたところ、ギリギリ1貫分あり、その煮蛤への執念で思い出して頂けた次第です(笑)
再訪して感じた事は、こちらはやっぱりストレートに美味しいです。
シャリ、仕事ともに高いレヴェルで安定しており、違う季節に訪問して新たな魅力を実感しました。
前回に比べてシャリの塩気がやや強まっている気がしましたが、これが仕事との一体感を高めており、個人的にイメージアップ。
温度や硬さは間違い無いので、誰にでもオススメ出来るお店だと再認識しました。
そして、タネについては、全体的に費用対満足度が高い。
タネの構成も江戸前の王道を行くものなので、江戸前鮨に興味のある若い方(20代)にもオススメしたいお店です。
更に、今回は特に強烈な個性を感じさせるあるタネがあり、鮨好きにとっても足を運ぶ面白さがあるなと感じました。
上質な雰囲気と下町的な雰囲気が融合した貴重なお店だと思います。
他の料理ジャンルを加えても、浅草のランチでトップレヴェルだと言えるでしょう。
この度は握りのコース【大島(12貫)】を頼み、前述の煮蛤を追加しました。
お酒は友人と土佐しらぎくをシェア。
尚、お値段が5,800円から7,000円にアップしておりましたが、内容を考慮すると十分許容範囲内です。
イメージし辛いかもしれませんが、日本の漁獲量は激減しているので…
先付
久兵衛出身の定番である若芽。
鮃
繊維がねっとりと甘いため、少しだけ寝かしているのだろうか。
それでいて香りが良く、良いスターター。
カワハギ
鮃、カワハギと言う流れは正統だが粋。
まずは冬の白身の旨さを感じさせ、肝の甘みで印象を深める。
肝の下拵えが良いので詳細を伺ったところ、塩を振って軽く湯にさらしているそう。
甘みが引き出され、癖は流されている。
紅葉おろしも肝の甘みを活かす適切な量。
墨烏賊
身は厚くパツパツ。
墨烏賊は、江戸前鮨が初めての人には面白い食感かもしれない。
甘みの強さで言うとアオリイカの方が上を行くものの、墨烏賊のこの食感こそが美味しいシャリに合い、最も鮨に合うイカである証左。
鮪赤身
漬けの塩梅が良く、旨味が凝縮され酸味は程良く調整されている。
鮪中トロ
赤身も含めて産地は伺わなかったが、甘み、旨味共に強い。
小鰭
割としっかり目に〆ている点が印象深い。
旨味は凝縮されており、噛み締めるとぶわっと広がる。
針魚
これは白眉!
頂いてみると食感が非常に独特で、シャクシャクと小気味良い。
更に、酢の使い方も巧く、針魚の風味を凝縮している。
〆方を伺ったところ、赤酢と米酢をブレンドした甘酢で〆ているそう。
甘酢と言っても砂糖の甘みは嫌味が無く、爽やかな印象を与える。
青柳
甘みがかなり強く、香りは気持ち良い。
上質なモノを入れておられる。
海松貝
歯切れが良く端正な見た目の包丁使い。
海胆軍艦
海胆が少ないなか、中々のモノを入れておられた。
こちらは海苔もとても美味しい。
穴子
非常に香ばしい穴子。
久兵衛出身の職人では珍しく、煮ツメが濃厚。
僕は煮ツメは濃厚であるべし!と考えているので、これは嬉しい。
同時に、塩も付けられる点は心配りが行き届いている。
煮蛤 追加
季節柄蛤は小さいので、二つ使用。
煮蛤の仕事は「漬け込み」なので、蛤自体が弱くとも職人さんの個性は楽しむ事が出来る。
こちらは実にジューシィで瑞々しい…と同語反復してしまうような出来栄え。
旬に頂けば、蛤自体の旨味が加わり、瑞々しさと力強さを併せ持つだろう。
椀
蜆の旨味がしっかりと出ている。
巻物2種
干瓢巻きと鉄火巻き。
前に一人で伺った時も2種類で嬉しかった(笑)
お任せで巻物を出さないお店が増えたけど、やはり最後は巻物を頂きたいですね。
予約が取れなさすぎるお店が多い中、鮨を食べたい気持ちの時に伺えるお店は本当に貴重だと思います。
店名:鮨 久いち(すし ひさいち)
シャリの特徴:塩をキリッと利かせ、硬さと温度が丁度良いシャリ。また、赤酢のシャリも併用されるように。
予算の目安:握りは萩6,000円(8貫)、大島8,000円(11貫)、おまかせ11,000円(15貫)
最寄駅:TX浅草駅から400m、メトロ・都営浅草駅から1,000m
TEL:03-3874-2921
住所:東京都台東区浅草3-18-8
営業時間:12:00~14:00、17:30~23:00
定休日:月曜
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