こちらは190年前に編み出された「與兵衛寿司」の姿をうかがい知れる、「鮨の古典」とも言える老舗です。
全てのタネに仕事を施し、軍艦は出さない。
頑ななまでの老舗のポリシーです。
北寄貝を甘めに軽く煮たり、中トロを漬けにするなど、なかなか面白いです。
伝統的な仕事を施された握りは、今や珍しい程に実直で、鮮烈な個性があります。
正に温故知新。
「若手の人気店を巡るよりも勉強になる」と言われる所以を、身をもって実感しました。
鮨店にある程度巡った後に伺うと、斬新さを感じることが出来ます。
シャリは程よい硬さで、塩と酢は控え目。
口の中で優しく、甘くほどけてゆく。
お江戸を感じる大ぶりのフォルムながらに、ネタを活かす味わいです。
中でも、光り物や貝類との相性が抜群でした。
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弁天山美家古寿司の握り
頂いた中で特筆すべきは穴子。
旬を外していながらに旨味を引き出し、仕事で補う江戸前の技に感服しました。
こちらは「爽煮」と呼ばれる仕事を施しており、極めて白く仕上げている。
そして、ツメは穴子以外に烏賊も煮出しているようで、濃厚で深い味わい。
手間を惜しんで穴子だけで仕上げるお店が多いので、今や貴重です。
焼き加減は香ばしく、それでいて穴子の旨味を削っておらず、完成度の高い一貫でした。
鮃
ほんのり漂う昆布と柔らかく寝かされた身が旨い。
赤貝
じゅわっと広がるきめ細かい濃厚な旨味は上物の証。
恐らく閖上産かと思われました。
小鰭
強い酢〆加減で、甘めのシャリと調和する。
フォルムはやや不格好ですが、酢が強くとも小鰭らしさが活き活きと跳躍。
車海老
強めに茹で、甘酢で洗っている。
針魚
見事な飾り包丁(わらび付け)が光る。
煮烏賊
大きく、硬めの茹で加減で面白い調理。
穴子とスルメイカで作られた煮ツメが格別。
鮪中トロ
煮キリに漬けられたトロは脂分がほど良く抜け、
脂自体の旨味を素直に楽しませてくれます。
玉子
鞍掛にあしらわれ、シャリとの間にはオボロが仕込まれ、二重の甘みが協奏する。
煮蛤 追加
蛤の強い旨味を加速させる濃厚な煮ツメ。
巻物
三人で伺ったところ、「三種類用意したよ」と嬉しい心配り。
浅草駅至近にありつつ、弁天山(12貫、巻物1本)コースは7,500円と、お値打ち価格。
クラシカルな江戸前鮨を食べてみたい!という人には、非常にオススメ出来るお店です。
弁天山美家古寿司のお店情報
店名:弁天山美家古寿司(べんてんやまみやこずし)シャリの特徴:程よい硬さで、塩と酢は控え目、やや甘め。大ぶりながらにほどけ加減は良い。
予算の目安:浅芽(握り10貫)5,500円、弁天山(握り12貫+巻物)7,500円など最寄駅:浅草駅から260m
TEL:03-3844-0034
住所:東京都台東区浅草2-1-16
営業時間:12:00~14:30、17:00~21:00、日曜11:30~18:30
定休日:月曜、第3日曜
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