こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
こちらは天草と言う港街にあって、高名な食評論家である山本益博氏が「日本ですきやばし次郎と並ぶ鮨店」と評価し、ミシュランの一ツ星も獲得しているお店です。
「すきやばし次郎」は言わずと知れた、世界から人を惹き付ける名店中の名店ですね。
親方の小野二郎氏は幾つもの独創的な仕事を編み出し、現代の鮨に大きな変革をもたらしました。
このような評判を勝ち得ているなんて、鮨好きとしては訪問必須と言えるお店です。
なので、かなり前に予約して東京から向かいました。
…しかし、敢えなく台風とバッティングして先方からのご連絡でキャンセルとなってしまったのです。
以来、立地的に長年伺えませんでしたが(熊本市内から100分)、今回はコロナの合間を縫って念願のリベンジを達成!
気合を入れて東京から向かいました。
奴寿司のメニュー、シャリと仕事について
現在はお昼、夜もおまかせのみになっています。
お昼のおまかせ握りは12貫で6,600円、夜のおまかせは酒肴付き握り10貫で11,000円です。
注意すべき点としては、おまかせであってもテーブル席の場合は3貫ずつの盛り込み×4回になります。
予約の際に尋ねられることはありませんので、1貫1貫食べたい方は必ずカウンター席を指定しましょう。
さて、奴寿司さんのシャリについては、甘みが非常に強く、柔らかめ、粘度高めで、温度は低めです。
甘みについては、食後長らく喉に残り続ける塩梅です。
そして、テーブル席なので親方の手返しは見られませんでしたが、シャリを頂く限りではギュッと力強く握り込まれていて、行楽弁当のおにぎり的なシャリとなります。
ホロッと崩れない点が特徴です。
そして、仕事については、全体的に創作寿司の範疇に入ります。
特徴としては調味料の多用が挙げられます。
多種類の調味料をタネ毎に用い、使用量も多めです。
九州らしい柚子胡椒に始まり、鮨・日本料理に於いては「禁じ手」と言えるニンニクもガッツリと使用します。
ニンニクの使用量については、一般的なイタリア料理店を凌駕するほど。
以上より、総じて魚の持ち味である魚味よりも、むしろ調味料の味を前面に出す仕事だと感じました。
「魚の個性」や「鮨としての一体感」よりも「調味料の味」を重視し、味の淡い魚にも強い味の調味料を用いる方向性の創作寿司です。
奴寿司のおまかせの詳細(実際に頂いたもの)
お昼のおまかせ握り(12貫6,600円)の内容をお伝えいたします。
ガリ
甘みが非常に強いクラシカルなもの。
2切れほど頂いた。
最初のお皿
アラ
標準和名「クエ」の方のアラ。
調味料は藻塩。
脂がしっかり乗っていて、寝かせ方も中々良く、最後にクエらしい香りも楽しめる。
熟成による旨味と柔らかな食感に柔らかなシャリが合わさることで、ニチャニチャした食感だ。
烏賊
調味料は海胆塩。
隠し包丁が少ないので、ゴワゴワした食感の烏賊。
石鯛
軽く炙り、調味料は岩塩。
岩塩の使用量が多めなのでガリガリした食感すら感じ、鮮烈な塩気だ。
二皿目
縞鯵
調味料は山葵の茎漬け。
高級魚の縞鯵で「大衆酒場の鮹わさ」を表現する仕事と見た。
小鰭
しっかり〆て、白板昆布とともに。
中々旨いものの、身が薄いので仕事が小鰭に勝っている。
これは旬の時期の産地に於いて残念なところ。
小鰭の味の奥行きに欠けるため、白板昆布が蛇足となっている。
オコゼ
肝を噛ませて、大根おろし醤油とともに。
大根の風味がしっかりで、醤油も強めに利かせる事で、繊細なオコゼの持ち味を調味料で更新する仕事。
大根おろしの水分もたっぷり出ている。
シャリがボロボロと崩れ落ちるので、持ち上げる際に注意が必要だ。
三皿目
鯛
昆布〆で、調味料は刻みワサビ。
鯛の寝かせ加減はねっちり且つとろり。
塩を大量に使用。
鯛の甘みを超える塩気が記憶に焼き付く。
車海老
これは極めて魅力的な仕事!
表面に軽く火を通した後、半分に切ったもので握る。
生に近い食感と香りを楽しませてくれる。
これは他に無い。
車海老の魅力を引き出す完成度が高い仕事を体感する。
ノドグロ
標準和名アカムツ。
調味料はネギポン酢。
脂の乗ったノドグロにネギポンなので、焼き肉的な風情がある。
敢え無くノドグロは骨付きであった。
四皿目
鯖
〆てから5日寝かせている鯖。
柚子胡椒がしっかりと香り、辛味も強烈で、鶏肉ならば適量だ。
鯖以上に柚子胡椒を楽しませる目論見を感じる。
カンパチ
調味料はガーリックチップ。
予想以上にガーリックチップが強烈で、頂く前から食後60分に渡りニンニクが席巻する。
これは、熊本ラーメンを寿司で表現する仕事と見た(※熊本ラーメンはニンニク由来のマー油やフライドガーリックを使用するラーメンである)。
鮪トロ
脂がしっかりしていて、香りや酸味は無い輸入モノのトロ。
パイナップルアイス
パイナップルの繊維質を感じ、手作りされている点が素晴らしい。
結論として、NYのような創作寿司を天草で頂けるお店だと感じました。
奴寿司の立地と雰囲気
お店は天草の幹線道路沿いにあり、暖簾が予想外にスタイリッシュです。
思わず、暖簾の前でGoogleマップを開き、間違いないか確認しました(笑)
要注意です!
店内は広々していて、カウンター6席とテーブル3台に加えて個室があるようです。
なお、テーブルをご案内頂いたので、カウンターに空きがあったので、可能であればカウンターに変えて頂けないかお願いしました。
しかし、「カウンター6人は忙しくなるので同時にさばけない」という理由のため、テーブル席で頂きました。
奴寿司のお店の情報と予約方法
予約はお電話のみです。
大変な人気を誇るため、休日にふらりとお伺いすることは難しいと思われます。
旅程が確定次第、なるべくお早めに予約するのが得策でしょう。
店名:奴寿司(やっこずし)
予算の目安:お昼のおまかせ握り12貫6,600円、夜のおまかせ(酒肴付き握り10貫)11,000円
最寄駅:なし、熊本駅から車で82km、熊本空港から100km
TEL:0969-23-4055
住所:本県天草市東町76-1
営業時間:12:00〜14:00、18:00〜21:00 ※木曜の夜は営業無し
定休日:月曜
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サブブログで調味料にも書くことがありますが、鮨については調味料は多すぎないほうが良いと思う、すしログ(@sushilog01)でした。
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