こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
さて、赤坂の「鮨みうら」さんは「菊乃井」に長く勤めた職人さんの鮨店です。
ブログを読んで頂いていて、僕の鮨会やペアリング会にも参加頂いている鮨好きの紳士からお誘い頂き訪問しました。
日本料理ご出身の経歴が見事に活きていて、勉強になりました!
高級な価格帯となりますが、立地と内容を考慮すると妥当だと感じます。
タップできる目次
赤坂「鮨みうら」さんは2019年2月のオープンで、2023年4月に現在の場所に移転されたそうです。
立地は極めて「隠れ家」的で、既にファンが多い理由に納得です。
親方の三浦 健太さんは日本料理の名門である「菊乃井」の赤坂店で13年の修行を積んだ板前出身の職人さん。
よって、器の選び方が日本料理人だ!と感じました。
三浦親方は、もともと魚が好きで鮨職人志望だったそうです。
鮨への憧れを抱き続けた料理人で、「菊乃井」で鮨部門に5年ほどいらっしゃった後、阿佐ヶ谷と日比谷の「鮨なんば」で1年ほど「仕上げ」を行い、鮨職人に転向された経歴です。
その経歴を活かし、他店との差異化を図るため、意識的にご自身のキャリアに沿った日本料理に寄せているそうです。
ちなみに、僕は個人的に、鮨店の酒肴は日本料理に寄せ過ぎない方が良いと考えています。
その理由は、鮨職人は握りが全てなので、握りに関わる仕事に専念された方が良い為です。
出汁、揚げ、焼きなどの日本料理の仕事に関しては、深追いせず、「鮨店らしい酒肴」を追求した方が本質的にはベターです。
もちろん両立させる稀有な才能を持つ例外はあります。
そして、今回、三浦親方のように日本料理出身である場合にはその限りではない事を実感しました。
日本料理出身だと逆に握りが弱い事もありますが、決してそんな事はなく、最後まで楽しませて頂きました。
そして、料理に手をかけると気になるのが提供スピード。
料理にこだわって提供が遅く鮨店など本末転倒です。
しかし、三浦親方は握りの折り返しまで入店から70分ほどとテンポが良く、大変好印象でした。
最後に、シャリについては、赤酢と米酢のブレンド比が良く、酸味をやや強めに効かせつつ塩気は程良く感じさせるバランスです。
タネによって酸味がキリッと強めに感じるものの、全体的に違和感のない範疇に収めておられ、きっちりバランス感覚をお持ちです。
米粒はもっちり、ぱらりとしていて炊飯技術は申し分無く、温度管理についても良好です。
「鮨みうら」さんは、【おまかせ】27,000円のみです。
干瓢巻きを半分追加して、下記のお酒3合を頂き、合計34,000円でした。
よって、日本酒は1合2,000円ほどの予算感となります。
この度頂いた日本酒
- 篠峯 純米 山田錦 超辛口竹山
- 磯自慢 純米吟醸55
- 十四代 本丸 秘伝玉返し
春であってもあつものから開始するとは嬉しい。
火入れも味付けも洗練されていて、経歴が如何なく活かされている。
蛍烏賊は生から調理しているのか、艶めかしい食感だ。
鯛の子もしっとりしていて、卵はさらっさら、出汁を効かせて木ノ芽が馴染む調理である。
甘い!
これはかなり美味しい毛蟹で、ネガティブな要素がゼロであった(高級店でもネガティブな要素に遭遇する事はある)。
産地はもちろん北海道。
薬味はガリ、大葉、茗荷に、だるま山葵を添えて。
鰯には酢をスッキリと浸透させて爽やかな仕立て。
脂のパンチ系ではない調理だ。
椀種は桜餅に見立てた甘鯛と福岡県産の筍。
まろやかさの中に軽いキレのある吸い地、さらに軽い葛打ちの仕事に経歴を色濃く感じる。
出汁の引き方が鮨職人とは異なるなと。
鰹は和歌山県産で、調味料は黄身醤油、薬味は芽葱と花穂紫蘇。
藁焼きにしてスモーキーフレーバーを加えつつ、塩味のバランスは繊細だ。
黄身醤油も重たくないのは日本料理出身だとしみじみ。
…と思いきや、ご飯と頂くと塩味と甘味が強めで、これは魚味を考慮した上での料理全体のバランスだなあと実感。
シャリではなく白米を黄身醤油に合わせるセンスも良い。
漬け地には葱、生姜、柚子を使用している。
ゼラチン質が豊富で味が濃い真魚鰹なので、漬け地の塩気がちょうど良い。
お皿は江戸時代に南宋から日本向けに輸出されていたものだそう。
ガリだけでなく胡瓜の浅漬も添えられる点が面白い。
和食と鮨の経歴を表しているかのようだ。
ガリは塩気が軽く、旨味も乗せられていて、酸味や辛味は抑え目のかなりスッキリした味わい。
パクパク食べるお客様が現れてしまいそうだ。
なお、これらは握りの前ではなく冒頭に登場する。
細切りにして、崩れるような一体感が素晴らしい。
アオリイカの甘味を感じさせて、シャリの酸味や塩気と合わせるバランス。
強く甘味を前面に出しすぎない調整が名刺代わりの一貫目として上品な設計だ。
昆布〆を掛けていて、脱水はほどほどで、ねっちりした食感にしている。
決して生っぽくなく、昆布の旨味を乗せる〆加減だ。
春子は巧みに〆ると塩だけで昆布様の香りと旨味を引き出せる魚なので、日本料理の手法で昆布〆にするのは別の仕事として面白い。
鮪は樋長仕入れで、伊豆下田産の延縄187.8キロ。
軽い漬け。
季節の変化で酸味が高まっている事を伝えてくれる漬け加減だ。
この時期や夏の鮪を強く漬けにすると季節感を殺す事になる。
噛みしめると脂も高まり味わいが強めだ。
むっちりしたとタフな食感。
柔らかく、脂がかなり強く、同時に酸味もある中トロ。
味わいとともに包丁も良い。
濃厚な旨味!
厚みのある海苔で食感も旨味もあり、アクセルを掛ける。
じゃこ、三ツ葉、柚子で和えている。
出汁に甘味を効かせいて、これは魅力的な口直し。
甘味が強い北寄貝なので、シャリの酸味を実感する。
みしっと〆つつ、繊維にはしっとり感があり、旨味を引き出すことにも成功している。
臭みは無し。
むっちりとした身には脂が乗っていて、香りも良い。
季節による味わいの変化を感じさせる鯵。
ぷりっぷりで弾けるような食感が特徴的だ。
甘味が広がり、シャリの強めの酸味がキリッと引き締める。
産地は沖縄。
青森県産。
口溶けが良く、鮮烈な香りが広がる、爽やかな味わいの海胆だ。
胡瓜を合わせ、山椒を振っている。
穴子はふわっふわ、ホロホロな煮加減で、そこに胡瓜のシャキシャキ食感と軽い瑞々しさ並びに香りを合わせる。
「料理」として組み立てているのが自明な穴子であり、対馬全盛の世の中でこれは寧ろ良いアプローチであるとしみじみ思う。
出汁を感じさせ、お店のスタンスを明確に表す椀だ。
醤油は穏やかで、甘味を効かせて、山葵がしっかりと辛い鉄砲。
食感はコリコリ。
芝海老の香りがしっかりと漂う!
表面をキャラメリゼしてデザート的な方向性と思いきや、香りが良く、デザートデザートしていない。
むっちり、ふわんふわんな玉子で、良い意味でスポンジ的だ。
「鮨みうら」さんは冒頭に書いたとおり「隠れ家」的な立地とアプローチです。
小道を行くと会席料理店のような設えの入口が現れ、期待を高めてくれます。
店内は席と席の間隔が十分に取られていて、寛げる雰囲気です。
「鮨みうら」さんの予約については、テーブルチェックでWEB予約が可能です。
店名:鮨 みうら(すし みうら)
シャリの特徴:酸味をやや強めに効かせつつ、全体的に違和感のない範囲で収め、温度・硬さが良好なシャリ。
予算の目安:【おまかせ】27,000円
TEL:090-8894-0020
住所:東京都港区赤坂6-19-46 フォーチュンマレット赤坂1F
最寄駅:六本木一丁目駅から900m
営業時間:18:00~
定休日:月曜
新たな表現をする鮨職人から刺激を得る、すしログ(@sushilog01)でした。
本記事のリンクには広告がふくまれています。