※訪問時点では常連さんから「なんで知っているの??」と言われるようなお店でしたが、その後、食べログで有名レビュアー諸氏が繰り返し訪問するようになり、世に知られました
こちらは鮨マニア向けの名著、『失われゆく鮨をもとめて』のモデルになった、知る人ぞ知る名店です。
目黒の「林試の森公園」の近くにあり、あらゆる駅から少し離れております。つまり、かなりマニアックな立地であり、知らなければ決して行かない立地です。
しかし、お店の歴史は古く、創業から40数年が経っております。昔から、産地にこだわりぬく姿勢と、独特の仕事、ご主人のトークで、常連さんに愛されてきたお店。外観からは名店感を発しておりませんが、ひとたび足を踏み込むと、独特の世界観に魅了されてしまいます。
現在、ご主人は事故のため握れなくなってしまいましたが、二番手さんが溌剌と握られております。ご主人はカウンターに座って、トークを炸裂。握りならぬトークの技で、お店のお客を一体化。このトークが無ければこのお店の魅力は半減してしまうように思います。
「タネの説明が終わるまで食べちゃダメだよ!食べたら勘定二倍だからね!!」
かなり個性的なトークなので、苦手な人もいるでしょうけれど、個人的には勉強になるし、味の深みが増すような気がします。
そして、気になる料理の内容はと言えば、こちらは握りの前に、個性的な酒肴が連発します。マンボウの口や魚の内臓を使った料理や、割烹顔負けの逸品。
塩辛だけで複数種用意されていて、びっくりしましたが、店内の奥には巨大な冷蔵庫が幾つもあります。聞けば、酒肴だけでなく、味噌や柚子胡椒など調味料も自家製しているそうです。
僕は基本的に握りを重視しますが、あまりのこだわりっぷりに、こちらではどうでも良くなりました。
そこに、ご主人のトークが絡み、お酒を進ませませる…
肝心の握りは、なんと、全て手渡し。
崩れやすいタネや、手巻きを手渡しで渡されるお店はありますが、全て手渡しと言うのは唯一無二かと。→その後、初音鮨さんが始められました
シャリは赤酢と米酢をミックスした、酢の強い味わいで、硬め。小ぶりながらに存在感のあるシャリです。
仕事の中で印象的なものは、やはり、小鰭。赤酢、米酢、柚子酢を用いて〆たものが三貫出てきます。〆加減は穏やかですが、独特の香りに、鮨好きであれば驚く事でしょう。
また、こちらは海胆が非常に美味しいです。かなり昔に塩水で輸送する方法を提案し、今に至る模様。今でこそ幾つかのお店で見る手法ですが、こちらは塩水だけでなく輸送時間にも気を遣っておられます。
好みは分かれるかもしれませんが、ここにしかない味わいと魅力を持った名店です。鮨マニアや食材マニアは伺って決して損の無いお店かと思います。
写真撮影不可であり、ライブ感の強いお店なので、この度は詳述することを止めたいと思います。ご了承よろしくお願いいたします。
ちなみに、こちらは伝説のまま閉店した「あら輝」のご主人・荒木水都弘さんの修業先でもあります(「あら輝」のサクセスストーリーは中々壮大で、2000年に上野毛にオープンして人気を集め、2010年に銀座に進出し、ミシュラン三ツ星を獲得、しかし更なる高みを目指して2014年にロンドンに移転オープンし、イギリス初の和食で三ツ星を獲得。さらに、しかし、2019年に次は香港に移転オープン)。
店名:いずみ
シャリの特長:赤酢と米酢をミックス。酸味の強い味わいで、硬め。
予算の目安:20,000円~30,000円
最寄り駅: 武蔵小山駅から743m
TEL: 03-3793-9150
住所: 東京都目黒区下目黒6-6-9
営業時間:18:30~24:00
定休日:月曜
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