すしログ日本料理編 No. 7 みかわ是山居@門前仲町

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以前よりお伺いしたかったお店。

みかわ系列では「なかがわ」さんの天麩羅が印象的でしたので、師匠であり「名人」と呼ばれる早乙女哲哉氏の天麩羅を一度体験してみたかった次第です。

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お店の外観は非常にアーティスティックで結構たまげましたが、中は更に凄い。

骨董品、芸術品がわんさかあり、あたかも宝の山のようなビルです。

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聞けば、早乙女親方は18歳の頃から蒐集されてきたとの事で、高尚な趣味に嘆息しました。

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席に座り、先ずは一息つくために冷酒を頂きます。

こちらの冷酒は【開運】のみと潔い。

特定名称は伺いませんでしたが、嫌みのない甘み=フルーティさが天麩羅に合う理由かと推察。

 

早乙女親方の仕事の集大成は、海老や烏賊への火入れと見ます。

海老は200度以上の高温を以て超短時間でレアに仕上げ。

烏賊は4分ほど掛けつつ中心を半生に仕上げる。

経験に裏打ちされた名言も多く、「天麩羅は魚の脱水作業」、「蒸すと焼くの二つの調理があるのが天麩羅」、「しっかりした天麩羅のタネは鮨店よりも上等」など。

鮨好きとしては最後のコメントには素直に頷けませんが(笑)、確かに鮨のように〆る、煮る、漬ける、寝かすと言った仕事が無く、一日で使い切らないといけないのだから、その点においては納得です。

実際に頂き、墨烏賊や穴子は非常に高いクオリティで、驚嘆を覚えました。

他に、キス、メゴチも秀逸…

あまりにも上質なので、伺ってみたところ、偶然にもこの四点は江戸前でした。

東京湾の魚でここまで上質なものを揃えておられるとは、台詞に偽り無しだと感じました。

また、上記タネ以外に印象的だったものは、小柱のかき揚げ。

詳細は後述しますが、早乙女親方ならではの仕事を感じました。

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先付

鮃は昆布〆にしているが、かなり強めの〆加減。

凝縮された食感もさる事ながら、グルタミン酸が過剰。

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サイマキ☓2

胡麻油の塩梅が上品。

比較的こちらの胡麻油の風味は強めと言われておりますが、エグさは無い。

高級な天麩羅店では太白胡麻油を使用するお店が多いが、こちらは太香胡麻油とサラダ油をブレンドされている。

そして、サラダ油を使用する理由が面白く、香りを弱めるためかと思いきや、高温で調理するためとの事。

胡麻油が180℃なのに対して、サラダ油は230℃まで引き出せるため、両方をブレンドされているそう。

まさに海老を超短時間でレアに仕上げるための配合かと察しますが、ただ、この度はミディアムだった。

ぷるるんとした食感で他の流派よりはやや浅目の火入れかもしれないが、流石にこれは真骨頂の火入れではない。 

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サイマキの頭

塩の後、ツユで頂いたが、こちらのツユは美味い。

キリリと鰹を利かせており、醤油もくっきり。

それでいて何かが突出しておらず、粋なツユ。

海老の頭は胡麻油が染み込み味噌と融合し何とも言えない魅力。

油が味噌の輪郭を強調する揚げ方。 

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殊のほか長く揚げており意外な感を頂くが、同行者の方いわく5分10秒。

その割に食感はしっとり。

衣を噛んで割った瞬間に、鱚の芳醇な香りが立つ。

香りにふわっと包まれて、鱚を天麩羅で頂く喜びを実感する。

表と裏で衣の厚みが異なり、全体的に薄くコーティングしている。 

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墨烏賊☓2

切り付ける前の厚みが凄かった。

そして、極厚ながらに身は引き締まっており、火入れで墨烏賊らしい食感を凝縮。

ミディアムレアに仕上げた身はジューシィさと力強さを同居させ、パツンと小気味良く切れる。

墨烏賊の淡泊な味わいを胡麻油が補強。 

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海老真薯(真丈)。

出汁が強めで、天麩羅に合わせた吸い物。

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海胆の大葉挟み

大葉はサクッとしつつ香りを殺しておらず、その爽やかな香りの後に海胆が登場。

問答無用の旨さがあるが、個人的にはもう少し弱めの火入れの方が絶対に美味しいと感じた。

海胆はミディアムだが、元々生で頂くもの。

下拵えをお弟子さんがされている為か…。

それにしても残念。 

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銀杏

優しい火入れで美味。

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鱈の白子

火入れが強い。

率直なところ、白子の調理法としては如何かと感じた。

同行者の方によると(鱚よりも相当短い)4分との事だが、

絶妙だった鱚との差が歴然で不思議。 

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メゴチ

ぷりぷりな食感で、野趣を感じる香りたっぷり。

素晴らしき天種の一つ。

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穴子

香りが強く、身をしっとりふんわりに仕上げた穴子。

「なかがわ」さんの穴子が見た目的にかなりハードだったのでやや肩透かし。

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ちなみに、早乙女親方は弟子に口うるさい事を言わないようにしているそうで、支店などを任せる以上、むしろ個性が出るのを喜ぶと言う。

素晴らしい親方ですね(笑)

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椎茸

茄子

野菜は上記2点に加え、アスパラガス、サツマイモも選べる。

椎茸は個人的に焼き物、揚げ物のメルクマールとしているのでチョイス。

結果として素晴らしく、食感が凝縮されつつぶるぶると舌の上で踊り、その後パツリと切れた後に、香りと余韻を強く残す。

茄子も隠し包丁の入れ方が見事。

均一に熱が通され、全体が瑞々しい。

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かき揚げ丼

小柱は北海道産で、江戸前の6倍ほどの大きさのものを厳選されているそう。

そして、上質な素材が腕の立つ職人と出会った結果、唯一無二のかき揚げとなっている。

青柳特有の磯の香りが実に上品に香り、食感は縦にシャクシャクと切れゆくのが分かるほどに力強い。

タレの味付けも良く、勿論米の炊き加減も抜群。

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赤出汁

f:id:edomae-sushi:20151213093513j:plain香の物

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花豆

 

以上のコースで、一人あたりギリギリ2万円を切るお会計。

江戸前の天種のクオリティ、野菜の火入れ、かき揚げの美味さなど、唯一無二の魅力は有りますが、如何せん高額だと言う印象です。

また、この価格帯のお店としては接客(早乙女親方以外の)がこなれておらず、多分に改善の余地があると感じました。

とは言え、天麩羅が好きな方であれば、一度伺って損は無いかと思います。

 

店名:みかわ是山居

食べるべき逸品:江戸前の最上級天種、かき揚げ丼

予算の目安:19,000円~

最寄駅:門前仲町駅から460m

TEL:03-3643-8383

住所:東京都江東区福住1-3-1

営業時間:11:30~13:30、17:00~21:30

定休日:水曜

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