こんにちは、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。
「焼鳥 照隅」さんは2020年5月に初めて訪問しました。
再訪の理由は、ここのところ焼鳥マニアのみならず同業の焼鳥職人さんからの評価も非常に高い為です。
焼鳥も鮨に続いてブームとなり、人気が高いところで定着したジャンルですが、同じく鮨と同様にビジネスモデルで作られた微妙なお店も多々あります。
そのような中で信頼できる情報は、同好の士と料理人のオススメ。
結局のところ信頼する方の口コミこそが最強です。
今回、3年ぶりに再訪したところ、プロとマニアが絶賛する理由に納得しました。
個人的には今後の伸びしろが十分なお店だと思います。
タップできる目次
「照隅」のご主人、杉本浩一郎さんは元々大衆焼鳥店で修業をスタートされましたが、2007年より名店・蘭奢待(現・とりアロマ)で修行され、現代的焼き鳥のノウハウを習得された方です。
さらに「鶏肉の勉強の為にイタリア料理の道に入る」と言うユニークな選択をされた後、2015年に「根津 焼鳥 照隅」を開店されました。
初訪問時に感じた特徴と魅力については、以下のとおりです。
- 小ポーションで味覚を上品に構築した焼鳥
- 各部位の魅力を引き出す正確な火入れ
- センス溢れる調味料と薬味使い
- 備長炭の香りを強く付ける調理
ただ、提供スピードが非常に遅い上に、ポーションが小さくて不完全燃焼でした。
再訪して印象は結構変わり、今回は完全に面目躍如。
使用する鶏は秋田県大館産の比内地鶏で、毎日、丸一羽で仕入れる上に、ご自身で捌かれているとの事。
自店で捌けるお店は決して多くは無いので、寝かせずフレッシュな鶏肉を使用する点は素晴らしいと感じます(鶏肉でも寝かせたり熟成を掛けたりするお店が現れていますが、匂いに対して無頓着なケースもあります…人気店であっても)。
使用する炭は紛れも無い紀州備長炭で上質。
火入れについては非常に細かく配慮されていて、場所によって温度帯を変えて火入れを調整されています。
最も特徴的だと感じた点は、全般的にジューシィに仕上げる火入れの妙です。
そして、包丁の使い方が個性的で、意識的に包丁と向き合っておられる点です。
焼鳥と言うジャンルに「意識的な包丁の仕事」を導入されているのが功績だと感じました。
ただ、串に比べて一品料理が弱いと感じたのが正直なところ…。
酒肴や一品料理を洋食ではなく日本料理に寄せるならば、日本料理店へ研修に行かれると更に良いと感じました。
具体的には、出汁の引き方や、甘味や酸味の塩梅について、価格を考慮すると疑問を感じてしまいました(大衆店に近い味覚設計なので)。
そこを重点的に改良されると良いと思います。
焼鳥が個性的で技術が高い分、ギャップが大きくなり、皮肉にも否応なしに気づいてしまう次第です。
現在は【照隅コース】一本で、8,800円+チャージ880円=9,680円となっています。
2020年はコース2本立てで、3,800円と4,800円でした(プラス御料理無しテーブルチャージ500円)。
鶏肉や炭などの値上がりを痛感します。
お会計については、以下の通り頂いて1人14,000円強でした。
2023年9月に訪問した際に頂いた内容です。
この度頂いたお酒
赤星中瓶880円
雅楽代1,320円、刈穂・純米吟醸kawasemi1,320円、山川光男・2023あき純米吟醸1,430円、飛良泉・山廃純米ひやおろし(一穂積)1,320円
ミズを使うとは素晴らしい選択でテンションが上がる!
笹身はねっちり且つ旨い。
そこに、ミズのシャキシャキ食感が爽快感を加える。
暑い日の先付けでも酸味を使わない選択肢と提供温度が冷たくない点が良い。
味が分かる温度帯で提供する意思を感じる。
枝豆餡、丹波の黒豆、豆の香りが良い、玉子豆腐蓮根ゆずモッツァレラチーズ、和食の椀もののようであるが、酒肴寄りの設計。
不思議なバランスの取り合わせと調味で、先付とのギャップを感じた。
名刺代わりの一串目は、振袖から!
むっちり且つジューシィに仕上げ、皮パリではないところが独自性。
皮と見ればカリッと、パリッと仕上げる事がオーソドックスとなっているが、軽くさっくりした後にプルプルと皮らしさを伝える点が面白い。
黒胡椒を用い、それまでよりも塩を強めて提供。
コリコリ感だけでなく脂のコクが強いハツだ。
開く感じの包丁が面白い。
もちろんジューシィさは申し分無く、臭みも無い。
茨城県かすみがうら市「西崎ファーム」さんの銘柄鴨。
高知県長岡郡「ラッキー農園」さんの【限界突破ショウガ】。
鴨はむっちりとした食感で、味わい深い。
炭火の薫香は上品に付けられていてバランスが良い。
ホースラディッシュをマイクロプレーンで削っている。
切り離してから串打ち、故に歯切れが良い。
脂だけでなく食感の艶めかしさも楽しませてくれる包丁の仕事だ。
味玉から焼いているようで、焼きの過程ではむっちりと凝縮させて、薫香も付けた「燻製卵」的な仕事。
しかし、当然の事ながら燻製よりも黄身の火入れは軽い。
かと言って半熟にはしておらず、意志を感じる卵黄の仕事だ。
また、串元の一個への熱のグラデーションを活かす火入れ。
ふくらはぎの皮にゴーヤー、土佐酢で提供。
ゴーヤーは白と緑の両方を使用している。
脂と皮の食感、そして身の旨味を感じさせる部位選択。
強めの甘味が気になったが、これはゴーヤー故だろうか。
つくねの周辺はみっちりと焼き込まれ、中心はジューシィ。
そして、薫香は強め。
翻って金柑は低温!
故にベタつかない。
赤身と脂の両方を楽しませ、脂に頼らずして金柑のコクを与えながら食後感を維持する仕事であり、意識的に選択出来るのが素晴らしい。
味わいの前に精神性が良いと実感した一串である。
ここに来て皮パリ、と言うよりも「皮バリバリ!」な焼き方で、インパクトを与える構成だ。
食感と味わいの強さから、比内地鶏らしさも伝えている。
旨味がありつつ酸味もあるので、後味と香りが印象深い。
野菜も串打ちして炭火焼きしているのが良い。
ただ、うどんが伸びに伸びている点が大変気になり、またこれは流石に提供温度を下げた方が良いとは思う(温度がぬるかった由)。
そして、ツユに出汁のキレがあった方が良い。
椀もの、酢のものに続いて、一品料理に対する疑問が確信に変わった。
火入れが素晴らしく、生に寄せ過ぎていない。
ただ、タレに加えて振り塩をされているようで、お酒を頂いている終盤であっても塩味のアタックが強いと感じた。
甘味を付けてコクも濃厚。
表面はキャラメリゼ。
レバー料理を前半でなく終盤に出す理由が分かる甘味と脂のパンチ。
コースの鶏の〆は手羽先。
皮パリに仕上げ、脂に加えて赤身の旨味と食感を楽しませてくれる。
手羽先は矢張り強い部位だ。
コースの〆に選択されているのが嬉しい。
むっちり感の後にジューシィに肉汁が溢れ、旨味が広がる。
山椒が合う。
ソリレスは力強い旨味と野趣が持ち味で、鮨における鮪の中トロ血合いギシのような部位だと感じる。
もぎゅもぎゅした食感でありながらジューシィ。
バッチリ。
そぼろは鶏の持ち味が分からず、味付け一本勝負的な料理だが、安定感がある。お米の炊き加減は良好。
鶏の旨味が効いた冷製担々麺でサプライズがある。美味。
甘味と油脂が抑えられた美味しいアイスクリーム!
後半の油脂が強い構成なので、デザートが軽やかなのは嬉しい限りだ。
2020年5月に訪問した際に頂いた内容です。
瓶ビール(赤星ラガー)825円、山の寿レモンサワー715円、
季の美 京都ドライジン・ジントニック825円、
洌・純米1,045円、菊姫・山廃純米990円
鶏と生姜のスープ
旨味がありつつサッパリな仕様の鶏スープ。
味付けのみならず提供温度帯も考えられている。
40℃前後で提供され、初夏に嬉しい温度帯。
胸肉のタタキ、笹身の湯引き
自家製ポン酢と卵黄の組み合わせはセンスが良い。
サッパリと濃厚のコントラストが序盤戦に上品に盛り上げてくれる。
胸肉は皮付きで香ばしいが、部位的にサッパリ、しかし旨味が強いのは比内地鶏ならではか。
美味しい鶏は胸肉の旨味で分かるもの。
レバーパテとぼんじりのタルタル
大変魅力的な組み合わせで共に美味しい。
今や焼鳥店で王道の酒肴となったレバーパテに創作的な一品を組み合わせるセンスも嬉しい。
パテは洋酒のフレイバーは弱く上品な味わいで、乳製品の油脂でコクを加えまろやかに
仕上げている模様。
そして、バゲットが美味しい点も魅力。
「根津のパン」のバゲットを使用されているそう。
バゲットが良くないとレバーパテは画竜点睛を欠くものなので。
ぼんじりはイメージする「ぼんじりっぽさ」が無く、不思議な味わいを楽しませてくれる。
付け合わせはクレソンで良い相性。
振り袖
サクッ!と弾け、ひたすらジューシィ!
皮目の脂もじゅわっと込み上げ、香りと共に食欲を高める。
脂や香ばしさがありつつ、胸肉に近い肉なのでサッパリ感がある。
間に異なる食感(コリッと食感)の部位を挟む点も魅力。
これは一串目からテンションが上がる。
鮨店の一貫目と同じく、おまかせの焼鳥店は一串目が重要だ。
笹身もしくは胸肉の山葵で始めるのは定石。
それ以外のタネを選び、名刺代わりの一串目を出す職人さんには好感を抱く。
ハツ
ぷるっとジューシィで、脂も焦がさず上品に仕上げている。
調味料は塩と黒胡椒。
鶉卵
半熟でトロトロ。濃厚な味わい。
ヤングコーン
沖縄産。香り良く甘い。
低温で長時間じっくりと焼いて甘みを引き出している。
鶏皮の二杯酢和え、糠漬け
二杯酢和えにはパクチーが使用されていて面白い。
しかも、たっぷりではなく少量である点が素晴らしい。
パクチーはたっぷり乗せれば良いというものではないので。
糠漬けも良い味。
ソリレス
むっちりした筋繊維の食感を楽しませつつ、ジューシィ。
しかも、過度にジューシィではなくしっとりとほどける食感。
山椒の使用量も程良い。
ボンペタ
掛けられているのは白胡麻とフェンネルか?と思って尋ねたところ、中東のミックススパイス「デュカ」であった。
つくね
ジューシィでホロッとした食感のつくねで、軟骨は入っていない。
生姜が利いている。
キンカンとともに。
手羽先 追加
身離れが良く、サッパリした味わいの手羽先。
小ポーションで上品な味。
親子丼 追加
胸肉ともも肉を使用。卵が美味しい親子丼。
甘みや醤油の塩梅も中々。
鶏スープ
これは前菜のスープとは異なり濃厚な味わいで、熱々。
スープを2種類出されるのは大変魅力的な試み。
ポーションが小さい点は個人的に気になりましたが、「また伺いたい」と感じさせる味わいの焼鳥店です。
「照隅」さんのWEB予約については、一休より可能です。
店名:根津 焼鳥 照隅(ねづ やきとり てるすみ)
予算の目安:おまかせ串コース4,730円、照隅コース5,830円(税・チャージ込み) →【照隅コース】9,680円(税・チャージ込み)
TEL:03-5834-8891
住所:東京都文京区根津1-1-21
最寄駅:根津駅から50m
営業時間:18:00~24:00 L.O. food 23:00 / drink 23:30
定休日:毎週木曜、第1、第3水曜
根津エリアの焼き鳥屋さんと美味しいお店
上質でリーズナブル!根津にある新進気鋭の焼鳥店「焼鳥 朱夏」 全国でも珍しい絶品クジラ料理専門店!根津・千駄木の食滋楽(旧ひみつくじら)焼鳥の進歩から目が離せない、すしログ(@sushilog01)でした。
※本記事はNo. 198に最新情報を追記して更新しました
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