「寿司の街」と呼ばれる、北海道・小樽。
全体的に昔ながらの街場の「寿司店」が多いと感じますが、こちらの「伊勢鮨」さんは江戸前の仕事を採り入れておられ、「鮨店」と言えるクオリティで楽しませてくれます。
「伊勢鮨」さんは北海道産の素材に江戸前仕事を施す、いわゆる「蝦夷前」のお店。
価格もリーズナブルで、一番上の【旬】が16貫で6,300円。
→【おまかせ握り】16貫:7,700円、【おまかせコース】9,900円、【鮨割烹コース】15,400円の構成に
内容に対する満足度は中々高く、矢張り「小樽」に限れば訪問して損のない鮨店だと感じます。
20代後半に伺った時から少し時が経ち、その間に多くのお店を巡りましたが、仕事の粗さはあれども個性を有するお店だと再認識しました(2017年11月)。
ただ、大変残念な点が一つあり、端的にお店の臭い。
つけ場ではなく、廊下や奥から漂っており、生ものの処理が極めて甘いと感じました。
鮨店にとって匂いは重要な要素であり、一流店と三流店を見極めるポイントだと思います。
折角の味が台無しなので、至急対応される事を願います。
こちらのシャリは米酢を用い、今となれば穏やかな酢と塩のバランス。
しかし、硬さや温度は街場寿司のそれとは異なり、口に運んで嬉しい味わい。
握りは7手~8手で、掌ポンありですが、酢飯に「船底」を付けられている点に好感を覚えました。
また、握りを溜め置きされない点は、札幌の「すし善」さんよりも上質なサービスだと感じます。
ガリ
強い甘みと穏やかな辛味で、非常にクラシカルな味わい。
松川鰈
昆布〆、塩、酢橘。強めの〆でねっちりした食感。
ソイ
これも昆布〆、塩、酢橘。
昆布〆が2貫続く点は好みを分けるかもしれない。
松川鰈よりも歯応えがあり、旨味も強くて美味。
個人的には、松川鰈は生で良いと感じた。
鮪赤身
漬け。
山わさびとネギを用いる点が北海道らしい。
酸味が気持ち良い赤身で、漬け加減は穏やか。
鮪大トロ
包丁を入れているが、筋が気になる。
旨味も弱く、価格相応と言う印象。
キングサーモン
「キングサーモン」との説明であったが、北海道で言うマスノスケ。
脂がかなり乗っていて香りもあり、これは旨い!
鰊
漬け。
柚子胡椒とネギを使用。
ニシン特有の癖は無く、「香り」として楽しませてくれる。
これは中々面白い仕事。
ボタンエビ
ぷりぷり、トロトロで、メチャクチャ強い甘み。
これも満足度が高いタネだったが、提供温度をもう少し高めにすれば更に良くなる。
帆立
繊維がみっちりした帆立で強い甘み。
北寄貝
握った後に手で叩いてから提供。
シャリが潰れてしまったのは残念だった(笑)
だが、北寄貝は美味しい。
ツブ貝
包丁の入れ方が良く、コリコリ感を楽しませつつ、硬すぎない。
苦味と風味が酢の酸味に合う。
蝦蛄
大振りなものを半分に切って。
香りがしっかりしており、卵の食感が気持ち良い。
タネの冷たさが気になるものの、美味しい。
ズワイガニ
煮ツメで提供され、これは残念。
煮ツメは穴子の旨味が抽出されており、ズワイガニも旨い。
各々自体は良いのだが、合わせる事で不協和音を生じさせている。
椀
出汁は昆布とボタン海老。
具は海苔。
大変香り良く、海老の風味がしっかり出ており、美味しい。
いくら軍艦
旬であったが、かなりしっかりと漬けておりビックリ。
旬ものは浅い漬けでよろしいかと。
コマイの子の軍艦
コマイは北海道特有の魚で、鱈に似た姿。
ただ、身は旨味が弱いため、干物にして旨味を凝縮する事がしばしば。
反面、子(卵巣)は評価が高い。
卵の粒子は細かく、特有の香りがあり、プチプチとリズミカル。
牡蠣軍艦
サロマ湖産。
煮るのではなく生で、塩味で提供。
非常にしっかりした香りと力強い旨味の牡蠣。
バフンウニ軍艦
塩水でミョウバン不使用。
サラッと溶けて、強い甘みが口を満たす。
店名:伊勢鮨 (いせずし)
シャリの特徴:味付けはクラシカルタイプだが、硬さや温度は中々。
予算の目安:コース3,000円〜6,300円
TEL:0134-23-1425
住所:北海道小樽市稲穂3-15-3
最寄駅:小樽駅から450m
営業時間:月~土11:30~14:30、17:00~21:30、日・祝11:30~14:30、17:00~20:30
定休日:水曜
※電話予約の受付は14:00~15:00、20:00~21:00の間のみ
本記事のリンクには広告がふくまれています。