鮨が10倍楽しくなる旬魚の世界 No. 31~夏~アワビ(鮑)

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こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。

本記事は「旬の魚」をご紹介する「旬魚の世界シリーズ」です。

当シリーズでは、旬の魚の魅力を鮨ブロガーならではな目線で解説していきます。

今回は「アワビ(鮑)」についてご紹介します。

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魚の旬についての記事はたくさんありますが、鮨マニアが解説している記事は唯一無二かと!

楽しんで頂ければ幸いです。

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▼シリーズのまとめ記事はこちらです

アワビ(鮑)の基本情報と旬は?

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標準和名:アワビ

通称・別称:古い職人さんはメガイアワビを「ビワッ貝」と呼ぶ。また、クロアワビを別称「オガイ」と呼ぶことから、「アオッ貝」と呼ぶ。

英語名:Abalone

旬:6~8月

アワビ(鮑)についてのすしログ的コメント

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夏場の鮨店で使用されるアワビは主に3つで、クロアワビ、メガイアワビ、マダカアワビとなります。

これらは呼び方が違うのではなく、別種のアワビとなります。

 

そして、アワビは潮間帯から水深50m程までの岩礁地帯に生息し、上記の順に深いところに棲み付きます。

最も深い場所に棲むマダカアワビは水深15~50mの深さにいるそうなので、当然の事ながら獲るのが難しく最も高級なアワビとなります。

かなりの大型になるため、「蒸す(煮る)」と言う江戸前の仕事に最適です。

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アワビは数時間火入れする事が一般的なので、家庭で作るには「小さめ」なクロアワビであってもやや労力が掛かります。

 

なお、エゾアワビも鮨で使われますが、旬が冬(11~1月頃)となるため本記事では割愛します。

 

ちなみに、トコブシもアワビの仲間(「小さなアワビ」ではなく別種!)となり、浅い潮間帯に生息します。

トコブシとアワビの見分け方はかなり簡単で、貝殻の穴(呼水口)の数です。

アワビが2~6個で平均4個とされるところ、トコブシは6~9個で平均8個。

穴の形についても異なり、アワビは隆起していますが、トコブシは平らです。

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アワビは資源管理の観点から各県ごとに禁漁時期を定めていて、概ね10月~2月の範囲内で2~4ヶ月の期間を定めています。

有名なブランド産地である岩手は夏場が禁漁で3月~10月、千葉が9月16日~3月、三重が9月15日から~12月を設定しています。

禁漁期にも鮑が出てきますが、それらはエゾアワビもしくは他産地のもの、あるいは漁期に獲った蓄養ものとなります。

 

アワビは密漁が横行しているため、食べ手も漁期を押さえておくのが食のマナーかなと、個人的には思います。

千葉県の大原では乱獲に伴う不漁のため18年間も自主禁漁されました。

しかし、資源が回復せず、マダカアワビは幻の逸品となっています。

 

密漁に加えて、サステイナビリティも皆が考えないといけない時代です。

このあたり、無頓着な「グルメ」が多くて驚くばかりですが…。

味の話に戻ると、鮨店で頂く上質なアワビは格別です。

アワビの香りと旨味を引き出す仕事は、鮨が一番だと確信を持って断言します!

蒸したてのアワビに包丁を入れた時の香りと言ったら…

否応なしに食欲をくすぐられ、恍惚としてしまう香りは、白トリュフと互角で戦える国産食材だと思います。

 

夏場に鮨店を訪問して感じる幸せの一つは、間違いなくアワビでしょう。

特に上述のトップブランド房州大原のマダカアワビは桁外れに美味しいです。

すきやばし次郎の小野二郎さんによると、大原のアワビは生の状態だと他の産地と変わりないが、蒸した時に歴然たる差が出ると言っておられ、成程と感じます。

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トレンドとしては握りよりも酒肴で出す事の方が圧倒的多数です。

大ぶりにカットした蒸し鮑にはこの上ない喜びがあり、僕も大好きです。

 

ただ、一つだけ言いたい事があります。

肝のソース+酢飯(シャリ玉もしくは混ぜてリゾット風)と言う提供方法は普及しすぎているので、別の提供方法を考えても良い段階なのかもしれません。

鮨店は握りを食べる場所なので、そこで酒肴を出す以上、必然性や個性は必要かと思います。

いつまでも「鉄板の調理法」に固執する必要は無い気がします。

 

例えば、【水貝】と言うアワビ料理をご存知でしょうか?

俳句の夏の季語になっている料理で、生のアワビを大ぶりのダイスカットにして、氷やキュウリ、生姜と共に冷たい塩水に浮かべる料理です。

黒鮑で作る事が一般的で、これはかなりベテランの職人さんしか知らないように思います。

 

あるいは、アワビのとろろ。

大変贅沢な料理ですが、酢飯との相性が抜群です。

これらをそのまま作るのも良いですし、アレンジするのもアリです。

水貝を蒸し鮑でアレンジすると面白いように感じます。

 

また、「鉄板の調理法」であっても、そのまんまではなく少し自分流にアレンジして出せば問題ありません。

札幌の和喜知の田村親方は2017年の時点でアレンジして出されていました。

要は鮨店の酒肴には自身の発想を加える事が必要ではないか?と感じる次第です。

アワビ(鮑)の鮨における仕事(調理法)

アワビ(鮑)の鮨における仕事(調理法)は以下の通りです。

  • 蒸す
  • 煮る

アワビにダメージを与えず、それでいて香りと旨味を引き出す調理法は、やはり蒸す仕事か煮る仕事ですね。

日本酒を用いてじっくりと火を入れ、アワビのエキスを抽出して柔らかくするのが目的。

「蒸し鮑」と言っても実際には煮ている事も多々あります。

ただ、煮るのでは香りが逃げてしまうので最適ではないように感じます。

煮汁の量や塩分濃度をコントロールして煮る方法もありますが、高度な技術が必要なので、腕に自身が無ければ蒸すのが王道だと思います。

最近は圧力鍋を用いる方も増えていて、それはそれで良いと思います。

全ての調理法で大切なのは、柔らかくする事だけでなく香りを残し引き出す方法を考える事です。

食べる時はここに注目!

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鮨でアワビを食べる時に注目するポイントはこちら!

  • 香り
  • 旨味
  • 食感

柔らかい食感だけでなく、繰り返しとなりますが、香りが強いかどうかが重要だと思います。

素人でも時間を掛ければ柔らかく作る事は出来ます。

しかし、アワビのクオリティと仕事の精度はアワビの香りを引き出せるか否かで決まります。

 

また、旨味を何処まで残せるかもポイントでしょう。

柔らかくても香りが弱かったり、旨味が逃げていてスカスカだと、残念極まりありません。

上質な仕事を施したアワビは指が触れた瞬間に張り付くような粘度があり、溶け出たゼラチン質に驚かされます。

 

掲載した写真のお店

鮨わたなべ(東京都) 殻ごと写真を2枚

喜邑(東京都)

鮨木場谷(石川県)

鮨さかい(福岡県)

くるますし(愛媛県)

銀座鮨わたなべ(東京都)

 

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鮨と魚をこよなく愛する、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)でした。

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