
こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
「銀座バードランド」と言えば、焼鳥好きなら誰もが知る名店ですね。
親方、和田利弘さんはモダン焼鳥の人気を高めた功労者で、新しい表現を幾つも生み出されました。
僕は若かりし頃、和田さんの共著である『やきとり:11店の技術と串バリエーション』(柴田書店・2008年)を読み、自分で串を打ちつつ焼鳥店を訪問しました。
20代半ばから後半にかけて友人たちと「バード会」を作って焼鳥店を巡ったのは良い思い出です。
時が経ち、焼鳥の進歩は目覚ましい状況。
このタイミングで「銀座バードランド」をすると改めて発見があり、大変楽しかったです。


和田さんがいらっしゃる日に予約して誘ってくださった紳士に感謝!
奥久慈軍鶏の力強い旨味と、焼鳥の枠組みにとらわれないコース設計には、今なお色褪せない魅力があります!
モダン焼鳥の黎明期には数々の名職人さんがいらっしゃいますが、焼鳥の名声を高めたレジェンドのお一人であることは揺るぎない事実ですね!
1987年に阿佐ヶ谷で創業し、2001年に現在の銀座・数寄屋橋の地へと移転した「銀座バードランド」さん。
店主の和田利弘さんは、日本の焼き鳥界におけるレジェンドというべき存在です。
2007年、世界で初めて「焼き鳥店としてミシュランの1ツ星」を獲得したことはあまりにも有名ですが、バードランドの真の功績は、大衆的な「赤ちょうちん」の酒場料理だった焼き鳥を「コースで味わう洗練されたご馳走」へと昇華させた点にあります。

茨城県産の銘鶏「奥久慈軍鶏」を丸鶏で仕入れ、店内で余すところなく解体して部位ごとの個性を引き出す手法。
今や全国の高級焼鳥店で定番となった「ソリ(ソリレス)」という部位を定着させたのも和田さんですし、1989年から供されている名物の「レバーパテ」や、岡山・吉田牧場の「カチョカヴァロ」を炭火で焼くアプローチなど、現代の焼鳥店で当たり前のように目にするスタイルの源流は、その多くがバードランドから始まっています。

焼きの技術についても硬派そのもの。
串は無理に「打つ」のではなく、鶏の筋や繊維を見定めて「刺す」。
そして火床の上では「できるだけ返さない」ことを信条とし、強い炭火の熱によって肉の魅力を一串に閉じ込めます。
調味料も下総醤油、正田醤油、ヒガシマルの超特選うすくち醤油などを使い分け、素材の輪郭を鮮やかに際立たせています。
「調味料にこだわる焼鳥」というのも、一昔前はかなり画期的でした(と言うか、現在でも調味料のクオリティが低かったり使い方がイマイチなモダン焼鳥もありますよね)。
要は、今の時代に伺うと、温故知新すら感じる風格ある焼鳥だと感じました。
それでは、「銀座バードランド」のおまかせコースについて紹介します。
以下が2026年8月の訪問時にいただいた内容です。

左下から時計回りに、軍鶏の皮の二杯酢漬け、砂肝の煮凝り、加賀太きゅうりの浅漬け、万願寺唐辛子の焼き浸し。砂肝の煮凝りは塩気が穏やかで、出汁の奥から鶏の純粋な風味が広がる。そこにパクチーを合わせており、意表を突く香りのアクセントに驚かされる。皮の二杯酢漬けは軍鶏の力強い歯応えを残しつつ、爽快な酸味で端正にまとめ上げている。

ささ身にバジル、紫蘇と梅を合わせた一皿(4人でシェア)。火入れはしっとりとしており、噛むとジューシィなエキスが滲み出る。紫蘇と梅は定番だが、バジルとは面白い。バジルの清涼感ある香りが強すぎずに馴染み、ことのほか上品に軍鶏ささ身の淡やかな旨味を引き立てる。

1989年から提供されているバードランドの代名詞的一品。今では出すお店が増えたものの、1989年に考案されたとはお洒落だ。

軍鶏の新鮮なレバーを醤油と玉ねぎでじっくり煮込み、カルピスバターとブランデーのレミーマルタンを合わせて練り上げているそうだ。口に含むと濃密なコクが舌に広がり、油脂の甘味とカルピスバターのリッチな香りと洋酒の芳香に魅了される。パンとともに味わうと、ワインを呼んでやまない。…しかし、僕が頼んだのは日本酒だがな。


名刺代わりの一串目は、さびやき。これは面白い。表面はしっとりと上品に熱が入り、中心部は瑞々しさを保ちながらも、噛みしめると意外なほどの凝縮感がある。肉肉しい弾力とともに、奥久慈軍鶏ならではの濃密な味が広がる。本山葵の爽快な辛味が肉の甘味を輪郭づける。さびやきは本山葵でなければ、絶対にダメだ。正直なところ、僕はさびやきの山葵を確認して、混ぜ山葵のお店は訪問対象から外している。他の調味料、例えば柚子胡椒などについても、クオリティが低いものを惰性で使っているお店には訪問しない。

さびやきの後にレバーとは全く予想できない流れ。しっとり、ほろりとほどける火入れ、レバー特有の強いコクと香りを楽しませつつ、独特の血の鉄分のアタックは驚くほど軽やかだ。塩を当てて焼き上げ、仕上げに醤油とバルサミコ、そして黒胡椒をまとわせている。バルサミコの酸味と醤油の旨味がレバーの脂と乳相性が良く、黒胡椒がピリッと味を引き締める。

昔は大衆焼鳥店のねぎま(タレでちょっと焦げているアレ)が一般的だったので、九条ネギで洗練されたねぎまを作るなんて、かなりスタイリッシュな発想だ。肩肉のむっちりとした強い弾力に、九条ネギのシャキシャキとした食感が重なる。塩焼きのシンプルな仕立てながら、少量のニンニクの風味が忍ばせてあるのか、力強い存在感を放つ一串だ。

埼玉県川越産のざる豆腐。大豆の味が濃い豆腐に、上質なオリーブオイルと塩、黒胡椒を合わせて供される。オリーブオイルのフルーティーな香気が大豆の甘味を引き立て、口直しとして安堵と清涼感を与える。しかしながら大豆のコクとオリーブオイルによって持続力は維持される。

むっちりとした歯触りで、ホロ苦さがしっかりと利いた銀杏。

ももの付け根にある希少部位。フランス語の「愚か者はそれを残す(ソリレス)」から、和田さんが「ソリ」と名付けて焼鳥に導入することで世に知らしめた。むっちりとした噛み応えが際立ち、脂っぽさではなく肉そのものの純粋な旨味が押し寄せる。上品ながら野趣を感じさせる香りをまとい、ひたすらジューシィに焼き上げられている。「元祖」の説得力を実感する一串である。

広島県三原市の人気農園「梶谷農園」のハーブや野菜を用いたサラダ。クラシックなフレンチドレッシングの酸味とハーブの瑞々しい苦味が、口中をすっきりとリフレッシュさせてくれる。


ふんわりと優しい食感のつくね。炭火の薫香をまとい、合わせるソースはオランデーズソースを思わせるクリーミーな仕立て。洋の技法を取り入れた調味は焼鳥においてまだまだポテンシャルがあることを実感させる。ただ、タレを併用することで和に引き寄せる配慮も感じられる点が説得力である。

もも肉を粉山椒と木ノ芽で仕立てた一品。むっちりとした強い弾力があり、噛むほどに軍鶏の旨味が溢れる。味付けを肉の奥深くまで浸透させすぎず、表面の粉山椒の痺れとフレッシュな木ノ芽の香気で軽快に食べさせる設計だ。

炭火でじっくりと焼き込んだ肉厚の椎茸。水分を飛ばして凝縮させた香ばしさ。

もも肉の中でも運動量の多いふくらはぎの部位。もっちりとした質感で、まるで豚肉を思わせる力強い繊維質を持つ。

岡山県「吉田牧場」の名作カチョカヴァロチーズを串焼きに。火を入れることで旨味が凝縮し、お餅のようなもっちり感とともに、中心部はとろり、もぎゅもぎゅとした印象的なテクスチャー。表面に浮き出た乳脂肪分が香ばしく焼き付けられ、内側のミルク感とのコントラストを成す。焼きの際に串を巧みに回転させ、溶け出す繊維を纏わせる職人技が凄い。これによってパスタフィラータのチーズの特性、繊維質を活かしつつ独特の食感を表現している。

手羽元の肉を丁寧にほぐして串打ちし、岐阜の鮎料理の名店「泉屋」さんの鮎魚醤をまとわせて焼き上げた逸品。口に含むと「もの凄く鮎!!」と直感する鮮烈な鮎の香りと魚醤のコクが広がる。手羽元の力強い弾力と鮎魚醤の旨味が共鳴し、印象深い。

皮とせせりを交互に串打ちしたアイデアが溢れる一串。しっとりとした柔らかさとコリコリとした歯切れの対比が心地よい。余分な脂を落とし、下世話にならない上品な焼き加減に仕上げている。軍鶏の上質な脂を山椒のピリッとした刺激がキリッと引き締める。

鶏の旨味がたっぷりと出ており、後味はスッキリな鶏スープ。

親子丼は鶏肉は美味しいのだが、卵に火がしっかり入っているのはご愛嬌!笑

お弟子さんが、火力のムラを考慮せずに鍋をそのままにして作ってしまった様子。高級焼鳥店の親子丼で火が入りすぎていると、町の食堂のほっこり懐かしい親子丼を想起するので、卵の火入れは極めて重要であることを実感する。
「銀座バードランド」は、一休経由でWEB予約が可能です。
店名:銀座バードランド(ぎんざ ばーどらんど)
予算の目安:おまかせコース10,780円〜
最寄駅:銀座駅から100m
TEL:03-5250-1081
住所:東京都中央区銀座4-2-15 塚本素山ビル B1F
営業時間:火〜金 17:00〜21:30(L.O. 21:00)、土 17:00〜21:00(L.O. 20:30)
定休日:日曜、月曜、祝日
モダン焼鳥の最高峰!
モダン焼鳥の礎を築いたレジェンドの仕事に敬意を覚える、すしログ(@sushilog01)でした。
本記事のリンクには広告がふくまれています。
