創業を慶応元年(1865年)まで遡る、金沢きっての老舗です。
加賀麩不室屋さんの概観
お麩の専門店であり、今や数多くの支店を展開されております。
金沢駅に入っているFumuroya Cafeでも魅力的な【ふやき御汁弁当】を頂けますが、本店にお伺いして頂きたかったものこそが【麸久箱膳】。
お値段は3,132円と中々張りますが、多様な加賀麩を用いた料理を一度頂いてみたかった次第です。
歴史があり、寺社仏閣が多数存在する古都には麸料理がつきもの。
僕は機会があれば各地で頂くようにしております。
(多くは精進料理や麩饅頭として供される事が多い印象です)。
建物は道路拡張によって一部削られたそうですが、昔の名残を留める建築となっております。
1982年(昭和57年)に蔵を改装してお店にしたそうです。
ただ、内装はモダンなのでカジュアルに頂くことが出来、テーブルと座敷(小上がり)があるようです。
【麸久箱膳】を頂いた感想としては、気軽に頂ける料理としては満足度が高い内容です。
ご自慢のお麸を余すところなく頂ける上に、加賀野菜や治部煮など、金沢に訪れるなら頂きたい郷土料理が盛り込まれております。
懐石料理店や割烹ではないので調理上の粗は少々感じましたが、それをカバーする面白さが魅力です。
使用されている素材もクオリティが高く、野菜やお米が美味しい点も好印象でした。
盛り付けも綺麗ですしね。
なお、完全予約制ではありませんが、休日は予約されるのがベターです。
僕は1日前に取ったのですが、いざ訪問すると満席だったので、旅行者ならばお忘れなく!
加賀麩不室屋さんの【麸久箱膳】の詳細
蓋裏膳
・生麩の昆布〆
・湯葉
・はす芋
・ミニトマト
・椎茸
・揚げ花麩
・もずく酢(オクラ、丁字麩)
突出して印象深かったのは生麩の昆布〆。
おぼろ昆布で巻いた蓬麩は昆布の旨味をしっかりと含んでおり、それでいて生麩の甘みが力強く主張する。
もずく酢は酢が強めだが、暑い日だったので気持ち良い。
そして、丁字麩らしい香ばしい香りが上品に盛り上げてくれる。
麩久箱
・すだれ麩寿し
・ほおずき「玉麩蜜煮」
・海老
・鮎一夜干し
・枝豆
・茗荷甘酢漬け
・珠麩入り玉子焼き
・生麩岩石揚げ
・みねおか豆腐
・麩そうめん(素麺、青楓麩)
すだれ麩寿しとはこちらならではの独創的な一品。
加賀生麩は1725年(享保10年)に完成され、その中ですだれ麩は1729年(享保14年)に編み出されたとされる。
治部煮に於いて必要不可欠なお麩である。
正に加賀麩を代表するお麩だ。
寿司にする事で、いなり寿司のような妙を楽しませてくれる。
「玉子焼き」は出汁巻きであり、中のお麸は美しい。
さらに、ほおずきをイメージした「玉麩蜜煮」にはほおずきの香りが移り、時期ならではな季節の移ろい、空気の香りを感じさせてくれる。
生麩岩石揚げもまた良い。
衣を付けて揚げ、柚味噌を合わせている。
揚げる事でお麩はむっちりと凝縮され、それを衣のサクサクした食感と香ばしさが包み込み、噛みしめるとお麩の甘みがじんわりと広がる。
みねおか豆腐は胡麻豆腐のような魅力があるが、牛乳を用いているため一種チーズ的な趣向も同居している。
治部煮
これは大変魅力的な、こちらならではな逸品。
一言で、上品。
味付けが一般的な治部煮よりも格段に軽やか。
そして、野菜が美味しく、牛蒡、千石豆、カボチャ、どんこ椎茸などが味覚的・食感的なバランスに長けている。
そこにお麩の共演。
すだれ麩はもぎゅっもぎゅっとした食感の後にじゅわっと出汁を滲ませ、市姫麩と手まり麩はまた異なる魅力を与えてくれる。
そもそも手まり麩が実に可憐だ。
お食事
ご飯、生麩のしぐれ煮、味噌汁、香の物
味噌汁には花麩と湯葉が用いられている。
麩の時雨煮は上品に生姜を利かせており、ご飯に合う。
お米の炊き加減は柔らかめだが、実に旨い。
白山のゆきむすめを使用されているそう。
生麩まんじゅう、果物
柔らかくも食感を楽しませてくれる。
餡はさらりとしており麸との一体感がある。
何よりも麩の香りが心地良い麩饅頭だった。
接客が事務的かついささか高圧的で難を感じましたが、決定的な瑕疵にはなっておりません。
加賀料理らしさを楽しむには最適な候補の一つかと思います。
加賀麩不室屋さんのお店の情報
加賀麩不室屋(食べログのリンク)店名:加賀麩 不室屋(かがふ ふむろや)予算の目安:【麸久箱膳】3,132円(税込)のみ
最寄駅:金沢駅から1,300m
TEL:076-224-2886
住所:石川県金沢市尾張町2-3-1
営業時間:お食事は11:30~14:00、買い物は~18:00
定休日:火曜
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