
こんにちは、イタリアンも大好きな、すしログ(@sushilog01)です。
今回の富山旅行は鮨がメインでしたが、やはり他ジャンルでの魚介の使い方も見てみたいところ。
ジャンルが変わると魚介へのアプローチが変わるので、魚介を知るためには鮨だけ食べていても不十分だと確信している次第です。
そこで白羽の矢を立てたのが今回の「シンポジウム」さん。
ジャンルはイタリアンです。
結果的に素晴らしいレストランで、こちらも「富山を訪れる理由」になる一軒です。


高岡の「和香奈」さんとともに、富山に来て良かった!と実感しました。
食べログのスコアは3.25ですが、余裕で富山トップに入る実力です。

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「SYMPOSIUM(シンポジウム)」さんは富山市の市街地から離れた場所にあります。
なぜ??と思いましたが、訪問してみて納得。
薪料理を提供されているためでした。

そして、「SYMPOSIUM(シンポジウム)」さんは既にオープンから10年以上の月日が流れていて、2013年8月に中心街で開業された後、2023年9月に現在の場所に移転された模様です。

オーナーシェフの廣野 智之さんは、富山の食材を見事に駆使されています。
見た目が美しく、創作色が強いモダンイタリアンの範疇にありますが、いただいていて古典的な郷土イタリアンへの敬愛があると感じました。
帰宅後に調べてみたところ、廣野シェフはイタリアで長年修行された方との談でした。
フィレンツェで5年間修行された後、サルデーニャ島の有名シェフ、ルイジ・ポマータさんの” Ristorante Luigi Pomata”で研鑽を積まれたそうです。
僕はイタリアンにおいてはシェフのイタリアでの修行経験を重視していますが、その考えは間違っていないと感じる御料理です。
日本で営業されていても「イタリアかどうか?」は食後の満足度に大きく影響してきます。
ご存知の通り富山湾は「天然の生簀」と呼ばれるほど魚介類に恵まれていて、標高3,000m級の立山連峰と水深1,000mを超える富山湾との高低差は、なんと4,000mもあります。
故に魚介類を前面に推すお店が多いところ、廣野シェフが推すのは野菜です。
契約農家から届く無農薬の旬野菜を駆使して、こちらだけの御料理を作られています。

ただ、野菜を前面に推しているからと言って魚介を使わないわけではなく、むしろ積極的に使用されています。
ですので、魚好きならば満足できるコースなのですが、なぜ野菜など山の食材を推されるのか?
お食事の後に話を少し聞いてみたところ、山菜とキノコもお好きの様子でした。
個人的に推察するに、修行先のサルデーニャは島でありながら羊飼いの暮らしが基盤にある食文化のため、サルデーニャへのリスペクトと富山の郷土愛を組み合わせて今のスタイルにされているのではないか?と感じました。
その精神性はコースの料理名に象徴されていて、例えばパスタの「サンマルツァーノ」はトマトの品種が名前でありながらトマトソースではなくイカスミです。
そして、いただけば山の食材に脚光を浴びせつつ海の食材を組み合わせるスタイルの意味を味をもって知ることができます。

「SYMPOSIUM(シンポジウム)」さんのコースについては、ランチ【季節のおまかせコース】11,000円+サ、ディナー【季節のおまかせフルコース】16,500円+サで構成されています。
ただ、ランチでもディナーをいただけるので、僕はフルコースをいただきました。

そして、ワインペアリングはフル11,000円、ハーフ7,700円となっているので、ハーフをお願いしました(グラス数は変わらず量が変わるのみです)。
ペアリングは非常に魅力的で、プレゼンテーションもセレクションも見事でしたので、お酒を飲める人は必ず公共交通機関でお伺いして、ペアリングを付けることをオススメします(タクシーでも、富山駅から2,000円ほど)。
それでは、2025年4月に訪問した際にいただいた内容を紹介します。

お野菜の出汁に薪の香りをまとわせて。あたかもハムを使ったかのような旨味の強さに驚く!コクがしっかりで、実に美味しいスープだ。

次の前菜に合わせる泡は、春野菜の苦味に軽い苦味を合わせているそうだ。確かに、苦味と強めの酸味は春の野菜に良い。

芽キャベツと黒部のヤギのヨーグルト、カンパチの塩麹漬けを射水の食用バラで包んだもの、南砺のマイクロリーフとサツマイモのチップス、黄色人参と氷見の鰤のツナクリーム、プティベールとリコッタチーズ。
ご説明の順番でいただいた。

【芽キャベツと黒部のヤギのヨーグルト】は、芽キャベツの香りとホロ苦さが楽しめて、ヨーグルトの酸味は極軽い。カンパチも美味しく、塩麹らしい軽いねっちり感のある凝縮だ。

【カンパチの塩麹漬けを射水の食用バラで包んだもの】は発酵料理を美しく表現しているのが魅力。
【南砺のマイクロリーフとサツマイモのチップス】はサツマイモの香りと甘味にマイクロリーフながらしっかりと青々しい香りが印象的だ。
【黄色人参と氷見の鰤のツナクリーム】は人参の甘味と鰤の香りが活きている。鰤のツナ自体が美味で、取り合わせも個性的。
【プティベールとリコッタチーズ】は苦味が気持ち良い。
実に味覚のメリハリがある前菜だ。そして、さらに前菜が続くのが楽しい。
【スキャッチャータとマイワシの自家製アンチョビ】

イワシの濃密なコクを楽しめ、美味しいアンチョビ。

ワインは ダリオ・プリンチッチのメルロー。イノシシの脂に合わせている。
【天然猪のハンバーガー】

猪はバラ肉を薪炙りにしている。実に美味しい脂で、程良く炙りによって落としているのか、軽やか。塩気も穏やかでアミューズの一品として良い塩梅だ。美味しいし、ポップなプレゼンテーションでジビエを提供されていて素敵だ。
ポロネギのソースとバイガイ、春菊の新芽を使ったサルサヴェルデ、肝のクリームと古代米のかんもち。



バイガイはアオバイガイで、蒸し焼きにしている。これが驚くほど甘くて旨い!薪炙りの香りも実にそそる。食感は柔らかくてむっちり、テクスチャーも魅力的だ。ポロネギソースには軽い酸味とスパイス香が加えられている。また、香ばしいかんもちに肝の軽い苦味と香ばしさ。

トレンティーノ=アルト・アディジェ州のワイン。小さなお花を集めたブーケのような香り、味は甘くなくドライ…との談で確かに!


生から薪の熾火で焼いたホタルイカ。いただく前のプレゼンテーションから香りが芳醇なホタルイカだ。足が生っぽく良い火入れを予感させる。

そして、オレッキエッテのパスタフレスカとともに提供。チーマ ディラーパはヨーロッパ品種の菜の花だそう。苦味がある菜の花で爽やか。焼いた香ばしさも魅力的で、苦味の奥に甘味がある。パウダーには抹茶を思わせる香ばしさがある。

ワインは苦味を同調させつつ、上品な甘味と旨味を活かし、相乗効果があるペアリング。

海女さんが手摘みの岩海苔とのことでありがたい。猪ロースのしゃぶしゃぶとともに。イノシシはピュアな香りで、脂が甘く、身も柔らかだ。あたかも生ハムのようで非常に美味しい。岩海苔は食感がありつつ、柔らかくて上品な食感だ。薄くて食感が良い岩海苔。

タンニンがきめ細かいので、生魚とも合わせられる。鉄分を料理に合わせているそうだ。キュッとした収斂味があるので後味が軽やかである。

魚介のスープと粒々パスタ(サルデーニャの伝統的なパスタ「フレーグラ」)、自家製カラスミ、赤芥子菜の新芽。塩分は魚介から出てきたもののみとのことで、塩気が丸い!魚介の旨味と甘味、イカの風味が堪らない。フレーグラはぷるぷる、もっちりなテクスチャー。「旨味で食べさせる」パスタは発想が良いなあとしみじみ。

南国のフルーツパイナップルや地中海の香りなどをお料理に加えるイメージ。おっしゃるとおり、華やかな香りが合う!


じっくり焼いたフェンネル、菊芋のピュレ、大葉のオイル、そして鰆。鰆は熾火の上でじっくりと焼いているそうで、未体験の食感だ。しっとり、ジューシィで旨い。しっとりしつつ軽い凝縮感があり、鰆の旨味と香りが詰まっている。そして、持ち味の酸味が後味を引き締める。これは鰆の表現として非常にユニークかつハイレヴェルだ。さらに菊芋の土のニュアンスと甘味を魚に加える観点も面白い。主役である焼き込んだフェンネルは甘い!

白い大きな花やグレープフルーツ。味わいはジューシーさ、華やかな香りからの強い酸味。フェンネルの香りと合うワインだ。鰆は酸味の部分で調和し、ワインの甘味やコクが引き立つ。


富山市「池多ファーム」の池田牛のサーロインの熾火焼き。

野菜は、新ゴボウのピュレ、ノカンゾウ、カーボロネロ、塩漬けにして発酵させた紫ニンジン。肉は旨味と香りの凝縮感が魅力。噛みしめると香りと旨味が高まる肉の仕事だ。肉の表面はカリッと焼き込んでいて、焦げの部分を落としていないのが良い。香ばしさと苦味を調味料的に加えてくれる。僕は牛肉料理は表面をトリミングせずにいただくのが大好きだ。付け合わせの野菜は付け合わせでなく各自個性を痛感させる。サボイキャベツは焼き込んで香ばしく、味わいの印象が強い。こみ上げてくる苦味が心地良い。

2015年ヴィンテージをお店で寝かせて角を取り、旨味たっぷりの状態で提供。お肉を楽しんでもらうためタンニンよりも旨味を意識されているそうで納得。


イカスミのスパゲティ。蕗の薹と生シラスのロザマリーナを味変に。

イカの風味とトマトの甘味と旨味が素晴らしい。これは言葉を失う濃密な味わいだ。

第一アロマはグレープフルーツ。酸味がありつつ甘味も上品に楽しめるワイン。ペアリングもバッチリで、合わせると良さが引き立つ。

富山の小麦を使用したパスティエラ・ナポレターナ。イタリア・ナポリでイースター=パスクア=復活祭の際に食べる伝統的なケーキ。リコッタチーズ、柑橘も使用。添えられているジェラートは朝日町のバタバタ茶とスパイス入り。バタバタ茶は日本に四種類しかない後発酵茶の一つ。ともに美味しく、ドルチェまで大満足だ。

福井の無農薬レモンを使用した自家製リモンチェッロ。レモンの香りが気持ち良い!リモンチェッロとドルチェの柑橘の香りを合わせるペアリング。

小菓子はフランボワーズのギモーブ、生姜入りの生キャラメル。生キャラメルはふわんとろんなテクスチャーで、生姜の繊維質がリズミカル。ギモーブは香り良い。カッフェは幾つかから選べるので、僕は【カフェ・シェケラート】をいただいた。最後まで全て満足…!
「SYMPOSIUM(シンポジウム)」さんの予約方法については、テーブルチェックでのWEB予約となります。
店名:SYMPOSIUM(シンポジウム)
予算の目安:【季節のおまかせコース】11,000円+サ、ディナー【季節のおまかせフルコース】16,500円+サ
TEL:076-413-7066
住所:富山県富山市新根塚町3-5-14
最寄駅:西中野駅から1km、富山駅から3km
営業時間:12:00~14:30、18:00~22:00
定休日:水曜
富山湾の恵みに惚れ惚れする、すしログ(@sushilog01)でした。
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