こちらは食通の友人のオススメで訪問しました。
何でも、お店のご主人はあらゆる食材に精通しておられ、今や失われつつある【生成り料理】を駆使する料理人であるとの事…
梅市さんの【生成り料理】とは?
【生成り料理】とは元来存在した関西料理、大阪料理を指すそうです。
そして、その真髄とは「材料の良さを活かすこと」と、「うまい出汁を取ること」、「素材の持ち味以上の味をつけないこと」。
この辺りは言葉にすると簡単、簡潔に響きますが、恐らくご主人は高いレヴェルで志向、表現されており、実践するのは非常に難しい感覚知に基づく仕事だと推察されます。
僕は関西料理についてはまだまだ不勉強ですが、現在の京都、大阪の日本料理が「近年変化を遂げたもの」である事は承知しております。
ですので、昔から引き継がれる関西料理の味、と言うものに対して、並々ならぬ関心を抱き、常々追求したいと考えている次第です。
そこで、いきなり結論に入りますが、こちらの【生成り料理】の味。
一言で述べると、圧倒的な凄味がありました。
いや…もしかすると人によってはピンと来ないかもしれません。
しかし、ある程度食べ込んでいる人にとっては、出汁と塩気の塩梅に熟練の技を感じるのは間違いないでしょう。
特に椀の吸い地には度肝を抜かれました。
「素材の持ち味以上の味をつけないこと」に加えて、こちらの料理は「薄味」と聞いておりましたが、それはある意味合っていて、ある意味外れていると思います。
「薄味」の範疇にはいるものの「明確な味」があり、十分に強い印象を与えてくれる為です。
各素材を密接に連結させる調味を「薄味」の一言で済ませるのは強引且つ安易。
十分に「強い味」を持つ「薄味」であると感じました。
尚、ご主人を「人を選ぶ」方と評する方もいらっしゃるようですが、全くそんな事は無く、
個性的で豪胆ながらに話好きな気の良いおっちゃんだと思いました(笑)
長年の経験に基づく淀み無い調理談義は大変勉強になり、自身の料理に活用できるネタが満載です(素人ですが)。
足を運び、もっと色々な話を聞きたい、と思わされる、骨のある料理でした。
ちなみに、ビルの入口の看板は中々に渋く、これだけ見て入る人はいないかと思います(笑)
正に知る人ぞ知る名店だと感じました。
梅市さんのお料理の詳細
この度頂いた日本酒。
浪花酒造・さか松特別純米超辛口。
冷酒、と頼むと四合瓶が一本ドン!と置かれ、ぐい呑で頂きます(笑)
先付
お揚げが非常に良い仕事をするぬた(酢味噌和え)。
初手から琴線に触れる。
八寸
舞茸は味わいから天然モノを使用している事が明白。
軽く酢を含ませている。
銀杏
椀
前述の通り、吸い地が白眉!
一言で、端正。
まろみ、艶、塩、甘がもの凄いバランスで調和している。
椀種は岩茸の真薯、松茸、海老。
久々に魂を揺さぶられる椀に出会った。
お造り
真鯛が特に印象深く、噛みしめる毎に旨味が奥歯に広がる。
キノコ鍋
訪問したタイミングは非常にラッキーで、各地の天然モノのキノコが目白押し!
産地は山形、信州、甲州、宮城。
キノコはフウセンタケ、ショウゲンジ、ムキタケ、ハタケシメジなど。
これは椀に続いて素晴らしい味わい!
キノコの旨味、風味がとめどなく溢れ、出汁が緊密に味を繋ぐ!
家庭では出せない味のキノコ鍋に大満足。
鮃と舞茸の焼きもの
舞茸はサッと炙り、ポン酢にくぐらせている。
上等な鮃を焼くとは何て豪勢な!
菊菜の白和え、海胆
胡麻がメチャクチャ香ばしくて、うっとり。
穴子と香茸、ハタケシメジの天麩羅
穴子はしっとり仕上げられ、香りは野趣があり良い。
恐らく瀬戸内のモノを使用されている。
香茸は天麩羅で頂く事が意外にも少ないキノコだが、香りが封印されており、衣が弾けた瞬間に笑顔になる。
鯖寿司
身は薄めだが、脂はしっかり!
香りの野趣もある。
水菓子
抹茶のシャーベットなので、軽やかな食後感。
餡が美味しい。
それなりのお会計になりますが、不思議と高いと感じさせないのが凄いです。
説得力があり、文字通り腑に落ちる料理だと思います。
梅市さんのお店情報
梅市(食べログのリンク)店名:梅市(うめいち)予算の目安:16,000円〜25,000円
最寄駅:長堀橋駅から290m
TEL:06-6241-0576
住所:大阪府大阪市中央区東心斎橋1-6-3 ハイツ千年町2F
営業時間:11:30~14:00(※火~土の予約時のみ)、17:00~21:00
定休日:日曜、祝日
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