こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
こちら「すし玲」さんとは、僕のライフワークである「鮨と日本酒のペアリング」を行っているお店を探している時に出会いました。
その後、知人から「お茶のペアリングも良かった」との情報を聞いて、尚更期待が高まった次第。
この度、楽しみに訪問したところコストパフォーマンスに驚きました。
正直なところ、ちょっと心配になるほどのCPです(笑)
立地に対して信じられない価格設定の背景には、オーナーの志があり感銘を覚えました。
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「すし玲」は2020年11月にオープンしたお店です。
親方の永井 玲央也さんと、プロデューサー的な経営者の方がタッグで運営する鮨店です。
オーナーがいると色々とアンバランスなものを感じるお店も多い中、永井親方のオーナーへの信頼度が凄く、逆もまた然りだと話の節々から感じました。
コースについては、表参道の一等地(青山の骨董通り)にありつつ、飲み物込み込みで19,000円と言う驚異的な価格設定。
これはオーナー諏訪さんが「高級鮨を若い人も気兼ねなく楽しめるお店にしたい」と言う想いが込められているそうです。
諏訪さんは若い頃に高級鮨店で緊張しながらお酒を頼むに頼みづらい経験があるので、自分がするならばコストパフォーマンスにはこだわりたいと思っておられるそうで、崇高な志。
僕も若い頃は懐具合を気にしてお酒をセーブすることもあったので、「価格が見えない鮨店の怖さ」には共感を覚えます。
今の時代、デフォルトで高額なおまかせコースに、味が合わないプレミアム日本酒を出して1杯3,000円以上取る「進化系ボッタクリ」の鮨店もありますしね…。
「すし玲」は会計を気にせずリラックスして食べて飲めるようお値段をフィックスして、2万円の壁を超えないよう設定して、しかも立地は郊外ではなく都心で…と言う、自ら設定した高いハードルをクリアしているお店です。
価格がリーズナブルだと気になるのが質ですが、こちらは一定の及第点をクリアしています。
率直に言って気になる点は幾つかあるものの、全体的には満足度が高く、特にペアリングを頂くことでお店の魅力が最大化します。
生命線のシャリは米酢を使用されていて、甘味も付けているので、クラシカルな方向性です。
しかし決して野暮ッたくはなく、粘度や温度などもバッチリです。米酢を選択している理由については、親方がお好きだからと、魚の良さを出せるからという考えに基づきます。
また鮪を先に出すのは後だと重いため、と明確な思想に基づいて構成されているのが心強いです。
ただ、「気になる点」の中でも最も気になったのが、山葵。
刺身は本山葵なのですが、握りで混ぜ山葵を使用されるのは大きな欠点です。
今までご指摘される事が無かったようですが、これは改善された方が良いです。
折角、高い志をお持ちのオーナーであれば、山葵で手を抜くのは画竜点睛を欠くと言うものです。
この点だけは永井親方にお伝えしたので、是非とも改良頂ければ幸いです。
混ぜ山葵については、自称「グルメ」の方であっても指摘する人は稀有ですが、本物の鮨好きであれば100%気づきネガティブな香りと味で鮨の魅力が下がっている事実を感知する次第です。
お酒については、広く日本酒ビジネスをされている藤井耕太さんが監修されています。
藤井さんは酒匠の資格をお持ちで、堀江貴文さんと共に「想定内」「想定外」というプレミアム日本酒をプロデュースされているそうです。
また、京都の「〼PROJECT(マスプロジェクト)」さんも協力されて、方向性の異なる2つの軸のペアリングコースをベースに提案頂けます。
「すし玲」さんは上記の通りオールインクルーシブで19,000円のコースとなります。
各種のお酒やお茶を御料理に合わせてご提案頂けます。
お茶も素晴らしいクオリティなので、飲めない方でも安心です!
甘味をつけた白バイ貝の煮ものと甘味がある玉ねぎスープの相性は良い。
バイ貝は旨味がじんわりと広がり喉にも旨味を感じる。
調理の温度帯が良く、低温調理寄りの方向性だ。
玉ねぎのスープには昆布出汁を効かせている。
寝かせて旨味が強い鮃に酢橘の皮を合わせている。
序盤の白身魚に柑橘を合わせる手法は魚味を損なうリスクがあるので個人的には慎重派だが、日本酒と合わせる事で魅力を高めている。
柑橘香に日本酒のカプロン酸エチルが持つリンゴ様の香りを合わせ、しかも香りを取りやすいワイングラスで提供している。
軽い漬け。玉葱、フルーツトマト。
これは「鮨店の酒肴」よりも「料理」として作っている。
お酒はすぼまった酒グラスで提供し、純米吟醸でありつつ香りが落ち着いていて、辛口寄りでりながら米の旨味も上品に楽しませる。
オールマイティーな食中酒として頼れるオリジナル銘柄だ。
旨味が強く、酸味のあるフルーツトマトで最後にスッキリとフィニッシュ。
新じゃがは出汁を含ませて揚げているため京料理の海老芋的な趣がある。
それでいてジャガイモの香りが親近感を感じさせる。
また、先述のお酒「すし玲」が合う。
揚げた鮟肝もアイデア賞だ。
ガリは甘味が強いクラシック仕様。
名刺代わりの一貫目が、背カミのはがしとは面白い。
柔らかく、トロトロしていて、甘味がありつつ香りが後からふんわりと漂う。
香りが実に良い。
甘味、脂もあり、酸味は無し。
宮城塩釜産で、仲卸は石司。
お酒は何を合わせるのか興味深かったが、コクを高めるのではなく、逆の方向性であった。
モダン仙禽の酸で味を切る、良いペアリングだ。
みっちり、ねっちりした食感で、凝縮させる方向性の〆。
しかし、酸味は弱い。
まろやかに旨い方向性の〆の仕事だ。
鮪2貫目が脳天と言うのもマニア心をくすぐる。
味も香りも強く、脂もあるのでお酒を加温して提供するのは見事!
篠峯の原酒香も含めて味も切る方向性のペアリングだ。
出汁昆布の素揚げを添えて。
稚鮎にはお茶を合わせて頂き、【阿里山金萱茶】が実に合う。
お茶の香りと旨味が効果的に味覚に合致する。
振り塩の塩梅と焼きのテクニックとしては日本料理店に遠く及ばないが、ペアリングによってテンションを維持する構成だ。
濃厚なトロなので、沢庵の代わりにキュウリの漬け物か?
強いコクに宮泉の旨口フルーティー感を合わせるお酒の提案。
柚子を使用していて、タイラギよりも爽やかさを前面に出す。
芸術品のような器で登場。
丹波シメジ、春キャベツとともに。
熱々の酒蒸しだ。
脱水してみっちりした食感で、焼き上げて香ばしさを付与し、「焼き魚」的な香りに魅了される。
お酒は終盤に旨味、甘味を上げてくる方向性のペアリング。
塩ての提供は良い。
キリッとした塩気で甘味の輪郭を明瞭にする。
合わせるお酒、天領盃酒造の雅楽代は海胆と合わせてもネガティブ反応が無い。
茹で置きで、臭みや苦味などのネガティブな要素は無く、そこそこに甘味がある車海老。
漬け。
赤身のコクを引き出す漬け加減。
卵の香りがある甘味のある厚焼き玉子。
下味はあっさりで、繊維質はホロホロ、焼いて少しカリッとさせている。
椀種は乾燥アオサで、すっきり味の味噌汁。
「すし玲」さんの予約については、食べログ経由で可能です。
店名:すし玲(すし れい)
シャリの特徴:米酢と甘味を用いた万人受けするタイプだが、野暮ッたさは無い良いシャリ。
予算の目安:お酒込みでおまかせ19,000円
TEL:03-6805-1124
住所:東京都港区南青山5-8-11 萬楽庵ビルⅠ B1F
最寄駅:表参道駅から290m
営業時間:月・火・水・木・金・土17:00〜23:00、日・祝日12:00〜23:00
定休日:お正月・ゴールデンウィーク・お盆は市場のお休みと合わせてお休みを頂きますが、基本としては定休日はございません。との談。
日本酒ペアリングを意識的に行う鮨店「鮨あさひ」
鮨と日本酒のペアリングを行う鮨店!五反田「鮨あさひ」筆者が書いたペアリングについての記事
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日本酒ペアリングに多大な可能性を感じる、すしログ(@sushilog01)でした。
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