新型コロナウィルスの影響で山鉾の巡行と神輿の渡御が中止になってしまった祇園祭。
祇園祭はもともと疫病の流行を鎮めるために863年に始まったとされる祭礼なので、実に皮肉なものです。
ちなみに、当時流行った感染症は何と1つではなく、インフルエンザに加えてマラリア、天然痘、赤痢、麻疹などが流行ったそうなので、死者の数は新型コロナウィルスとは比べ物にならない程であった筈。
何はともあれ、今回お伺いした亀廣永(かめひろなが)さんは祇園祭で山鉾の一つ「菊水鉾」に献上される銘菓を作る御菓子司です。
亀廣永(かめひろなが)さんとは?
亀廣永(かめひろなが)さんは、1804年創業の亀末廣(かめすえひろ)さんの暖簾分けで、1936年創業です。
銘菓【したたり】は2代目の西井新太郎さんによって1970年頃に生み出されました。
もともとは祇園祭の茶席では頂けない茶菓子でしたが、茶席発の口コミによって一般販売を行い始めたそうです。
祇園祭から夏(7月~)のイメージが強い御菓子ですが、現在は通年頂けます。
亀廣永(かめひろなが)さんの【したたり】とは?
【したたり】の由来は名水「菊水の井」(現在は石碑のみ)で、その井戸の清涼なしずくをイメージして作られたそうです。
和菓子の区分としては、寒天を用いた棹物菓子。
原材料は沖縄産の黒砂糖、阿波産の和三盆、ザラメ、水、寒天。
水については京都の地下水を使用しているそうです。
非常にシンプルな和菓子ですが、食感と甘みの観点において、他の寒天菓子には無い魅力を有しています。
したたり
まず、お皿に盛り付けた時の見た目が美しいです。
羊羹とは異なる陰翳の艶を持ち、うす暗く光をたくわえる見た目に目を奪われます。
いざ頂いてみると、黒糖の香りと濃密な甘みに一瞬たじろぎますが、不思議とクドくありません。
強い甘みを楽しめるのですが、媚びるところが全く無く、独特の強いコクは和三盆由来かと感じます。
これはクリームを用いた洋菓子とは全く異なる甘みの魅力を楽しませてくれる御菓子です。
【したたり】は常温でも頂けますが、冷やすのが圧倒的に美味!
比較の為に常温で頂いてみましたが、冷えている方が複雑な甘みを吟味しやすいように感じます。
そして、上述の通り甘みに加えて面白いのが独特の食感です。
冷やす事で弾力が増し、寒天菓子ならではな弾力があるのですが、その後バラッとほどけ、不均一にほどけながら細かくなり、次第に溶けていきます。
いたずらに弾力が強い寒天菓子とは大きく異なります。
炊く際に独自の工夫をされていて、それが秘伝のようです。
甘いのに爽やかな印象もある、京都を代表する棹物菓子だと感じました。
一つ難点としては、アルミパウチから出しづらい点があります。
アドバイスとして、アルミパウチの辺にナイフを入れてパウチを切り、全てを取り出した後で1.5cm以内に切ると良いように感じました。
アルミパウチの底から押し出すと、最後の一片が潰れていて悲しいので(笑)
店名:亀廣永(かめひろなが)
予算の目安:したたり1,200円
最寄駅:烏丸駅から350m、烏丸御池駅から550m
TEL:075-221-5965
住所:宮城県仙台市青葉区春日町3-13
営業時間:9:00~18:00
定休日:日曜、祝日
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