こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
本記事は「旬の魚」をご紹介する「旬魚の世界シリーズ」です。
当シリーズでは、旬の魚の魅力を鮨ブロガーならではな目線で解説していきます。
今回は「アカガイ(赤貝)」についてご紹介します。
すしログ
楽しんで頂ければ幸いです。
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アカガイ(赤貝)の基本情報と旬は?
標準和名:アカガイ(赤貝)
通称・別称:幾つか地方名があるが、ほぼ全国で「アカガイ」
英語名: Bloody clam, Red clam
旬:1月~3月(産地によっては更に5月くらいまで)
アカガイ(赤貝)についてのすしログ的コメント
江戸前鮨で蛤、青柳と並んで代表的な貝類のタネです。
なにせ、握り鮨が生まれた文政年間(1818年~1831年)のタネと言えば、小鰭、白魚、車海老、穴子、槍烏賊(印籠詰め)、そして赤貝でした。
殻は丸みを帯びて毛で覆われているため、殻付きの状態ではあまり美味しそうに見えません。
しかし、実際の味は貝類として突出した旨味と清々しい香りがあります。
噛み締める前からふんわり漂う香り、噛み締めた瞬間に溢れ出る旨味は、他の貝には無い貫禄ある味わいです。
本当に美味しい赤貝はヒモすら旨味が強くて驚きます。
握りでも美味しいですが、キュウリと合わせた巻物【紐胡瓜(ひもきゅう)】は全ての風味や食感が調和した巻物の傑作です。
名前の由来は身の色あい。
血液中に人間と同じヘモグロビンを持つので、赤みを帯びた鮮烈な色合いが蠱惑的で美しいです。
英名が”bloody clam”とは言い得て妙。
産地としては、言わずと知れた宮城県・閖上(ゆりあげ)が筆頭。
本当に味が段違い。
東日本大震災で大打撃を受けましたが、復興が進み、今でもブランド中のブランドです。
他の産地としては、個人的に大分県・豊前、愛媛県・今治のものが印象深い。
香り、旨味、食感、見た目の色合いの全てが揃ったものが、上質な赤貝です。
刺身よりも鮨で頂くのが圧倒的に美味しい。
蛤は煮物なのでさて置き、鮨の中で最も美味しい貝だと個人的には思います。
アカガイ(赤貝)の鮨における仕事(調理法)
アカガイ(赤貝)の鮨における仕事(調理法)は以下の通りです。
- 酢洗い/生
- 寝かせる
- 包丁
かつては赤貝と言えば酢で洗う事が一般的でしたが、現在の流通だと生で提供する事の方が多いように思います。何れにせよ、腸炎ビブリオを防ぐため、まずは真水で洗う事が必須とされます。
また、最近は生のみでなく寝かせる方も徐々に増えているようです。閉店した㐂久好(きくよし)の清水喜久男親方は「半日経った方が旨い」と仰っておりますが、数日間寝かせて水分を減らす仕事は興味深いです。
最後に、美しい見た目なので飾り包丁を入れたくなる気持ちは分かりますが、過度な飾り包丁は赤貝の魅力を落としてしまいます。美しい赤色が引き立たないケースや見た目が人工的になってしまうケースなど。また、舌への接地面積が減る事で、折角の味を十分に味わえなくなる事もあります。
食べる時はここに注目!
鮨で赤貝を食べる時に注目するポイントはこちら!
- 香り
- 旨味
- 食感
口に運ぶ際に漂う香りをまず楽しむ。清々しい磯の香りは、鮨好きであれば恍惚となる香りでしょう。
そして、シャクシャクと気持ち良い食感の身を噛み締めると一気に溢れ出る旨味!上質なものは歯ごたえがあるのに柔らかく、ジューシィ且つ濃密な旨味を瞬時に炸裂させます。泡立ったような粒子が舌を包み、旨味の奔流に飲み込まれます。それを酢飯の酸味と香りが引き立て、飲み込むのが勿体無くなります。
しかし、意を決して飲み込めば喉の奥でも旨味を感じ、強い余韻に包み込まれます。あたかも夢を見ていたような恍惚感が、ピン(一級品)の赤貝にはあります。「ああ、美味しいなあ…」とため息が出る貝、それこそが赤貝でしょう。
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鮨と魚をこよなく愛する、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)でした。
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