面白い和菓子のお店が点在する奈良県。
上質な出来立て上生菓子を頂ける樫舎さんや、唐菓子である【餢飳(ぶと)】を作る萬々堂通則さんなど。
今回ご紹介する一軒も魅力的な和菓子を作られており、なんと1585年(天正13年)創業となります。
吉野に文治年間(1185年〜1189年)創業のつるべすし弥助さんがあり、これは日本全国でも突出した老舗ですが、1585年と言えば織田信長の没年から僅か3年後。
戦国時代から続く和菓子とはロマンがあります。
代表銘菓の【御城之口餅】のコピーは「豊臣秀吉が名付けた四百年続く味」。
公式webサイトによると、
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弊店祖 菊屋治兵衛に弟 豊臣秀長公から「兄の豊臣秀吉公をもてなす茶会をするから何か珍しい菓子を作るように」と命じられました。粒餡を餅で包みきな粉をまぶしたお菓子を献上したところ秀吉公はたいそうお気に召され、天正年間(1580年代)に「鶯餅」の御銘を頂戴しました。一説には全国の鶯餅の原型ともいわれております。
時がたち、弊店が御城之大門を出て町人街の1件目にある事からいつしか、お城の入口で売っているお餅から「御城之口餅」と通称が付き現代に至ります
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との事。
仰る通りの立地と店構えより、説得力抜群なエピソードです。
ちなみに、大和郡山城は戦国時代に整備された平山城ですが、奈良には良質な石材が無かったとの事で、なんと平城京の礎石まで使われていると言うので、奈良の歴史の深さに驚くばかりです。
御城之口餅
粒餡を餅で包み、黄粉をまぶした御菓子。
素朴な組み合わせですが、食感や香りの妙があります。
餅は大変柔らかく、くにゅっと身をよじらせ、粒餡の食感的コントラストが印象的。
黄粉が穏やかに食後感を強めます。
餡は砲金の大釜を使用して、蒸気で一気に炊き上げられるそうで、その仕事が食感に活きているのかもしれません。
小豆は北海道十勝産や京都丹波産を使用され、餅米は滋賀県産との事です。
老若男女誰しもが美味しいと感じるような味わいに、長らく愛されてきた理由を実感します。
御菓子司 本家 菊屋さんのお店の情報
奈良市内でも入手可能です。
店名:御菓子司 本家 菊屋(おんかしつかさ ほんけ きくや)
予算の目安:御城之口餅6個入700円(税込)〜
最寄駅:近鉄郡山駅から500m
TEL:0743-52-0035
住所:奈良県大和郡山市柳1-11
営業時間:8:00~19:30
定休日:元旦
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