こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
今回ご紹介する「つるべすし弥助」さんは、日本に現存する鮨店で最古のお店です。
なんと、文治年間(1185年〜1189年)に創業され、ゆうに800年超の歴史を誇ります。
これは京都の老舗でも中々無いほどの歴史を持つお店ですね。
お店のご紹介の前にちょっと面白いエピソードが幾つかあるので、お伝えします。
11月1日「すしの日」の由来と義経千本桜
鮨好きの中でも、11月1日が「すしの日」であることを知っている人は少ないのではないでしょうか?
「すしの日」の由来は「新米の季節で、海の幸に脂がのって美味しくなること」とともに、歌舞伎の演目である「義経千本桜」です。
「義経千本桜」の中に「すしやの段」と言う演目があり、都落ちした武将・平維盛(平清盛の孫に当たる平家の総大将)が主人公です。
維盛は討伐から逃れるため落ち武者となり、大和国(奈良県吉野郡下市村)で鮓屋を営んでいる旧家臣である宅田弥左エ門のもとに身を寄せます。
そこで、吉野川の鮎を使って鮓職人として働くうちに、弥左エ門の娘お里と恋仲になる…と言う話です。
そして、維盛は養子となり、11月1日に「すし屋の弥助」と改名したことが「すしの日」の由来です。
「つるべすし弥助」さんの当主は創業から現在まで「宅田弥助」を襲名し、現存しているというのが凄い!
なお、現在「やすけ」と付く鮨店が多い理由も、「義経千本桜」「すし屋の弥助」です。
つるべすし弥助さんの外観と雰囲気
風格ある佇まいのお店は昭和14年(1939年)に建造された建物。
敢え無く昭和初期に界隈で大火があり建て直したそうですが、それでも十分存在感があります。
店内には1600年に水尾天皇から拝領されたという看板があります。
スケールが違いすぎます(笑)
庭園にも風情があります。
明治初期までの姿
こちらのお店の伝統ある鮨とは、すなわち「釣瓶鮨」。
このような桶(釣瓶)に鮎と飯を入れて、棒に吊るして鮓にしたと言います。
詳しい調理法は、天然鮎を開き飯を抱かせ、釣瓶に竹の皮を敷いた後、二匹向い合せに丸い形状に収まるよう押し込み、三段重ねで蓋をして、籐でしっかり締めた上で、4~5日醗酵て作る生馴れ鮓とのことです。
ただ、残念ながら「釣瓶鮨」は30年ほど前(1980年代?)に作るのを止めてしまったとのこと…
無念が募りますが、同じ鮎を使った早ずしは健在です。
開いた鮎に酢めしを抱かせて「布巾締め」で押す【鮎姿鮨】と、【焼鮎山椒鮨】という押し寿司を頂くことが出来ます。
つるべすし弥助さんの【鮨定食】の詳細
それでは、つるべすし弥助さんのコースの詳細について、ご紹介します。
先付
鮎の煮凝り酢味噌、枝豆とカラスミ、ラッキョウの素揚げ、ホタテ。
ラッキョウの素揚げに何故かケチャップが掛かっていて驚きました(笑)
鮎の唐揚げ
カリッカリに揚げています。
前座はさておき、おまちかねの鮎鮨は期待を裏切らないフォルムです。
インパクトが抜群!
【鮎姿鮨】の鮎は極めて柔らかく、それでいて鮎特有の繊維質も感じます。
聞くところによると旬の初めの若鮎のみを使うとのこと。
塩気が良い塩梅で、鮎の香りの余韻が深いです。
酢飯は甘めで柔らかく、モチモチしております。
福井県産のコシヒカリを使用されているそうです。
焼鮎山椒鮨
鮎の甘みと香りを引き出すには、焼くに限ります。
姿鮨に香ばしさが加わり、酢飯との相性もこちらがベターです。
水菓子
伝統の釣瓶鮨を頂いてみたいという気持ちが一層強まりましたが、雰囲気も含めて心より満足しました。
奈良、いや関西の中でも古い食文化を継承する老舗なので、鮨好き、歴史好きの方は、ぜひ一度足を運ばれては如何でしょうか?
ちなみに、上記(+椀)の「鮎定食」で2,700円となります。
釣瓶鮓 弥助(つるべすし やすけ)さんのお店の情報
店名:釣瓶鮓 弥助(つるべすし やすけ)
予算の目安:3,000円〜
最寄り駅:下市口駅から1,043m
TEL: 0747-52-0008
住所: 奈良県吉野郡下市町下市533
営業時間:11:30~18:30
定休日:火曜
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