すしログ No. 317 江戸前鮨 服部@六本木

こちらは2009年に乃木坂にオープンしたと言う鮨店です。

親方の修行先は所謂「有名店」ではありませんが、職人としてのキャリアは33年にも及ぶそう。

キャリアの長さに加えて、公式サイト上に使用している調味料が説明されている点を踏まえ、この度訪問しました。

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また、おまかせの価格が15,000円と言う点もポイント。

今の東京の人気店・有名店の水準は客単価25,000円を超えておりますが、出来る事なら20,000円以内に収めたいところです。

有名店に伺うと、25,000円でも「安い!」と店内で言っておられる方を何回か目撃しましたが、25,000円と言う価格は決して安くはありません。

昔から食べている方ほど、昨今の価格には頭を悩ましている事でしょう(懐具合によらず、文化的感覚、相場感覚的に)。

もちろん、仕入れが一級の高級店で唸るほど美味しく、「相対的に安い」と判断できるお店もあります。

あるいはごく一部の天才的な職人さんで、高くても安いと思ってしまうようなお店もあります。

ただ、新規店なのに同じ仲卸、同じ魚種、同じ酒肴で構成しつつ客単価が25,000円を超えるお店が多いのは由々しき問題だと感じます。

鮨の本質は「魚を旨くする」事にあるので、皆が皆、「ピンの素材」を求める必要はありません。

なので、今年は比較的リーズナブルと判断出来るお店から、意識の高い進化型街場寿司なども開拓出来ればと思っている次第です。

読者の皆様で、「ここに行くべし!」と言うお店がございましたら、是非ともご連絡ください。

服部さんの概要

閑話休題。

訪問した感想としては、まず、店内に入った瞬間の規模に意表を突かれました。

職人さんのみならず料理中心の板前さんと思われる方がおられ、料理スタッフ5〜6名に加えて、フロアスタッフも2名!

このようなタイプのお店(自身の感覚では「大箱」)は久々だったので、正直なところ危惧を覚えましたが、内容はしっかりしておりました。

鮨における生命線のシャリは温度帯こそ低いものの、粘度と甘みが低く、ほどけ加減も中々なので安心しました。

酢については、鮪と一部の脂が強いタネにヨコ井の赤酢を用い、多くのタネには米酢を用いております。

お米は珍しい「鮨専用米」の長野産・笑みの絆。

粒が硬めなので、加水しても硬さを維持しつつアルファ化し易いように感じました。

温度管理を徹底すれば、更に美味しくなるのは間違いありません。

こちらの結論としては、全般的に握りを求めるお客さんよりも料理も求める方に響く鮨割烹と言う印象です。

そして、お客さんの層こそがお店の魅力を表しているように思いました。

かく言う客層とは、六本木らしい同伴年齢差カップル、良い味を出しているお爺ちゃん3人組、リッツに泊まってそうな中国系富裕層ファミリー。

全く属性の異なる方々のリラックスした談笑とお店の方々の熱意ある接客が織りなす雰囲気は、小規模鮨店には無いなあとしみじみ思いました。

明るさと活気のあるお店です。

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この度頂いたお酒

三千盛・純米大吟醸アクティブスパークリング、奥の松・特別純米辛口

服部さんのおまかせの詳細

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毛蟹のほぐし身、針魚の梅和え

共にいじりすぎてないのが嬉しい。

奇抜な事に走らず、毛蟹のほぐし身にはタラバガニの外子を添えて、

ちょっとした意外性を加えている点が良い。

ガリ

甘みが強めなクラシカルタイプだが、辛味があり、薄切りなのでフルーティに感じる。

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金目鯛

銚子産。昆布〆により脱水。

〆加減が良く、強い脂がすぐに滲む。

シャリの温度が高めだと、更に融解の速度が上がるだろう。

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鯖寿司

求肥昆布を巻いている点が個性的。

酢飯は赤酢で、胡麻と大葉を混ぜている。

求肥昆布なので風味に加えて酢の香りもあり、存在感しっかり。

同時に、鯖も脂が乗っているものなので、冒頭に嬉しい。

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小柱

さっと炙り。ジャクジャクと大変良い食感で、甘みも楽しめる。

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聖護院蕪蒸し

中には白子を用いているので、蕪と二重の甘みを楽しめる。

餡は昆布を利かせ塩気はやや強め。

個人的には塩気はもっと穏やかな方が甘みの余韻が強まるかと。

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九絵

五島列島の13キロのものを1週間寝かせ。

熟成により食感がやや弱くなりすぎており、九絵らしい雄々しさに欠ける。

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氷見の寒鰤で、直前に藁で焼き霜に。

藁火が活きており、燻香が加わり、火入れは極柔らかい。

大箱ながらに藁を用いており、しかも都度調理な点は嬉しい。

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蛸、鮑、子持ち昆布

蛸は佐島。3時間煮るだけの仕事で非常に柔らかく仕上げている。

繊維質がしっとりとほどける。

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鮑は房州産の黒鮑。

冬なのに超大型で驚いた(キロ2万円以上か?)。

なお、漁は大丈夫なのだろうか?と気になって確認したところ、夏場に捕獲したものを生簀でなどでストックしており、それを仕入れているそう。

昨今、密漁が横行しているため、食べ手も作り手も意識しなければならないポイントだ。

肝心の魚味は決して大味ではなく、香り良く、ゼラチン質も楽しめる。

トゥルトゥルに柔らかく炊いている。

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鮟肝

余市産。鰹出汁でみっちりした食感に煮ている。

雑味は無く、下処理が良い。

個人的にキャヴィアは不要(立地らしいと言えばその通りですが)。

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鮪赤身

室温での温度馴らしが甘い点は残念だが、強めの漬けにより、赤身のコクと酸味を活かしている。

仲卸はやま幸のようで、下田の延縄153キロとの事。

山葵は表でなくても良い気が。

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鮪中トロ

旨味が強く、酸味もある中トロ。

これももう少し温度を上げると更に脂が楽しめるかと。

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塩辛

瑞々しさを感じる塩辛。

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ノドグロの幽庵焼き

裏切らない味わい。

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べったら漬け

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槍烏賊

細やかな包丁のお陰でトロトロと甘い。

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青森産。旨味が強い鮃。

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牛蒡の醤油漬け

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小鰭

塩の浸透がやや強く、香りと旨味を引き出せていない点は残念。

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赤貝

旨味、香り共に中々強い赤貝。

形も良い。

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車海老

活の茹で上げで、火入れも良い。バッチリ。

すぐに甘みが広がり美味しい。

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ボタン海老

こちらは車海老かボタン海老か選べると言う、面白いシステム。

両方頂いてみたところ、鮮度が良く、トロトロと甘みが舌に絡む。

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海胆

根室産。口どけが良く、甘い海胆。

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いくら

塩いくらの漬け。故にしょっぱい。

旬以外に無理して使わずとも良い。

好きな人の為にご用意されるとしても、コースに入れない方が良い。

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穴子

笹の葉を用いて温めているよう。

江戸前にしては香りが弱いが、恐らく煮加減の為。

トロトロ志向の穴子で、対馬の穴子を用いたかのよう。

江戸前の穴子であれば、繊維質と香りを活かしても良いように感じる。

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玉子

芝海老と大和芋を用いた王道のカステラ玉子。

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浅蜊の椀

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干瓢巻き 追加

巻物にはすりたての山葵を使用されており、素晴らしい。

干瓢巻きの完成度も高く、味が濃く、食感が強い。

酢飯、山葵との相性が良い干瓢巻き。

江戸前 服部さんのお店の情報

WEB予約は一休、食べログより可能です。

江戸前 服部(一休のリンク)

江戸前 服部(食べログのリンク)

店名:江戸前 服部(えどまえ はっとり)

シャリの特徴:鮨専用米を用い、酢と塩の加減は程良い範囲で強め。

予算の目安:おまかせ¥15,000~

最寄駅:乃木坂駅から350m

TEL:03-5474-2026

住所:東京都港区六本木7-4-12 ジャスミン六本木ビル1F

営業時間:17:30~23:00

定休日:日曜、祝日

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