数年前に訪問した際、初めてひつまぶしの「調理としての必然性」を感じたお店です。
創業は江戸時代後期まで遡ります。
予約は2人以上となるため、単独訪問の場合、店先のネームボードに名前を書いて待つ必要があります。
休日に訪問したところ、10時15分で既に7番目!
10時50分頃から案内頂けるそうなので、名古屋市市政資料館と名古屋城大手門を観た後、10時40分頃に戻りました。
10時50分のご案内時にはお店前は騒然となっておりましたので、休日の定刻訪問はリスキーだと思います。
この度頂いたもの
【上おひつまぶし】3,450円、【うざく】850円、【お酒(ひや)] 650円
なお、キチッとした鰻店では、オーダー後、酒を飲んで酒肴とともに待つのが個人的に好きです。
この待つ時間も鰻店の魅力の一つ也…
と思っていたのですが、ひつまぶしと同じタイミングでの提供でガッカリでした(笑)
卓上が一瞬にしてビジーになり、ゆとりある鰻前は皆無でした。
「鰻木屋」さんの概観
頂いた結論としては、数年前に比べて味の劣化が激しくて驚きました。
一言で、焼きが甘い。
こちらのひつまぶしはご多分に漏れず味が濃厚で、特に甘みが強いので、焼き込む事で魅力を発揮します。
香ばしさと皮のパリパリ感こそが、出汁茶漬けにした際の妙味。
この点において、冒頭の「ひつまぶしの必然性」を感じた次第です。
今回は焼きが甘いので、甘みが過剰に際立ち、茶漬けにした際に鰻の失速感が強く、多くのひつまぶしと同じく必然性の乏しさを感じざるを得ませんでした。
味の変化は過剰な混雑故か?
以前は僕の他に2人組が2グループのみで、今回は満席。
焼きが職人さんの技術の範囲を超えている印象です。
改善策としては、一度に焼く量を減らすか、入店の人数制限を落とすかでしょう。
売上は下がりますが、味は上がります。
どちらを取るか、老舗に試されている時期だと感じました。
数年前に感動して愛知一美味しいひつまぶしと感じただけに、今回は残念でした。
「鰻木屋」さんのお料理の詳細
うざく
甘いタレと酢の酸味が合うが、甘酢の甘みがいささか強い。
もう少し甘みを抑えても良いかも。
また、山葵が混ぜ山葵である点もマイナス。
値段が値段なので、居酒屋のように言い訳は出来ない。
そして、上述の通りひつまぶしと同時の提供。
お酒も頼んでいるのだから、これは止めて頂きたい。
その割にお会計まで下膳しない点もマイナス。
混雑時は相席となるお店なのだから、楽しく食べるためのスペースは確保して頂きたい。
押しなべて、接客はマニュアルに載っている事だけを愚直に行っている印象であった。
上おひつまぶし
これも上述の通り、皮目のカリカリ感が弱い部分が多く、大幅な減点。
当初、タレの醤油のキレが少し弱くなったか?と感じたが、焼き込みの甘さが要因かと思われた。
焼きが弱いためにタレの甘みが際立ち、野暮ッたい印象を受けてしまった。
同時に、鰻の風味も感じにくい。
カリカリ感が強い部分は往年の精彩を放っており、「これ、これ!」と美味しく頂いた。
構成要素の一部にのみかつての美味を覚えた次第。
尚、ご飯の炊き加減はやや柔らかめだが、問題無い範疇。
しかしながら、薬味のクオリティの低さも気になった。
混ぜ山葵に加えて、山椒のクオリティが低い。
香りも痺れも非常に弱く、鮮度が気になった。
肝吸いは美味しい。
昆布を利かせた出汁に、とろんと柔らかい肝(炙り無し)。
なお、鰻店でコストパフォーマンス云々は最早考慮に値しないファクターだと感じます。
即ち、鰻が絶滅危惧種となっている以上、特に養殖鰻を使う大半のお店においては、支払うべき価格は仕事への対価。
仕入れ値よりも仕事にお金を払うべき高級料理だと感じます。
勿論、極端に高いお店は自分は訪問対象から外しますが、鰻を安く食べる時代は終わっております。
各消費者がその認識を持ち、鰻と職人への敬意を払い食するべき食材でしょう。
スーパーやチェーン店で食べる事は止めて、真っ当な仕事で鰻の魅力を引き出す職人に、それなりのお金を支払って食べる事が大切かと思います。
「鰻木屋」さんのお店の情報
店名:鰻木屋(うなぎ きや)
予算の目安:おひつまぶし2,850円、上おひつまぶし3,450円
最寄駅:名鉄瀬戸線・東大手駅から300m、名城線・市役所駅から550m
TEL:052-951-8781
住所:愛知県名古屋市東区東外堀町11
営業時間:11:00~13:30、17:30~18:30(夜は土曜のみ、完全予約制で2名から)
定休日:日曜、祝日、土用の丑の日
※予約は2名以上となります
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