こちらは1781年(天明元年)から続く、大阪きって、いや日本きっての老舗鮓店です。
すし萬の概要
もともとは1653年(承応二年)から魚屋を営んでいたそうですが、鮓店になるまでの間隔だけで128年とは、圧巻です。
こちらよりも古く、現存するお店と言えば、奈良県・吉野の釣瓶鮓弥助さんくらいでしょうか。
こちらは【雀鮨】をウリとしており、【雀鮨】は元々エブナ(ボラの稚魚)を用いて作られていたそうです(大阪・福島にて)。
それを八代目が小鯛を用いて改良し、宮中に収めたとされます(=鮓店としての創業)。
大阪鮓がお好きな方はご存知の通り、小鯛の鮓は現在多くのお店で頂けますが、発祥はこちらのすし萬となります。
高度経済成長期に大阪の百貨店に出店して以来、名古屋と東京に店舗数を増やし、現在は多くのお店で伝統の味わいを楽しむ事が出来ます。
ただ、出店先を見る限り、「多くのお店」と言っても味とブランドイメージを貫いている感を受け、好印象です。
東京に住む自分としては、前々から青山・紀ノ国屋の当店舗に伺いたいと思っておりました。
紀ノ国屋は高級スーパーとは言え、スーパー。
スーパーの中にある販売ブースは老舗の雰囲気を発しておらず、親しみを覚えます。
この度は【筥すし(箱すし)】、【茶巾2ケ入り】、【鯖姿すし(小)】を頂きました。
【小鯛雀鮨】は今度のお楽しみにして…(笑)
すし萬の大阪鮓
筥すし(箱すし)
箱寿司は大阪鮓の華。
見た目と共に、味わいも歴史に研磨されてきた説得力があるもの。
こちらの鯛は昆布をバシッと強めに利かせており、グルタミン酸由来の旨味が付加されつつ、香りは上品。
昆布〆は現代において香りが残り過ぎるのはやり過ぎだと考える次第。
これには老舗でありながら工夫を感じた。
皮目も旨味が強く、皮の食感がしっかりで、鯛好きには嬉しい。
また、海苔を噛ませ、干瓢を混ぜ込んだ鯛の押し寿司は珍しい。
干瓢の味わいと甘みならびに醤油が活きており、海苔の香りも良きアクセント。
玉子はきめ細かく、しっとり。
そして、甘い香りが良い。
穴子はホロホロと柔らかく炊かれており、これまた香りに魅了される。
酢飯の味付けは上品で、甘みは穏やかで、酸味は大阪鮓としてはやや強め。
硬めに炊き上げている点が非常に印象的だった。
(一般的に、江戸前握り鮨>>大阪鮓>京鮓の順で柔らかく感じるため)
ガリは手作り感があり、甘みがありつつも辛味はしっかり。
食感がシャクシャクなところも特長。
大阪らしく実山椒が嬉しい。
茶巾寿司
穴子と海苔の風味が強い茶巾。
特に、海苔は初手から最後まで鼻孔をくすぐる。
そして、海老オボロの甘みが活きている。
甘く炊かれた栗にささやかな喜びを感じる。
酢飯はこれもまた硬め。
鯖姿すし
昆布は巻き置きタイプで、たっぷりと用いられている。
塩も酢も強めに用いて〆ており、昆布の浸透も深め。
特に酢が強く、鮮烈な酸味と香りがある。
しかし、鯖が脂が非常に強いため、バランスは取れている。
ただ、皮目の模様から見ると、鯖はタイセイヨウサバ (ノルウェーサバ)か?
姿すしについては、上記2品と比べると非常にワイルドな印象を覚えた。
アミノ酸と甘味料の使用が気になりましたが、個性を宿すので、【小鯛雀鮨】を始めとする他の鮓を頂いてみたいと感じました。
すし萬 紀ノ国屋インターナショナル店さんのお店の情報
店名:すし萬 紀ノ国屋インターナショナル店(すしまん きのくにやインターナショナルてん)
予算の目安:筥すし(箱すし)2,220円、茶巾2ケ入り1,400円、鯖姿すし(小)2,000円など
TEL:03-3409-1089
住所:東京都港区北青山3-11-7 AoビルB1F
最寄駅:表参道駅から230m
営業時間:9:30~21:30(紀ノ国屋インターナショナル営業時間)
定休日:紀ノ国屋インターナショナルに準ずる?
本記事のリンクには広告がふくまれています。