紀州・有田川清水の郷土寿司である【わさび寿司】
寿司飯に〆た鯖を合わせ、山葵の葉で巻いた寿司となります。
字面だけでも魅力的な寿司ですが、郷土寿司・郷土料理の常として、頂けるお店が少ない点がネック。
頂けるお店は無いか…と探して見つけたのが、こちらとなります。
有田川清水は中々行きづらい立地ですが、棚田のある里山風景が魅力的な場所です。
こちらは「食堂」と冠する通り様々な定食を提供されており、地元の方はカツ煮や唐揚げなどを頼まれていました(笑)
ちなみに、お店の内装は予想外に落ち着いており、渋い店名を裏切る寛ぎ空間です。
夜は和歌山の地酒を揃え、飲みにも対応している様子です。
僕が頂いたものはもちろん、【わさび寿司】!
麺類の付く【わさび寿司定食】1,200円もありましたが、純粋に寿司を楽しみ、同時に鮎も頂きたかったので、単品オーダーにてお願いしました。
夏ですからね。
【わさび寿司】
4種類あり、鯖、鮎の甘露煮、鮭とぶどう山椒、すりおろし山葵と茎。
鯖はしっかりした〆加減で、酢の酸味も強め。
これは山間の郷土寿司の伝統(保存性一義)を感じさせる〆加減で、個人的には嬉しく感じました。
現代風に優しく(浅く)〆るのは発想としては楽でしょうが、もとからある個性を残して現代的に美味しく調理する方が魅力的です。
山葵の葉は優しい香りにシャキシャキした食感が魅力。
酢飯は甘みがあり関西らしく、水分量も程良いため美味しいです。
鮎の甘露煮、甘露煮の風味と山葵葉が相性良し。
鮭は燻製にしてぶどう山椒を噛ませたもの。
ぶどう山椒とは、有田川が誇る品種の名前。
山椒は全国収穫量のうち約70%を和歌山県が占め、とりわけ有田川町は日本一の生産量となります。
鮭の風味に山椒の風味がふわっと漂い、これも大変印象的です。
唯一、すりおろし山葵と茎の寿司において、山葵の風味が飛んでいた点が残念。
山葵をメインにした料理なので、山葵が香り高く甘いと尚良いです。
とは言え、全体的にバランスの良い郷土寿司だと感じました。
【鮎の塩焼き】
地物の鮎を使用されているそうですが、予想外に大ぶり!
肝はしっかりと香り、苔の香りと肝の野趣が強い。
かなり力強い香りですが、泥っぽい香りや砂が当たる事は無く、風味はワイルドながらに旨みも中々ある鮎です。
焼き加減も山間の定食屋のそれではなく、しっとり上品に焼き上げられております。
振り塩の塩気も良い塩梅。
山葵の茎味噌とキュウリで口直ししつつ頂きました。
和歌山は郷土寿司の宝庫なので、鮨好きには堪らない県だ!と再認識しました。
握り鮨=江戸前鮨の完成度と人気に押されている実情は否めませんが、郷土寿司の地産素材を活かす昔ながらの知恵やほっこりした味わいには、江戸前鮨では味わえない魅力があるものです。
店名:赤玉食堂(あかだましょくどう)
予算の目安:わさび寿司は1個160円
最寄駅:なし
TEL:0737-25-0371
住所:和歌山県有田郡有田川町清水337-5
営業時間:11:00~14 : 00、17:00~21:00
定休日:第1火曜夜営業、水曜 ※水曜祝日の場合は翌日休み
本記事のリンクには広告がふくまれています。