神楽坂と言えば日本料理とフランス料理のイメージが強い。
こちらは前々から定評を耳にしており、特にランチのCPが高いと聞いておりました。
今でこそ昼の【おまかせ握り】は1,000円アップして5,000円ですが、【ばらちらし】1,800円も提供されており、間口が広いところが魅力でしょうか。
夜は握りのコースだと1万円、1.5万円となり、おまかせは1.8万円との事です。
公式サイトの題名が「神楽坂の寿司屋で接待なら」なだけあって、おまかせは銀座に近しい価格帯です(笑)
間口の広さは価格設定のみならず店内の設計もまた然り。
エレベーターを出たらすぐにお店で少しびっくりしますが、店内に入ると予想外に広大で再びびっくりします。
頂いた感想としては、幾つか疑問を感じる点はあるものの、ランチで2種類のシャリを頂ける点は「面白い」と感じました。
「鮨はシャリによって大きく変わる」事を伝えてくれるお店は貴重だと思います。
しかも、こちらのシャリは中々の完成度で、街場寿司のそれとは異なります。
米酢(白)のシャリはかなり硬めに炊かれており、粒によっては芯がある程。
そして、ほのかな甘みが付けられ、塩気と酸味は極穏やか。
硬さに個性があるシャリだと感じました。
赤酢の方は米酢よりも粘度が低く、塩気が強められており、コントラストが面白い。
米酢程ではありませんが硬めでしたので、これはお店の方向性である模様。
反面、疑問を感じた点としては、
1. お茶が焙じ茶であり、しかもポット入りのため温度が低い点
2. 走りの真子鰈に柚子皮を使用された点
の2つ。
盛大な掌ポンには目をつむるとしても、上記は改善された方が更に魅力が引き立つのではないかと感じます。
まず、江戸前鮨には熱い緑茶が最良であり、ポットなんて待場寿司でも中々ありません。
そして、旬の走りの淡い風味の真子鰈に強い香りの柚子を合わせるのは甚だ無粋。
白身魚の妙味は旨味、食感に香りの三要素だと思います。
足した強い香りでその妙味を阻害してしまうのは、成功している仕事とは言えません。
季節感を愛でる調理、を心がけると良いかもしれません。
ガリ
甘みが強過ぎない点は好印象。
辛味が弱く、酢が立っておりスッキリ味。
ホタルイカ
茹で立て。トロッと美味しく頂いた。
真子鰈
薄い切り付けながらぷりぷりで美味しいが、前述の通り柚子皮が台無しにしてしまっている。
墨烏賊
かなりワイルドな切り付けと隠し包丁。
針魚
小さめの魚体だが、中々良い。
出汁巻き玉子
いくら
柚子を用い、オーソドックスに美味しい。
醤油の塩梅は優しい。
鯵
これは良い。脂が結構乗っており、肉厚でぶりぶり。
ここから赤酢のシャリにシフト。
小鰭
小鰭自体の旨味は弱いものの、〆加減は良い。
シャリとのバランスが良い。
ただ、サイズ的にもう半身つけた方が良い気がする。
鮪赤身
軽い漬け。漬けの時間は短いが、醤油の味は濃い。
時期的に仕方ないが、何とか赤身の酸味でバランスが保たれていた。
帆立
漬け込み。ボイルしてから漬けてほぐしている。
海苔との相性が良い。
鮪中トロ
漬け。室温での戻しの温度が良く、脂はトロトロと滲む。
酸味もあって良い味わい。
恐らくアイルランドあたりのものか?
玉子
海老と鱧を使用。かなりしっとりしており、エアリー。
甘みは強すぎず、ふんわり漂い上品なカステラ玉子。
べったら漬け
穴子
穴子を煮る際の甘みが強く、酒の香りが残っている点が残念。
干瓢巻き
山葵は無く、胡麻を噛ます。
干瓢は食感があって良い。
甘み、醤油はほど良い。
椀
味噌の塩梅が穏やかで、鰹出汁が利いている。
全体的に頑張っているお店だと思いますが、コストパフォーマンスの高さを感じる事は出来ませんでした。
11貫+干瓢巻き、玉子、椀、先付で5,000円でボリュームもあるのですが、同じ価格帯の競合店を考えると、タネのクオリティを少し上げられた方がよろしいかと感じます。
今年で5周年を迎えるとの事ですので、オーナーには頑張って頂きたいところです。
店名:鮨りん
シャリの特徴:2種類のシャリを巧みに用いられ、ともに極硬めの仕上げ。
予算の目安:ランチ5,000円~、夜10,000円~
最寄駅:飯田橋駅から230m
TEL:03-5228-4200
住所:東京都新宿区神楽坂3-6 神楽坂三丁目テラス2階
営業時間:11:30~14:00、17:30~22:30
定休日:日曜、祝日の月曜
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