こちらは前々からお伺いしたかった、東京が誇る老舗鶏鍋店です。
創業は1909年(明治42年)まで遡り、看板メニュー一本で勝負されております。
冬は予約のハードルが非常に高いため、中々伺えずにおりました。
この度、嬉しいお誘いを頂き念願の訪問が叶った次第です。
お店は湯島の怪しいホテル街にありますが、建物は貫禄ある昭和建築で、どっしりと威風を放っております。
前を通る度に気になっていた、風情溢れる外観です。
そして、外を通ると、店内から特徴的な音が聞こえてきます。
トントントントン…
何かを包丁で叩く音。
何とも気になる音は、こちらの名物である【つくね】を作る音です。
お店に入ると昭和の雰囲気を残す形でリフォームがされており、綺麗で清潔。
お部屋は3部屋のみで、各部屋こぢんまりとしており、温かみがあります。
腰を落ち着けると、炭火の熱がジリジリ伝わり、寒い日でもすぐに身体が暖まります。
逆に、夏に伺うと窓が開けられないため、覚悟された方が良いようです(笑)
さて、こちらの御料理は前述の通り一本のみで、7,000円のコースとなります。
お酒も瓶ビールと菊正宗程度と、多くの東京の老舗と同様。
こちらが使用する鶏は主に東京軍鶏(飼養期間は約120日~150日)で、千葉の若鶏(飼養期間は約100日)も使用されているそうです。
席に座ると、程なくして先付が供されます。
そして、次にメインの鶏肉が登場。
部位は胸肉、もも肉、心臓、砂肝、肝臓など。
最初の鍋は作って頂けますが、その後は各々気ままに頂きます。
モツ類は「じっくり茹でて」との事で余り魅力を引き出せておりませんでしたが、個人的には胸肉が鶏肉としての個性を感じさせる味わいでした。
しかし、何よりもこちらのお店を特徴づけるのは、その調理法。
澄んだ清水のような出汁でシンプルに頂く鶏は、他にあるようで無い味わい。
極限までサッパリした味わいの鶏鍋で、斬新です。
醤油ベースのこってりした鍋が多い東京では、稀有だと感じます。
鶏スープもシンプルで、鶏の旨味をストレートに味わえる。
肉を頂いた後は、前述の「音」の正体である【つくね】が登場します。
こちらは液体のように滑らかで、頂く前に驚く事は必至。
極限まで叩かれた鶏肉と卵が一体化し、とろけるような食感を実現しております。
最後は、つゆ掛けご飯で〆。
塩や醤油で各々味を付けて頂きます。
香の物にMSGが利いていたのと、塩のクオリティが低い点は残念…。
この雰囲気と上品な味わいは、他の老舗では味わえない魅力だと思います。
店名:鳥栄 (とりえい)
食べるべき逸品:1909年より続く、秘伝の鶏鍋
予算の目安:コース7,000円
最寄駅:湯島駅から350m
TEL:03-3831-5009
住所:東京都台東区池之端1-2-1
営業時間:18:00~21:00
定休日:日曜、祝日
※完全予約制です
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