こちらは米子で長い歴史を誇る商家をバックボーンとした寿司会社です。
江戸時代初期に、米どころ・米子から大阪や福岡に米を出荷していた或る米屋は、「米屋五左衛門」を名乗り、米屋のみならず廻船問屋を経営していたそう。
そして、同業者とともに大型船を建造し年貢米を輸送した功績が認められ、名字帯刀が許されるまでになり、それ以降、「内田五左衛門」を名乗ったとの事です。
当時、航海の長旅に際し、持っていったお弁当が米子の鯖寿司・吾左衛門鮓のルーツ。
「日持ちがするように酢飯をおにぎりにして、そこに酢でしめた鯖をのせてワカメで巻き、竹皮で包んだ弁当」だったそうです。
その後、明治に入ると時代の流れに適応し、米屋を畳み、旅館・米五館を開業。
日本庭園を有する立派な旅館で、山海の恵みを活かした料理が流行ったそうです。
さらに、1902年(明治35年)に米子駅で駅弁販売を一手に引き受けられる事となり、時の十代目内田吾吉郎氏は、その10年後に米五館を閉じ、弁当販売に専念する事となりました。
そして、時が経ち、1979年(昭和54年)。
十三代目内田健二郎氏は昔の郷土料理の文献を読んでいる過程で、先に紹介した江戸時代のお弁当を参考に【吾左衛門鮓】を開発したとの事です。
僕は、こちらのお店を知った時、「米子で歴史ある鯖寿司?」と今いちピンと来なかったのですが、こうして社史を確認する事で、納得した次第です。
歴史に敬意を払って、わざわざ本店まで買いに行ったのですが、本店は工場兼本社であり、ちょっと驚きました。
営業部!って感じです。
電話でお取り置きをお願いして、会社に入ると、直ぐにオフィス。
みなさんが笑顔でお礼を言ってくださったのが、恥ずかしくも嬉しかったです(笑)
さて、こちらの鯖寿司。
1本が1,950円と、鯖寿司としては比較的リーズナブルなのですが、素材は良いモノを使用されております。
寿司は北海道産の真昆布で巻かれており、この炊き加減、味付けに妙があります。
薄めの昆布をしっとり上品に炊いており、一緒に頂いても全く味を阻害しません。
昆布が主張し過ぎる鯖寿司もありますが、こちらのものは昆布が馴染んでおります。
そして、鯖は脂のノリが良く、比較的しっかり目に締めて脂の旨味を凝縮。
塩気もやや強めで、程良い酢の酸味を感じ、それが甘みのある酢飯と合っております。
酢飯の量がやや多めなので一体感はやや弱いものの、実に「鯖と酢飯の味わいのバランス」に優れた鯖寿司です。
酢飯の硬さは、硬すぎず、柔らかすぎず、丁度良いです。
鯖は国産の真鯖のみを使用し、特に脂の乗る冬のモノを使われているそう。
しかも、1匹600g以上の肉厚のものに厳選されているとの事です。
と言う事は、冬に頂けば、こちらの魅力を最大限に感じる事が出来るのではないかと思います。
1本2,800円の【吾左衛門鮓 極上鯖】もあるそうなので、チャンスが有れば頂いてみたいと思います。
駅弁屋のノウハウを活かし、全国的に展開されております。
※下記店舗情報は本社となり、通常は米子駅や高島屋で購入するのが一般的です
店名:米吾(よなご)
酢飯の特徴:塩気、酸味、甘みを効果的に用い、上質な鯖と合わせた酢飯。
予算の目安:1,950円~
最寄駅:米子駅から3,700m
TEL:0859-33-2221
住所:鳥取県米子市奈喜良248-4
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