「スシロー」と「くら寿司」はどっちが美味しい?鮨ブロガーが徹底比較!

回転寿司の比較

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。

「鮨文化の研究者ならば、回転寿司の情報もキャッチアップせねば!」と思い立ち、回転寿司店を巡ることにしました。

これには理由があります。

 

世間で「回転寿司」と言うと「回転寿司マニア」が書いた記事ばかりで、「回らない鮨」を食べ込んでいる人は回転寿司を否定する傾向が強いためです。

つまり、回転寿司を客観的に描く記事が少ないと感じている次第です。

本企画では、鮨・寿司に精通し、自ら豊洲に足を運び江戸前鮨を握る著者が、回転寿司と客観的に向き合います。

本企画を決心したのは2021年9月です。

本当は2021年内に8社巡ろうと思ったのですが、ことのほか時間がかかりそうなので、順次アップしていこうと方針を転換しました。

すしログ

8社巡り切ったタイミングで、比較記事を書きます!
すしログについて

★全国6,000軒以上を食べ歩く食好き
☆鮨の食べ歩きは15年以上のキャリア
Twitterでは幅広く、インスタでは鮨・魚介料理日本酒
☆「すしログ鮨会」のご案内は、すしログの公式LINEにて
すしログのnoteではブログとは違う切り口で情報を発信しています!
Substackでは、英語で鮨の魅力を発信中!

 

すしログの情報リンク【すしログライブラリー】

 すしログ流・回転寿司の食べ比べのルール

まずは、訪問予定の8社については、以下の通りです。

※社名敬称略にて失礼いたします

  • 大手2社
    1. スシロー(国内540店舗超)
    2. 無添くら寿司(国内450店舗超)
  • グルメ系回転寿司3社
    1. 天下寿司(6店舗)
    2. 回し寿司 活美登利(8店舗+美登利本体10店舗)
    3. もり一(6店舗)
  • ご当地系回転寿司3社
    1. 根室花まる(23店舗)
    2. 回転寿しトリトン(15店舗)
    3. 廻転とやま鮨(6店舗)

すしログ

もちろん、頼むタネ(すしネタ)を固定して、フェアに比較していきます!

【頼むタネ(すしネタ)】

  • イカ
  • 光物(〆鯖/あれば小鰭)
  • 本マグロ
  • サーモン(オニオンなど薬味付きのもの)
  • オリジナル系
  • 鉄火巻き
  • 汁もの

タネはTwitterとインスタのアンケート機能を使用して決めました。

すしログ

コメントを寄せて頂いた皆さま、ありがとうございます!

ちなみに、当初は江戸前鮨(=いわゆる回らない鮨)と同様に白身魚も指標になるかな?と考えたのですが、多くが養殖モノのため、止めました。

同じようなクオリティでは比較が難しいと判断したためです。

また、回転寿司も好きな友人が「イカの方が良い」とアドバイスしてくれたためです。

 

最後に、着目するポイントは以下の通りです。

【着目するポイント】

  • 酢飯の硬さ
  • 酢飯の温度
  • 酢飯の粘度
  • 酢飯の味付け
  • タネの大きさ
  • タネの美味しさ
  • 仕事の精度
  • 切りつけの美しさ

すしログ

「回転寿司相手にガタガタ言うな!」と言う方もいるかと思いますが、回転寿司だからこそ意識的に着目しました。

でないと、真面目にやっている会社に失礼ですから…

なお、全てのタネについて、(回っているものではなく)個別でオーダーして頂きました。

 

では、「スシロー」さん、「くら寿司」さんについて、レポートしていきます!

「スシロー」の回転寿司を実食!

スシロー外観

「スシロー」さんで頂いたタネとメニューは以下のとおりです。

  • コウイカ(墨烏賊) 120円
  • 光り物3貫盛り 120円
  • 生本まぐろ 320円
  • おろし焼きとろサーモン 120円
  • とりから自家製タルタル 120円
  • 馬刺し食べ比べ 600円
  • 鉄火巻 120円
  • あおさと海苔の味噌汁 200円
  • すき焼き海鮮しゃり弁 1,100円

「スシロー」の酢飯について

酢飯は意外にもホロッとほどけ、1皿目から好印象を覚えました。

甘みが強く、酸味は「いかにも寿司酢」と言った塩梅です。

要は、酸味の立った米酢じゃ穀物酢の持つ酸味です。

 

硬さだけでなく温度も良く、ほんのりと温かい点が嬉しいです。

ただ、2皿目は温度が低く、みっちり詰まっていて、落差を実感しました。

皿ごとに個体差が大きいことを確認しました。

とは言え、全体を平均的に考えると許容範囲内に収まります。

 

結論として、「かつての回転寿司の酢飯」に対するネガティブなイメージを砕いてくれました。

1軒目から、しかもリーズナブルなブランドのスシローさんで、回転寿司の確かな進歩を感じたのは有益でした。

「スシロー」の寿司種(すしネタ)について

スシロー席

では、実際に頂いたものをご紹介していきます。

 

コウイカ(墨烏賊)

スシローコウイカ(墨烏賊)

細かく包丁が入れてあって、悪くありません。

墨烏賊らしい食感を活かす方向性ではなく、柔らかめの方向性なので、これは一般ウケを考慮しているのかと思います。

老若かかわらず楽しめるイカですね。

 

光り物3貫盛り

スシロー光り物3貫盛り

鰯は〆ておらず、生。

脂がしっかりと乗っていて、臭みはありません。

鰯特有の香りは強めです。

脂が乗っているものの、水っぽい点はネックです。

塩で軽く〆れば更に美味しくなる…と、ついつい感じてしまいます。

 

鯖はイメージよりも上品に〆ています。

スシロー鯖

居酒屋の〆鯖に苦手意識を持つ人は非常に多いですが、スシローさんのものであれば初めてでも大丈夫かもしれません。

 

小鰭も水っぽさはありますが、臭みがありません。

スシロー小鰭

残念ながら小鰭の魅力こそ表現されていませんが、江戸前のクラシカルなタネを出す心意気が素晴らしいと感じました。

しかも、小鰭はクセが出やすい魚ですが、調理である程度一般化している点も高評価です。

しかし、タネの表面に油を塗っているのが大きなマイナスです。

油のぬめりと香りがあり、魚の魅力を損ねています

これは止めて頂きたいところです…

スシロー小鰭02

タネは酢飯の上に乗せています。

 

生本まぐろ

スシロー生本まぐろ01

2貫で部位が異なるところが嬉しいです。

赤身は鉄分がしっかりしていて、香りや旨味は軽い。

スシロー生本まぐろ02

中トロは脂と酸味だけでなく、本マグロ特有の香りも楽しめ、これは嬉しい誤算でした。

1貫あたり160円と考えると、満足度は高いです。

 

おろし焼きとろサーモン

おろし焼きとろサーモン01

一見すると焼いていないようですが、皮目を炙っています。

おろし焼きとろサーモン02

いかにも「サーモン」と言う味わいで、脂がしっかり乗っていて、輸入サーモン特有の香りがあります。

喉に脂が残るので、薬味付きがベストの選択なのだと感じました。

 

とりから自家製タルタル軍艦

とりから自家製タルタル軍艦

これは素晴らしい!と実感しました。

これぞ回転寿司の魅力!

酢飯の酸味が活きていて、鶏の唐揚げの新たな魅力を伝えてくれます。

 

馬刺し食べ比べ

スシロー馬刺し食べ比べ

これもまた回転寿司の魅力を実感できるタネ。

ただ、ミンチに大量の油脂を混ぜているのはアウトです。

お肉の味や風味を感じるのではなく、油の臭いとベタつきが口に残ってしまいました。

 

鉄火巻

スシロー鉄火巻01

巻けていません。

スシロー鉄火巻02

酢飯もねっちりしすぎていて、糊状になっています。

海苔は香りが弱く、歯切れもイマイチです。

120円なので文句は言えませんが、鮨において「握りよりも巻物が難しい」と言われる理由を実感しました。

 

あおさと海苔の味噌汁

スシローあおさと海苔の味噌汁

出汁は弱いものの、海苔がたっぷり入っているのが魅力です。

 

すき焼き海鮮しゃり弁

すき焼き海鮮しゃり弁01

これは持ち帰りで頂きました。

有名な「sio(旧Gris)」の鳥羽周作シェフとコラボで生まれた創作メニューです。

これが、期待以上の出来栄えでした。

すき焼き海鮮しゃり弁02

まさかの、酢飯とすき焼きと組み合わせる発想が活きています。

「すき焼きの甘辛さがスシローの甘い酢飯に合うなんて!」と、意表をついてきます。

程良い酸味が活きいていて、鳥羽シェフは酢飯から逆算して設計したのかな?と感じました。

 

具沢山であるところも嬉しく、いくら、帆立、数の子、玉子焼き、紅白なます、ボイル海老、サーモンなどなど。

煮椎茸や蓮根の甘酢漬けなどがアクセントになって嬉しいです。

食感の変化や味覚の変化を巧みに構成しています。

 

最初は「えっ、すき焼き!?」と思いましたが、味わいとしては完成されています。

何よりも、全国チェーンの商品で、みんなを楽しませようと設計されているところが良いです。

パーツによってはトリメチルアミン(魚介の臭み)が気になりましたが、これもすき焼きが活きていて、うまくマスキングしてくれました。

 

このクオリティの料理を、全国の店舗で1,100円で出している点は凄いと感じます。

チェーンのリソースを最大限活用した、オリジナリティのあるメニューです。

まとめ:「スシロー」の総評

まず、コストパフォーマンスの高さに驚きました。

とにかく安い。

子どもが初めて口にする寿司として、社会的な貢献度が大きいと感じました。

 

そして、タネの大きさについては、いわゆる「デカネタ」ではありませんが、そこが良いと感じました。

鮨であろうと寿司であろうと、やはり酢飯とタネのバランスがあってのスシだと思います。

切りつけについても、美しくはありませんが、価格を考えると頑張っています。

スシは握るよりも切りつけの方が難しいものなので、これは大変魅力的です。

 

全体的に【とりから自家製タルタル】のような回転寿司らしいタネを中心に組み立てることで、満足度が上がると感じました。

また、予想以上に満足した【鮪中トロ】など、訪問のタイミングでのお宝タネに出会う楽しさもあります。

 

結論として、「鮨」ではなく「寿司」ですが、別物として良いと感じました。

アプリで予約出来る点も素晴らしいです。

▲目次へ戻る

「くら寿司」の回転寿司を実食!

くら寿司外観

「くら寿司」さんで頂いたタネとメニューは下記のとおりです。

  • やりいか 125円
  • 鯵 125円
  • 肉厚とろ〆さば 125円
  • 極み熟成漬けまぐろ 125円
  • オニオンサーモン 125円
  • 天然魚ユッケ軍艦 125円
  • 鉄火巻き 125円
  • あおさ入り味噌汁 240円
  • 伝説の鶏唐揚げ 330円
  • 生ビール 550円

小鰭は無いので、鯵と鯖を頼みました。

「くら寿司」の酢飯について

酢飯は粘度があり、「スシロー」さんよりも温度が低めです。

甘みは弱く、酸味は強め。

味付けの方向性としてはサッパリしていて好印象ですが、粘度と温度は「昔ながらの回転寿司の酢飯」です。

粘度が高く、みっちりと詰めるような握り方なので、寿司よりはおにぎりに近い方向性と言えます。

 

そして、米の量は少な目なので、「デカネタ」が引き立つ設計だと感じました。

「タネは酢飯のバランスが重要」と考える方ではなく、「タネは大きいほど良い」と言う方にヒットするブランドです。

「くら寿司」の寿司種(すしネタ)について

くら寿司席

では、実際に頂いたものをご紹介していきます。

 

やりいか

くら寿司やりいか

パッツリと気持ちの良い歯切れ。

これはイカに食感を求める人にヒットするイカです。

 

くら寿司鯵

さっぱり目の鯵で、臭みが無い点は素晴らしいです。

ただ、タネが派手に転がっている点は残念です。

くら寿司鯵02

どうやら酢飯の形状が三角形であるため、落下しやすいようです。

 

肉厚とろ〆さば

肉厚とろ〆さば

冷凍モノで解凍が不十分であるため、中心がシャーベット状の〆鯖です。

〆加減がガチガチではなく、臭みが無い点は好印象です。

これも鯵同様に転落していました。

 

極み熟成漬けまぐろ

くら寿司極み熟成漬けまぐろ

非常にサッパリした味の鮪です。

酸味、旨味、香り、ともに弱めです。

 

オニオンサーモン

くら寿司オニオンサーモン

オニオンとマヨネーズと、分かりやすい合わせ技です。

マヨネーズがたっぷりなのは、子ども連れが多いブランドゆえだと感じました。

 

天然魚ユッケ軍艦

くら寿司天然魚ユッケ軍艦

正にユッケ味。

食感の違う魚介を混ぜる工夫は魅力的です。

端切れを用いていると思われ、この点もSDGs的に有意義な試みかもしれません。

廉価でありながら温泉卵を使用している点も好印象です。

 

鉄火巻き

くら寿司鉄火巻き

海苔のクオリティは「スシロー」さんよりも上で、香りが良いです。

巻物の海苔は食感を失う分、香りや端切れなどが持ち味になりますが、回転寿司にして頑張っていると感じました。

巻き方や切り方も丁寧。

ただ、鮪のクオリティはスシローさんの方が上です。

「スシロー」さんの鮪で、くら寿司さんの巻き方と切り方で頂きたいと感じました。

【20220212追記】働いていた方からご連絡を頂き、海苔を巻いて自動でカットする機械を導入されているそうです。

 

あおさ入り味噌汁

くら寿司あおさ入り味噌汁

【20220210追記】働いている方からTwitterでご連絡を頂き、なんと店舗で出汁を取っているそうです!

また、三ツ葉があしらわれているところや、アオサと海苔のブレンドではなくアオサだけで香りを楽しませるところなどが美点です。

 

伝説の鶏の唐揚げ

くら寿司鶏の唐揚げ

握りや軍艦でなかったので、単品でオーダーしました。

衣が分厚く、大きく見せる技術を感じます。

下味は甘めで、駄菓子的な方向性の味付けです。

思わず頼んだ生ビールはサーバーがしっかり清掃されていて、下手な居酒屋よりも美味しかったです。

まとめ:「くら寿司」の総評

「スシロー」さんのようにタネに油を塗っていない点が最大の魅力だと感じました。

冷凍感の強いものも散見されましたが、臭みがなく、魚そのものを楽しませる試みは好印象です。

 

タネの切り方は、ザク切りを選択されていて、寿司の切りつけには至っていません。

さらに、酢飯の形状は三角形なので、必然的にタネとの一体感が乏しくなります。

前述の通り「デカネタ」志向で、この方向性を好む方のニーズを回収しているのだと感じました。

それゆえに郊外店は行列必至の大人気を博しているのでしょう。

 

なお、くら寿司さんもアプリで予約出来るので、非常に便利です。

 

全体的に、「子ども連れ」を徹底的に意識した戦略のように感じました。

「ビッくらポン!」のようなアトラクションを導入しているだけでなく、タネやメニューも大人よりも子どもが好むものに注力されています。

「リーズナブルな寿司のファミレス」が、「くら寿司」さんです。

▲目次へ戻る

全体のまとめ

まずは大手2社を食べ比べしてみましたが、全く異なる点に驚きました。

各企業の戦略や努力が見られ、勉強になりました。

10年、20年前に比べて、着実に美味しく進歩させている点は、日本の寿司文化の発展において貢献度が大きいです。

 

ただ、同時に、改良出来る点は幾つか感じました。

物流とレシピをヒヤリングできれば、効果的なアドバイスが出来ると思います。

そのポテンシャルにおいて、回転寿司の食べ比べは面白いと感じたので、引き続き継続していきます。

 

なお、アプリでの予約システムは本当に素晴らしいです。

回転寿司は行列がつきものなので、アプリ予約は全ての会社が導入すべきだと思います。

食事のコストパフォーマンスが高くとも、行列で1時間以上消費してしまうのは、極めてコストパフォーマンスが悪いですからね…

時は金なり、です。

 

回転寿司の進歩に多大な期待を寄せる、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)でした。

▲目次へ戻る

4 COMMENTS

にこに

くら寿司でバイトしていましたが巻物は機械でボタンをポチッとするだけで自動で巻いて切ってくれるので形は綺麗なのです😊

返信する
すしログ

にこに様

裏事情を教えて頂き、ありがとうございます(笑)
なるほど…そのようなハイテク機械があるのですね!
機械の性能にビックリです(笑)

返信する
まるこ

スシローはセントラルキッチン方式を採用していないので店内調理が基本ですよ!

返信する
すしログ

まるこ様

ご指摘を頂きまして、ありがとうございます!
助かります。
文章を修正いたしました。

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA