こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
ここ数年で人気をどんどん高め、勢いのある鮨店、りんだ。
支店(らんまる)も大人気で、独立された島津さんもオープン早々に予約困難店になるほどです。
初期の頃から「生粋の鮨好き」よりも「レストランマニア」の評判の方が高かったため、僕は長らく訪問していませんでした。
しかし、一大勢力となっている状況で、鮨好きとして訪問していないのはイカン…と、友人とともに訪問。
結論として、大人気の理由に納得しました。
顧客満足や時代のトレンドを徹底的に考え抜かれている鮨店で、親方のビジネス手腕に驚いた次第です。
「鮨りんだ」とは?
鮨りんださんは2014年4月に、目黒(不動前)にオープンしたお店です。
親方の河野勇太(こうの ゆうた)さんは恵比寿の松栄さんで10年の修行を行い、アメリカ・ニューヨークの支店で3年の経験を積んだ後、帰国後に独立されました。
店名の由来は娘さんのお名前で、元ネタはブルーハーツの「リンダリンダ」だそうです。
お店は今日びの鮨店としては珍しい大箱で、17席あります。
2018年2月には近くに支店の「らんまる」をオープン(こちらは9席)。
そして、親方自らは現在、個室で握られていて、お店にはお姿を現しません。
お弟子さんから聞いたところ、なんと、LINEを交換しないと予約出来ないそうです(笑)
この一連の情報だけでも、親方が鮨職人であると同時にビジネスマンである事が分かりますね。
つまり、伝統的な「一期一会の鮨」よりも「マーケティング」に重きを置く職人さんです。
あるいはお弟子さんに決裁権を与える事で、「誰であってもりんだの味を楽しませる」と言う組織作りを志向されているのかもしれません。
次項で詳述しますが、アッパー系の雰囲気も相まってディズニーランド的な趣のある鮨店だと実感しました。
※読者の方から情報を頂き、2020年11月に京都に「凛打 」をオープンされたそうです。独特のネーミングセンスですね。
「鮨りんだ」の立地と雰囲気
鮨りんださんは目黒駅から徒歩9分、不動前駅から徒歩8分の場所にあります。
お店は山手通り沿いにあり、一見すると鮨店があるようには見えません。
店内には大きなコの字型のカウンターがあり、前述の通り17席あるので結構な迫力です。
2人の職人さんが持ち場を持たれていて、さらに数人がサポートに付くスタイルです。
スタッフの皆さまはハイテンションで、店内はお祭り(パーティー)が行われているような活気に満ちています。
しかも、騒々しさよりも、熱気や一体感として演出している点が見事。
一人鮨や接待、両親との食事などには向きませんが、気の置けない友人と伺うにはピッタリです。
用途としては「食事」よりも「談笑」や「飲み鮨」。
僕は男友達と訪問したのですが、お隣は結婚記念日を祝うご夫婦で、後半は仲良く談笑しました。
職人さんが全員面白く、お店としてのカラーが明確に作られているのは、鮨店離れしていて凄いと感じました。
河野親方が「チーム」としてお店を作られているのが分かります。
伝統的な鮨店だと親方=お店であり、「親方の握り」を頂きに上がるのが一般的です。
お弟子さんが握られるとしても、せいぜい二番手さんお一人です。
しかし、鮨りんだは違います。
鮨りんだでは皆が「りんだの握りとつまみ」を提供します。
もちろん個々の職人さんの技術も影響してきますが、鮨の安定性を担保しつつ、お客さんを楽しませる提供方法を採用されているのは凄い事だと感じました。
ひいては、「りんだの握りとつまみ」と言うよりも「りんだの世界観」を提供する事を目的にしているのかと思います。
今回握って頂いた佐藤勝さんに伺ったところ、おまかせの構成についてはかなりの裁量が与えられているそうで、このあたりも「従業員」であっても「職人の楽しみ」を感じられる組織作りがされていて巧い。
お客さんの好みにも瞬時に対応して、アドリブ的にタネを変える点なども見事。
顧客満足度を高める点に集約されたサービス作りやマーケティング力に、「鮨界のAmazon」と言う印象を抱きました。
「鮨りんだ」のシャリと握り
シャリは硬めに炊かれていて、パラッとほどけます。
複数の職人さんが高品質に握られるよう考えられています。
酸味や塩気は予想したよりもアッサリで、誰もが食べ疲れしない味付けです。
意地悪な言い方をすれば個性に乏しいシャリですが、複数の職人さんが握り、大人数を入れるお店としては汎用性の高いシャリだと思います。
タネの構成についても消費者ニーズを上手く掴んでいます。
つまり、旨味や脂が強いタネを多用し、仕事も漬けなどの濃口のものを駆使されます。
濃厚な味を好む現代人の一般的な嗜好を反映した内容です。
真鯛を漬けにして鮟肝を噛ませるなど江戸前鮨のセオリーには無いチート的な調理を駆使し、たとえ下世話であっても時代のニーズに応える選択には舌を巻きました。
考え抜かれた飲み鮨です。
「鮨りんだ」のおまかせコースの内容
ランチの握りおまかせ(12貫、巻物半分、椀)が7,260円、夜のおまかせが21,780円です。
今回は夜のおまかせと何品か追加を頂きお酒を飲んで28,800円でした。
酒器の大半は錫製で、こだわりを感じます。
ガリ
赤酢の甘酢漬け、米酢の甘酢漬け、砂糖不使用の新芽の3種類。
全部お店で仕込んでいるのが冒頭から好印象。
子持ち昆布めかぶ
高級店ではあまり出会わない子持ち昆布。
鮪トロ
優しい味のトロで、包丁が良い。
ゲソ焼き
これも大衆的な一品で不安が去来したのが正直な所。
しかし、炭火で焼いている点が素晴らしい。
烏賊海胆
甘み×甘みのストレートな表現。
縞海老
藻塩と酢橘を使用していて、酢橘の使用量は上品で良い。
序盤戦から甘み系のタネで飛ばす点にマーケティングが上手いと実感した次第。
赤貝
旨味は穏やかだが、香りが良く、肉厚なので食感も良い。
牡蠣
小長井産。甘みが強く、香りもしっかりしている牡蠣。
使用する柑橘は香りが強いレモンだが、これも使用量的に嫌味が無い。
帆立磯辺焼き
肉厚なものを、炭火でミディアムレアに仕上げている。
海苔の厚みや香りなど細部の味わいも配慮されているように感じて魅力的。
牛蒡の漬物
はがしの鮪トロ
下田産、195キロ。
脂が強く、酸味もあり、冒頭のトロよりも印象が強い。
はがしは良いなと再認識。
トリ貝
香りを爽やかに楽しませてくれるので、身は薄くとも味わいが良い。
蛤チャウダー
苫小牧の牛乳を使用。
もちろん、意表を突かれた(笑)
蛤の火入れが強くない点に良心を感じる。
太刀魚
しっとりと良い火入れ。
付け合わせ調味料は生姜+浅葱ではなく、ニンニク+浅葱であるが、嫌味にならない塩梅だ。
針魚
むっちりと〆て梅肉でサッパリと口直し。
真鯛
漬けにして鮟肝を乗せる荒業。
カワハギインスパイア系の仕事。
伝統的な鯛の使い方に中指を立てる仕事で、流石、ブルーハーツ(パンク)が好きな親方だけある。
鰯
炙りにして、片方は生姜、もう片方はニンニク+浅葱を添える。
クエの天麩羅
イメージ通りの味わい。
鱒
漬け。身はトロトロで、脂が乗った旬モノ。
同時に鱒の香りも楽しませる点が良い。
海胆いくら
冒頭の烏賊海胆と同様に甘み×甘みアゲイン。
旬外れの冷凍モノのいくらを用いて海胆と合わせる必要性は高くない。
トロたく長芋
粘度を上げるために長芋を用いるとは、発想が突き抜けていると実感。
煮蛸
終盤戦で煮立ての蛸が出てくるとは、これまた意表を突かれた。
鮪赤身
漬けでねっちりとろりとした食感に仕上げ、柚子の強い香りと合わせる。
車海老
茹で上げの大型の車海老。
ノドグロ
みんな大好きな脂が強いノドグロ(アカムツ)で、皮目を炭で直接焼き付けて提供。
烏賊、鮪赤身、大葉、ネギ塩タレの巻物!
これは遊び心があり、大変面白い。
鯖
脂がしっかり乗った鯖の〆鯖を炙り、存在感のある味わい。
椀
魚介の旨味が濃厚。
穴子
柔らかく甘い穴子。
出汁巻き玉子
作りたてでアツアツ。
「鮨りんだ」のお店の情報
WEB予約は一休より可能です。
店名:鮨りんだ
シャリの特徴:赤酢で酸味も塩気も穏やかな味付けで、硬めのシャリ。
予算の目安:ランチの握りおまかせ(12貫、巻物半分、椀)7,260円、夜のおまかせ21,780円
TEL:03-6420-3343
住所:東京都目黒区下目黒2-24-12 イメージスタジオ109 1F
最寄駅:目黒駅から700m、不動前駅から650m
営業時間:昼11:30〜14:00、夜18:00 ~ 23:00
定休日:不定休
世の中には色々な鮨店があるなあ…としみじみ感じた、すしログ(@sushilog01)です。
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