には、鴨の解禁にほんの少しだけ早く、敢え無く頂けなかった【鴨鍋】。
【鴨鍋】は滋賀県を代表する郷土料理、郷土鍋であり、昔から特別な日に食されてきました。
お店は琵琶湖周辺に点在しており、必ずしも長浜の郷土料理と言う訳ではありません。
しかし、こちらは1834年(天保5年)の創業で、北大路魯山人を始めとする文化人に愛された事で知られます(笑)
滋賀の【鴨鍋】を初めて頂くとしたら、こちらの【鴨すき】にしようと白羽の矢を立てた次第です。
【鴨すき】のコースは2名以上での完全予約制となっており、価格は11,800円。
内容は先付1品のみで、あくまでも鍋が主役となっております。
他に、+300円で雑炊を選択できます。
鮒の子まぶし
長浜の名物料理の一つで、刺身に茹でた卵をまぶす料理。
鮒の子まぶしは11月から冬季に掛けて食され、4月から10月までは鯉を用いて代用される。
(筆者は鯛の子まぶしを、鯖そうめんで有名な翼果楼で頂いた事がある)
高級魚であるニゴロブナを使用されており、癖は一切無く、旨味が強い!
早速、鍋の具材が登場。
野菜の中ではネギの存在感が圧巻!
蠱惑的な小豆色を帯びた鴨肉。
鍋は錫製の特注品!
女将さんが作ってくださりましたが、まずはつくねを投入され、次に野菜を入れ、その後に砂糖と薄口醤油を加える点が特徴的です。
砂糖を加える事は事前に聞いており、東京の鍋みたいな味なのか?と思っておりましたが、予想外にクドくなく、不思議と野菜にも合います
そして、甘みが鍋ツユに蓄積していかない点も素晴らしい。
出汁は鴨首だけとの事ですが、強い旨味が底を支え続けてくれます。
溶き卵で頂く。すき焼きと同じ食べ方。
こちらの鴨肉は朝締めで、とにかく柔らかく歯切れが良い。
血の野趣が爽やかに漂い、旨味も十分です。
滋賀県では現在、鴨が禁漁なので他県のものとなりますが、調理と調味は伝統を受け継いでおり、個性的かつ美味しいです。
また、鍋の流れは肉だけでなく、内臓類も使用して構築される点も特徴。
鍋は抑揚をつけるため、野菜で流れを作る事が多いですが、異なる部位の内臓を順次頂くのは面白い。
肝はとにかく甘く、砂肝は鮮度良くシャクシャク。
ハツも上質な食感と香りでした。
つくね(右手前)。
山椒の香りが広がった後、軽い痺れが舌を刺激する。
骨ごと叩いているそうで、超微粒子の骨が面白い食感。
ネギ(写真は芹メインですがw)。
これが実に美味しい。
香りが大変良く、甘みが強烈に強い!
冬の滋賀の葱は甘みが強いが、鳥新さんのものは更に特注品との事。
芹は野趣がありつつ、香りは上品。
また、焼き豆腐も特注品で、これは大豆の風味があり、表面は硬め、中はとろりとした食感で美味しい。
お餅
お酒のせいか、何故か糸こんにゃくを乗せた自分(笑)
食べ終わると可愛らしい鴨の親子が!!
ごちそうさまでした(笑)
香の物
赤蕪の干したんは香りが鼻に抜け、苦味が気持ち良い。
鴨の風味と旨味がしっかりな雑炊!
結構満腹だったので辞退しようとしたが、頼んで良かった!
水菓子
無花果のゼリー。自然な甘みと風味で癒される。
時が止まったような雰囲気とともに頂く、個性的な鴨料理。
身も心も温まりました。
店名:鳥新(とりしん)
食べるべき逸品:夏は鰻とドジョウ、冬は魯山人が愛した鴨鍋。
予算の目安:湖魚の定食3,700円、冬の鴨鍋11,800円
最寄駅:長浜駅から200m
TEL:0749-62-0501
住所:滋賀県長浜市南呉服町9-17
営業時間:11:00~20:00
定休日:火曜
※二人からの完全予約制です
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