こちらはミシュランで三ツ星を獲得した、北海道で唯一の鮨店です。
赤本はあくまでも指標の一つ程度に考えておりますが、東京でも三ツ星を獲得した鮨店は僅か3軒。
有名な小野二郎氏のすきやばし次郎と同じ星数ということになります。
ちなみに、他のお店は「さいとう」(六本木)と「よしたけ」(新橋)。
こちら田なべさんは元々すすきのにありましたが、訪問のすぐ前に札幌駅の方に移転されました。
移転先は真新しいビル(六花亭ビル)の9階で、ワンフロアのほとんどを占めており、驚きました。
さらに、カウンターに座ると大きな厨房が目に入り、重ねて驚き。
聞けば、カウンターは2つあり、席数は24席で、6人の個室も2室あるそうです。
外国人も難なく対応可能ということなので、あたかも星を獲得したフランス料理店のような洗練っぷりです。
こちらは席についてからコースを選ぶことが出来、僕は料理が付かない握りのみ(10貫)のコース8,950円を頼みました。
価格だけ見ると、三ツ星のお店としては破格。
握りのみとは言え、前菜とデザートが付き、デザートを幾つかの酒肴から選べるサービスも面白いです。
僕はスイーツも好きですが、面白いサービスなので、【いばら蟹の内子】に変えて頂きました。
こちらのシャリは比較的硬めで、酢は北海道の基準で考えるとやや強め。
様々なタネに合うオーソドックスな味わいですが、ほどけ加減が印象的です。
前菜
殊の外しっかりした内容で嬉しい。
じゅんさいの出汁はかなりさっぱり目ですが、大ぶりで食感良好。
スイーツから変えた【いばら蟹の内子】も少量ながら満足です。
真子鰈
熟成は浅く、フレッシュな食感。
鮪
産地は「青森の北部」とのこと。
これはシャリとのバランスが中々良好でした。
剣先烏賊
包丁に妙がありますが、酢橘がやや勝ってしまっておりました。
鯵
繊維質はプリッとしており、爽快な味わい。
ニンニク醤油を使用している点が好みを分けるかもしれません。
ボタン海老
絶妙な甘みと食感です。
これも包丁の入れ方が良い。
大助
国産キングサーモン(別名マスノスケ)。
香りが抜群、旨味も強く、繊維のほどけ具合が良いです。
個人的には函館の梅乃寿司で頂いたものの方が、切り付けとシャリとの調和が高かった。
キタムラサキ海胆
素材がバシッと訴えかけてきます。
旬の時期の道産海胆は実に甘美です。
いくら軍艦
溢れるほどの大盛りですが、海苔がやや勝っておりました。
鮑
松前産。
肝のソースには独特の酸味があり、面白い。
穴子
東京で頂くよりも数段軽やかな味わい。
煮ツメもあっさり目なので、モダンな印象です。
椀
10貫頂きましたが、少し足りないので追加しました。
牡蠣軍艦
加熱したものでも、生でも出来ると聞いて、生で頼みました。
釧路の方とのことなので、厚岸産でしょうか。
これはねっとりしたミルキーな旨味と鮮烈な磯の香りが素晴らしかった。
牡蠣単体だと強すぎたかもしれませんが、
海苔がワンクッション挟んでシャリとのバランスも良い。
北寄貝
肉厚で繊維のほどけ具合が良いですが、
前の牡蠣の余韻が超えてしまいました(笑)
お酒は福司と国稀を頂き、トータルで12,650円。
追加も1貫800円ほどの計算となります。
全体的に、三ツ星の割に「突き抜けた仕事」は無く、
「上質な道産素材の魅力を提示する握り」だと感じました。
それは良くも悪くも大箱の性でしょうか。
技術は高いのですが、職人さんの哲学を感じにくいです。
三ツ星といえども、今後に期待!という印象です。
店名:田なべ(たなべ)
シャリの特長:やや酢を立たせており、硬さとほどけ加減に優れている。
予算の目安:9,000円〜
最寄り駅:JR札幌駅から600m
TEL: 011-219-2202
住所: 北海道札幌市中央区北4条西6丁目 六花亭ビル9F
営業時間:17:00~21:30 ※休日17:00~20:00
定休日:日曜
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