こちらは鮨店が少ない埼玉県にあって多くの方を惹き付けるお店。
親方は目黒の名店、いずみのご出身。
1992年(平成4年)に浦和で独立され、既に四半世紀ほどの歴史があります。
いずみは個性が非常に強く、江戸前鮨の中では創作性の高いお店。
なので、どのように仕事が継承され、埼玉と言う土地で供されているのか、興味津々で訪問しました。
そして、頂いてみると、紛れも無いいずみの遺伝子を感じ、個性的な仕事をリーズナブルに頂けるお店だと思いました。
お昼のおまかせコースはかつては3千円台だったようですが、現在は4,200円となっております。
しかし、内容的には十分満足感を頂けるものとなっており、特に酒肴のオリジナリティとクオリティはかなり高いかと思います。
握りについてはクラシカルな趣があり、昨今のトレンドとは大きく異なります。
特にシャリに甘みがある点については、好みを分けるかもしれません。
しかし、一見すると粘度が高く、ほぐれ加減が悪いかと思いきや、問題無くほぐれ、独特の仕事を施したタネとは中々の相性の良さ。
握りの技術よりも米の炊き加減でコントロールされている印象を受けました。
よって、握りについては酒肴との合わせ技で楽しむのが良いかと思いました。
全体的にピンではないが、個性的な仕事を施しており、リーズナブルな価格帯で楽しんでもらおうと言う親方の気概を感じるコースです。
尚、日本酒は黒龍純米吟醸を頂きましたが、お酒も良心的な価格でした。
青ナマコとめかぶ
ナマコは程良いコリコリ感で鮮度良好。
蛸の桜煮
明石産。かなり柔らかく仕上げており、塩気は強め。
酒肴としての色合いが強い。
蝦蛄
岡山・浅口産。
なんと、茹で上げであり、香り高く、甘みが強い。
蝦蛄は大半のお店が市場で茹でられたものを扱うので、これは嬉しい。
帆立
氷締めしたもの。塩で甘みを強めており、身のねっとり感とともに印象的。
長崎産大トコブシ
鮑のような食味のあるトコブシ。
酒肴のセット
こ、これは危険。お酒を頼んでおいて良かった(笑)
礼文島の赤ホヤは臭みが皆無で甘く、鱈子の生姜煮、岩手産鮟肝も丁寧に作られている。
しかし、特に印象深かったのが、絹漉し豆腐。
お皿に乗っているサイズで通常の豆腐一丁分の大豆を使用しており、大豆の濃厚な風味と甘みを楽しめる。
鰤
佐渡島産。あしらわれた薬味に妙が有る。
微塵切りにしたべったら漬けと山葵漬けを昆布でとろみを付けているのでしょうか。
個性的でセンスを感じさせる薬味だった。
イタヤガイと蟹のぬた
酢味噌は控えめで、良い口直し。
ガリ
この時期は生姜の辛味が強いので、パイナップルとリンゴ酢で御しているそう。
中々面白い工夫で、確かに甘みが生姜の香りを活かし、辛みを和らげてくれる。
この後、握りに移行します。
平鱸
三重産。寝かせている為か、ねっとりした食感。
青柳
江戸前、富津産。爽やかに香りを楽しめる。
鮃
茨城産。割としっかり目の昆布〆で、食感を凝縮し、グルタミン酸の旨味も強い。
甘海老
酒田産。非常に強い甘みがあり、美味。
聞けば、酒田から直送してくれる方がいるらしく、それ以外は使わないとの事。
カワハギ
肝に火を入れていないため、ストレートに肝の風味を提示する。
鯵
淡路産。程良く脱水しており、癖を感じさせず鯵の香りを楽しませる。
鮪赤身、中トロ、大トロ
大間産。この価格で一体!?と言う構成(笑)
中でも大トロが特に印象的で、強い甘みに加えて酸味と香りがあって楽しめた。
潮汁
かなり雄々しい味わいの潮汁。
平鱸に加えて鯵も使用しているのか?と思わせる力強い風味。
以上、写真を見て頂ければ分かるかと思いますが、かなりのコストパフォーマンスです(笑)
こう言った、街に馴染んでいながら真摯な仕事をしている鮨店が近所にあると素晴らしいなあと、近隣の方を羨ましく思いつつ、お店を後にしました。
店名:よし佳(よしか)
シャリの特徴:甘みがあり、クラシカルな趣のシャリ。
予算の目安:昼のおまかせ4,200円~、夜のおまかせ6,500円~
最寄駅:浦和駅東口から290m
TEL:048-886-8988
住所:埼玉県さいたま市浦和区東仲町28-23
営業時間:火・水18:00~22:00(夜のみ)、木~日12:00~14:00、18:00~22:00 ※最終入店20:00
※ランチは完全予約制で、12時スタートとなります
定休日:月曜
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