こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
こちらに前回お伺いしたのは2014年9月(ブログへの投稿は2015年2月ですが)。
2年6か月ぶりの訪問となりましたが、印象は色褪せず、寧ろ様々なお店を巡ってから訪問する事で、個性を一層強く感じる事が出来ました。
こちらは矢張り唯一無二の魅力を持つお店であり、古い江戸前仕事をラディカルに進化させた仕事です。
先日、しみづさんの記事で江戸前仕事を「深化」させていると表現しましたが、こちらは紛れも無く「進化」させたお店です。
シャリについて
記憶よりも塩気がやや強めで、個性的な仕事に合致する。
親方の握り加減は強めだが、口の中でのほどけ方は良い。
聞くところによると、硬めに炊いて湯煎に掛けているそう。
仕事のみならずシャリと握り方も個性的である。
頂いた日本酒(2人でシェア)
鳳凰美田・純米大吟醸赤判、伯楽星、醸し人九平次、寫楽
こちらはお酒の価格が本当に良心的で驚きます。
先付
生を用いないと言うラディカルな先付。
蝦蛄はしっとりした食感で甘口に仕上げ。
使用する鮪はキハダマグロであり、鮨店鮪のランクからすると凡庸そのもの。
しかし、非凡たらしめているのは漬けの仕事であり、しっかりと漬けて旨味を凝縮させている。
キハダマグロは全体として赤身が多く旨味に欠けるものだが、身に秘める旨味を漬けによって引き出し、低温度帯でも甘みを感じさせる。
同じく漬けの帆立も下手すると生よりも香りが立っているし、湯引きにしたゲソもコリコリ感とトロトロ感を同居させており、一興。
ガリ
甘酢を用いており、食感はシャキシャキ。
割と甘めのクラシカルなガリだが、最後に辛味が引き締める。
思うに、シャリや仕事との味覚的バランスを考慮した甘みなのだろう。
鮪赤身
上記の鮪だが、ねっちりした身と凝縮された旨味はシャリとの相性も良い。
鮃
甘酢漬けと言う非常に個性的な仕事。
さらに一味唐辛子と青葱を噛ませている。
「握り」と言うよりも「料理的な味わい」の仕事だと感じた。
これだけならばこのような印象止まりであったろうが、次の握りを頂き、印象が一変する。
鮃
今度は胡麻醤油漬けだ。
上記の甘酢漬けとの味覚的対比、食感的対比が実に面白い。
キリッとした味わいの甘酢漬けに対して、こちらは醤油由来の強めの味わいと胡麻の香りが食欲を刺激する。
そして、個人的にワンツーで出されて興味深かったのが食感。
甘酢漬けはみっちりした食感であったが、こちらはねっとりした食感の後にトロッとほどける。
生がベストである白身魚に敢えて仕事を施す意味のある仕事。
「面白さ」が持ち味だ。
墨烏賊
ブチッ、パツッと歯切れが個性的。
通常のパツパツ感よりも力強さがある。
恐らく要因としては、包丁。
切り込みは深めに、数少なく入れている(ように感じた)。
墨烏賊の食感は魚体、状態以外に包丁で大きく変わる。
縞鯵
実に香ばしい。
旨味がしっかりあるため、青葱が嫌味にならず活きる。
シャリの味とのバランスが良い点においてスペシャリテに成り得るのだろう。
車海老
甘酢で洗い、芝海老のオボロを噛ませる。
甘みを足し算しているが、嫌味にならない仕事。
青柳
江戸前の青柳。
口当たりは実に滑らかで、甘みが強い。
青柳特有の香りが極めて上品で、官能的とも言える甘みを楽しめる。
北寄貝
甘酢洗い。
酸味は割としっかり目で、北寄貝の強い甘みとバランスを取っている。
春子
白眉。
皮目のとろけ方が素晴らしく、身もしっとりと消えてゆく。
そして、味覚的にも一体感が高く、オボロの用途が納得出来る春子である。
こちらの一体感には目を瞠った。
塩で〆た後に湯引きし、酢で〆る仕事。
小鰭
しっかり〆て香りと旨味を凝縮している。
鰯
これもしっかり目の〆。
凝縮された鰯の旨味と風味が最後にとろけ、
ある種ペーストのような口当たりを感じさせる。
蛤
昨今の流行とは異なる強めの火入れと漬け込み加減。
その上、超濃厚な煮ツメを合わせ、パンチある蛤。
煮ツメはある種発酵調味料のようなコクがあり、蛤、烏賊、穴子の煮汁を合わせて作り、27年間の蓄積との事。
穴子
トロッとではなく、しっとりとほどける穴子。
これは蛤とは対照的に非常にサッパリな味わい。
玉子
独特のみっちり感!
時を置いて確実に頂きたくなる唯一無二の味わいです。
店名:與兵衛(与兵衛、よへえ)
シャリの特徴:米酢を用いバランス良く仕上げたシャリ。硬めに炊いて湯煎に掛ける。
予算の目安:15,000円~19,000円
TEL:03-3682-3805
住所:東京都江東区大島2-24-5 コーポ高橋1F
最寄駅:西大島駅から350m
営業時間:19:00~22:00
定休日:水曜
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