1185年(文治元年)に築城されて以来、1871年(明治4年)の廃城令まで、圧倒的な威容を誇った岡城(豊後竹田城)。
今なお残る石垣は雄々しく、優雅で頼もしい山城です。
作曲家・瀧廉太郎は幼少期に竹田で過ごし、その記憶が「荒城の月」に反映されております。
そのような歴史ある街・竹田において、岡藩の御用菓子司となったのが、こちら但馬屋。
1804年(文化元年)に創業し、【練り羊羹】、【三笠野】、【夜越の月】を献上しました。
1877年(明治10年)に西南の役で竹田の街ならびに但馬屋は全焼してしまったそうですが、同年に再建され、今に至っております(1964年に改装)。
ちなみに、瀧廉太郎が竹田に移り住んだのは4年後の1891年(明治24年)との事です。
そして、1934年(昭和9年)には瀧廉太郎の功績を讃え、【荒城の月】と命名された御菓子が生まれました。
旧幕府の城下町には和菓子の老舗が多く、城巡りと共に他に無い楽しみの一つです。
しかし、長い時代の間に劣化してしまった伝統菓子も無きにしも非ず…
反面、時代の厳しい淘汰に流されず、今を以て魅力的な味わいの和菓子に出会えると、闇夜に輝く綺羅星を見つけたような、あるいは川底の土に細やかな砂金を見つけたような嬉しさがこみ上げてきます。
この度、頂いた御菓子は二種類。
【荒城の月】と【夜越の月】となります。
【夜越の月】は前述の通り岡藩の頃に献上されていた御菓子ですが、途中【荒城の月】に一本化されておられ、
創業180年の記念として1984年(昭和59年)に復刻されたそう。
個人的には【荒城の月】よりも、その原型である【夜越の月】の方が印象に残りました。
復刻されたのは大変嬉しい事です。
ともに言える事は、生地=淡雪の独特な食感。
しっとり、ふんわりした生地は、マシュマロを思わせます。
ねっちりしていないエアリーなマシュマロ。
しかし、それもその筈。
調理法を確認したところ、淡雪とマシュマロの違いは、寒天を用いるかゼラチンを用いるかの違い。
溶かした寒天に砂糖を加えて煮詰め、泡立てた卵白(メレンゲ)を混ぜて固めたものが淡雪。
「和製マシュマロ」とも言える生地は、斬新な発見がありました。
荒城の月
そのような淡雪で、黄身餡を包んだものが、荒城の月。
ふわっとした生地と上品な甘みの黄身餡がバランス良好。
黄身餡はサラリと溶け後に存在感を残す。
手亡豆の白餡に卵黄を混ぜているそう。
夜越の月
こちらは栗餡とこし餡を用いている。
黄身餡と同様に上品な甘みで、栗の優しい香りがふわりと漂う。
実に個性的なご当地和菓子です。
店名:但馬屋老舗(たじまやろうほ)
予算の目安:荒城の月3個450円、夜越の月3個630円
最寄駅:豊後竹田駅から700m
TEL:0974-63-1811
住所:大分県竹田市竹田町40
営業時間:8:00~18:30
定休日:無休(正月元旦と年4、5日を除く)
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