
こんにちは、オーベルジュ・料理旅館が大好きな、すしログ(@sushilog01)です。
私事で恐縮ですが、僕と妻はお互いの誕生日にオーベルジュ・料理旅館をプレゼントするようにしています。
まさにモノよりも思い出、食を大切にしている次第です。
そして、2025年の僕の誕生日に妻がプレゼントしてくれたのが、今回の「ピュシス(physis)」さんです。
お伺いして本当に良かったと思える素敵なオーベルジュでした。

シェフが生産者さんとのネットワークを広げるほどに、料理が深化すると確信しました。
立地も個人的には素晴らしいと感じましたので、再訪は間違いありません。
ちなみに、国東半島は石仏や廃寺があるので、秘境好きには堪りません!
さらに、ピュシスの御夫婦からお伺いした奇祭、「ケベス祭り」も興味深いので、いつか必ず参加したいと思います。
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「ピュシス(physis)」は、シェフの川﨑遼平さんが2024年5月に開いたレストラン兼オーベルジュです。
川﨑シェフはパリで5年連続ミシュラン1ツ星を獲得したという、輝かしい経歴を持る料理人です。
出身は広島県で、お父様は広島のグルメならば誰もが知る有名なフレンチレストランのオーナーシェフ。
お父様とパリに出店する前に、パリ11区の星付きレストラン”Qui Plume la Lune”で修行されて、開店準備期間にはコペンハーゲンに存在した有名店”Relæ(レレ)”でスタージュを経験されたそうです。
そして、2016年にお父様が「KEN KAWASAKI」を開店。
川﨑遼平シェフは2017年に料理長に就任し、翌年2018年にミシュランの1ツ星を獲得されました。
その後、2022年に帰国して、国東半島に「ピュシス(physis)」を開店されました。

…このようにキャリアを書いたのには理由があります。
おそらく大半の人が上記の情報を読むと「エリートシェフ」の姿を想像するかと思います(「グランメゾン東京」のような)。
しかし、川﨑遼平シェフは奢ったところなど皆無で、自然体で料理をされています。
そして、純粋に食材を愛し、食材を自らの手で美味しく昇華することに専念されている事が、お料理をいただけば瞬時に分かります。
調理の魅力としては、「食材に手数を掛けながら、食材の持ち味を殺さない」点。
そして、調味についても、安易な足し算や掛け算をされていない点が好印象です。
見た目から「手を掛けているでしょ」と思わせる料理ではなく、いただいた時に味をもって手が掛かっているのが分かる料理です。
さらに食材の取り合わせも独創的ですが、味が決まっていて、選択の必然性を感じるものが多いです。
個人的に魚介類を多用されている点も嬉しい。
オープンから1年少々での訪問でしたが、これから仕入先の生産者や食材のバリエーションが増えると更にどんどん美味しくなると確信しました。

お店は周囲に(観光客にとって)何も無い場所、普通の村落にありますが、窓からの景色や流れている時間が格別です。
こちらは確実に、食事のみではなく宿泊込みで訪問するのが正解です(それぞれ、感じる印象が大きく異なるでしょう)。
食事のみは15,000円で、宿泊はディナー・朝食込で33,000円(2名利用時1人あたり)、40,000円(1名利用時)となります。
周囲の雰囲気と時間を楽しむべく、宿泊してワインをペアリングしていただくのがオススメです。

2025年9月にいただいた内容です。


一皿目から心を掴まれる。その理由は食材力を超える料理力のためだ。ヤリイカは寝かせているようで、マリネした瓜、塩カボスと合わせる。ヤリイカは寝かせと包丁によってとろけるようなテクスチャーで甘味を活かし、塩カボスの塩味と酸味、そして鮮烈な香りと合わせて印象を強める。瓜の食感と香りも実に爽やかだ。

小さいタルトでの提供。パプリカの香りと車海老の甘味がキャッチーな組み合わせで、タルトのパリパリ感と香ばしさなど、魅力的な香りと食感の協奏を楽しめるアミューズ・ブーシュだ。

3種類のかぼちゃを使用したサラダ。3種類は、宿儺かぼちゃ、日本かぼちゃ、コリンキー。南瓜の多層的な味覚と食感で構成されているのが面白い。合わせている花ミョウガは独特かつ爽快な香りが印象的。落花生も非常に香ばしい。


茄子はタルタルで、トマトの果汁のジュレ、刻んだネズミサシ。オコゼは旨味が強く、トマトの甘味と旨味がじんわりと調和しながら茄子の香ばしさが絡まる設計が非常に魅力的だ。ネズミサシは苦味がある。オコゼを主とするプレートに苦味を差し込むのが面白い試みである。それでいて、オコゼの味をしっかりと楽しめるのも素晴らしい。シェフのジュレをいただいて、ジュレは複雑化しない方が寧ろ旨いと実感した。

キクラゲは原木栽培で、コリッコリ。テングニシ貝の出汁を含ませたオオムギは食感がぷりっぷりで美味しい。テングニシ貝は旨味が強く、甘味とともに奥歯の方に旨味が力強く伸びる。ほのかにホロ苦さもあり、さらに山椒オイルで香りの清涼感と痺れによってキリッと印象を引き締める。


豊後高田市「パン工房 HIBINO」のパン。


キジハタの出汁とモロヘイヤ、オクラ、ピーマン、キジハタはむっちりしつつ、しっとりと繊維がほどける。

旨味と香りをともに楽しめるキジハタだ。ここで、塩気のギアを上げて巧みにコースの流れを変える。バジルオイルは上品な範疇で使用。自然のとろみで乳化させずにソースにしているのもフレンチ出身シェフとして実に面白い!

鰻出汁と白ワインのソース。鰻は独特の凝縮感があり、非常に面白い仕立てだ。繊維質がみっしり、むっちりしていて、余計な脂を落としている感じがある。古代米には旨味を含ませてバリッと食感を立たせて炊いている。オカワカメの取り合わせも面白い。


部位はもも肉。鹿のジュのソースと赤ワインソースを分けて提供し、発酵させたブルーベリー、黒ニンニクと合わせている。葉ものはアマランサス。鹿肉は柔らかく、甘味と旨味が強い鹿だ。アマランサスは海苔的な香ばしさがあり、相性が良好。上品なアクセントとなる。

ホワイトチョコレートのキャラメリゼ、ジェラート、シャイン、マーガオのよう!

朝ごはんの内容です。

お米は両子山の古刹「両子寺」が生産する【両子米】だ(品種はヒノヒカリ?)。

炊きたてのお米の香りと味噌汁の出汁の香りが堪らない。

おかずも魅力的で、キュウリと海岸でとれるわかめは嬉しく、アコウの煮付けとマナガツオの味噌焼きも美味しくいただいた。

水菓子は国東の梨。

「ピュシス(physis)」 さんの予約については、お電話もしくはインスタのDMとなります。
店名:physis(ピュシス)
予算の目安:食事のみは15,000円で、宿泊はディナー・朝食込で33,000円(2名利用時1人あたり)、40,000円(1名利用時)
TEL:070-8454-9511
住所:大分県国東市国東町来浦470
最寄駅:なし
営業時間:要相談
定休日:不定休
新たな価値を生み出すシェフが大好きな、すしログ(
@sushilog01)でした。
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