新潟を代表する気鋭の日本料理店!サプライズに満ちた「割烹渡辺」

割烹渡辺看板

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

ここ数年で一気に「グルメ県」となっている新潟。

いや、もともと美味しい食材の宝庫でしたが、全国トップレヴェルの飲食店が急増しています。

僕は、新潟は今後さらに全国からグルメを惹きつける県になるだろうと予測しています。

 

そんな新潟で最も気になった日本料理店が、今回ご紹介する「割烹渡辺」さんです。

料理写真から高い調理技術と遊び心が窺えたので、これは間違いないなと確信。

そして、今回お伺いして、こちらは通い続けたいと心から感じた次第です。

割烹渡辺鴨の炭火焼き02

今回頂いたのは冬季限定の【鴨会席】でしたので、季節を変えて通常コースを頂きに上がります。

すしログ

同じ酒どころの県で、グルメ化が進んでいる広島出身の僕としては、刺激を頂くために新潟訪問を繰り返したい!と感じます。
すしログについて

★全国6,000軒以上を食べ歩く食好き
☆鮨の食べ歩きは15年以上のキャリア
Twitterでは幅広く、インスタでは鮨・魚介料理日本酒
☆「すしログ鮨会」のご案内は、すしログの公式LINEにて
★noteに、各種グルメマガジンを連載しています!
Substackでは、英語で鮨の魅力を発信中!

「割烹 渡辺」の魅力とは?

「割烹渡辺」さんは、もともと川魚専門店だったそうです。

屋号は「うろこや」で、創業を1933年に遡る老舗。

「割烹渡辺」さんの移転前の建物はカウンターが無い大箱だった模様です。

 

そして、2021年3月10日にカウンターと個室、さらには宿泊機能を備えたオーベルジュとして生まれ変わりました。

上質なカウンター割烹として、渡辺さんがトーク込みで魅せてくれます。

 

ご主人の渡辺大生ひろおさんは18歳で新潟市の「割烹大直」に修行に入り、24歳で家業を継がれたそうです。

叩き上げの日本料理人です。

それでいて研究意欲と料理愛、食欲が高じたためか、新潟の料理研究集団「イル・ラボラトリオ・ディ・クチーナ・ニイガタ」を率いられました。

この通称「ラボクチ」は名前が示すとおり当初はイタリア料理人が主体でしたが、現在は下記のように幅広いジャンルの料理人が所属されています。

  • il riposo:原田誠
  • 割烹渡辺:渡辺大生
  • osteria il santopiatto:桑原宗紀
  • osteria bacco:三善将則
  • とりやきoniya:鬼嶋大之
  • 鮨登喜和:小林宏輔
  • fiorita:田村崇
  • 灯りの食邸kokajiya:熊倉誠之助
  • armonia:真保元成
  • l´armoire:田中良太郎
  • sincere:佐川晶子
  • 和風ジェラートおかじ:岡島健志

 

渡辺さんの御料理を頂き、お話した結果、「割烹渡辺」さんの魅力は渡辺さんの個性そのものだと感じました。

料理もお人柄も個性的で、話が尽きません。

すしログ

ノンストップで冗談を飛ばされ、冗談の精度が高いため、何が真実か分からなくなりますが(笑)

食の好奇心が旺盛でノンジャンルで食べ歩く渡辺さんは、自身の御料理をセンスで唯一無二に仕上げています。

そして、新潟の食文化や食材を未来に残したい、と言う強い想いを感じさせます。

それは、今回頂いた【鴨会席】に集約されています。

割烹渡辺鴨の炭火焼き01

新潟ではもともと鴨肉が日常的に食べられていたものの、人気が低下して、食文化が弱くなっていたそうです。

確かに、田舎の鴨料理と言えば、「臭い、硬い、美味しくない」と言うイメージが強く、僕ももともと苦手でした(田舎出身者として)。

 

しかし、本質的に新潟の鴨は美味しいのです。

その魅力を若い人に伝えていくため、【鴨会席】を10年前に始めたそうです。

 

【鴨会席】は「臭い、硬い、美味しくない」の対極である「香りが良い、柔らかい、美味しい」で構成されています。

鴨の様々な部位を、色々な調理法で味わわせて頂けて、鴨だけでなく魚介も織り交ぜる点が素晴らしいです。

 

食材的にも味覚的にも多岐に及び、起伏があるので、最後までワクワク感があります。

上品に味覚調整がされた渡辺さんの御料理は、「サプライズのある新潟料理」だと思います。

 

食材縛りではないコースで何をどう表現されているか?

次回お伺いする日が楽しみです。

「割烹渡辺」の御料理の詳細

それでは、「割烹渡辺」さんで実際に頂いた御料理をご紹介します。

【鴨会席】の詳細

【鴨会席】は、下記の御料理で構成されています。

  • 鴨のつくねの椀
  • 鴨の皮焼き、鴨の笹身パルミジャーノ揚げ
  • 鮃、カマスの刺身
  • 鴨のもも肉の自家製塩麹焼き
  • 鴨のレバーとハツのコロッケ、砂肝の素揚げ
  • 十日町の天然クレソン
  • 鴨のくわ焼き
  • メガニ
  • 鴨の炭火焼き
  • お食事:鴨ご飯、香の物、留め椀
  • 南蛮海老出汁の塩ラーメン
  • 水菓子:自家製落花生のジェラート
  • 水菓子:サツマイモ金団

鴨は5日ほど寝かせて使用されているそうです。

【鴨会席】は、部位ごと調理ごとに異なる魅力を伝えてくれる秀逸なコース。

食材の可能性を提示する点において、食材縛りのコースとして高次元で成立させていると感じました。

 

割烹渡辺炭酸水

車だったので、敢え無く炭酸水でカンパイ。

この金山の天然炭酸水は美味しいですけどね…

 

鴨のつくねの椀

割烹渡辺鴨のつくねの椀

鴨のつくねに軟骨を入れるのが郷土性との談だ。

これは滋賀県の鴨料理との共通項。

割烹渡辺鴨のつくねの椀02

椀には天然ナメコ、天恵菇てんけいこが使われている。

鴨の風味を満喫できる出汁が魅力!

ふくよかな甘みがあり、期待が高まる鴨の椀。

がんの軟骨はかなりの存在感!

ガリガリと力強い食感だ。

天恵菇は肉厚で旨い椎茸。

天然ナメコも良い香りと食感で名脇役。

なお、調理に用いる水は、弥彦酒造の仕込み水とのこと。

 

鴨の皮焼き、鴨の笹身パルミジャーノ揚げ

割烹渡辺鴨の皮焼き鴨の笹身パルミジャーノ揚げ

炭火ではなく敢えてフライパンで焼き上げ、脂を出すそうだ。

脂は他の御料理に使用される。

鴨の脂は非常に旨く、全くクドくない。

鴨の笹身パルミジャーノ揚げも笹身の食感と香りが良い。

食欲が一気に刺激される2品目。

 

鮃、カマスの刺身

割烹渡辺鮃カマスの刺身

魚も出るのが実に良い。

新潟の魚も食べたくなるのが人情だろう。

自ら神経〆を施した鮃は5日寝かされている。

熟成による旨味が強く、それでいて身質はしっとりぷりりと食感が良い。

熟成は料理人のセンスがシビアに試される。

旨味に走り過ぎず、香りと食感のバランスも重視する方は信用に足る。

炙ったカマスも脂が乗っていて、力強い味わい。

付け合わせの合わせ醤油とポン酢も美味しく、ポン酢とカマスの相性は抜群だ。

山葵もまた、抜かりない。

魚沼産の山葵は緑色が美しく、辛味があり、香りも甘みもある。

瑞々しいため鮨には難しいかもしれないが、刺身には素晴らしい相性の山葵だ。

 

鴨のもも肉の自家製塩麹焼き

割烹渡辺鴨のもも肉の自家製塩麹焼き

こちらは炭火焼きで。

ストレートに美味しい。

鴨の上品な香りを楽しめる。

柔らかい肉質で、噛み締める喜びがある繊維質だ。

優しい甘みのある赤蕪の酢漬けも良い相性。

 

鴨のレバーとハツのコロッケ、砂肝の素揚げ

割烹渡辺鴨のレバーとハツのコロッケ砂肝の素揚げ

いやあ、美味しい。

率直に美味しいコロッケ。

まず、香りが良い、

レバーを臭みではなく香りとして楽しませてくれる。

レバー、ハツと同量の野菜を使用しているだけあり、ふわっと感もあり、味わいも奥行きがある。

衣は薄く、ガリッと良い食感で、中身とのコントラストを十分に表現している。

砂肝も美味しく、もぎゅっとよじれた後に、ジューシィに肉汁をあふれさせる。

 

十日町の天然クレソン、パルミジャーノ

割烹渡辺十日町の天然クレソンパルミジャーノ

香りが良く、苦みは無く、ザバザバ食べられる美味しいクレソン。

良い口直し。

 

鴨のくわ焼き

割烹渡辺鴨のくわ焼き

部位はロース。

ひたすら柔らかくて上品なロース!

 

 

メガニ

割烹渡辺メガニ

他県で言う、せこ蟹、せいこ蟹、こっぺ蟹…ズワイガニのメスだ。

定番の土佐酢のジュレは酸味が穏やかで、スッキリ爽やか。

クリアな味のジュレが蟹の甘みと香りを十分に活かす。

 

鴨の炭火焼き

割烹渡辺鴨の炭火焼き02

炭火焼き。

血の香りが心地良く、食感は柔らかい。

サクッと切れて、しっとり、ほろりとほどける繊維質だ。

これはひとえに火入れの妙。

焼き方が巧みだ。

割烹渡辺鴨の炭火焼き01

自家燻製した村上の塩も最良のパートナー。

 

お食事:鴨ご飯、香の物、留め椀

割烹渡辺お食事

炊き込みでなく混ぜで頂く鴨ご飯。

割烹渡辺鴨ご飯

混ぜご飯なので鴨肉を柔らかく頂ける。

もう、ご主人が混ぜられている時から香りが良い。

鴨の脂も使用され、ひたすら美味しい。

ただでさえ格別なのに、糸魚川フェルエッグの卵と頂くのは、反則的。

割烹渡辺鴨ご飯02

超濃厚なのに臭みが皆無な卵は逸品と感じた。

 

留め椀の味噌は自家製で、椀種は天然ナメコ、竜の髭(伝統的な極細の食用菊)。

鰹出汁がスッキリな味噌汁だ。

割烹渡辺香の物

香の物も自家製で、美味しい。

 

南蛮海老出汁の塩ラーメン

割烹渡辺南蛮海老出汁の塩ラーメン

お腹の余裕に応じての提供との事だが、頂かない手はないだろう。

なにせ渡辺さんはラーメンが大好きで、随所にラーメンの話をされるから。

しかも、「ラーメン部長」のお弟子さんが作られるラーメンは、下手な専門店よりも美味しい。

南蛮海老100%で出汁を引き、村上のミネラル工房の塩を使用。

チャーシューは、新潟の銘柄である甘豚あまぶた。

麺は新潟の製麺所で、戦後から製法を変えてない麺。

スープは南蛮海老の出汁のみで非常に甘い!!

そして、驚くべきことに獣系の出汁を合わせていないのに、旨味もバッチリだ。

細めのちぢれ麺がスープに良く絡まる。

 

水菓子:自家製落花生のジェラート

割烹渡辺水菓子:自家製落花生のジェラート

自家製落花生のジェラートな落花生香りが濃密!

これまた和食店としては非凡な味わいの水菓子で、担当はお若いお弟子さんであった。

 

水菓子:サツマイモ金団

割烹渡辺水菓子:サツマイモ金団

可愛らしい見た目で、香りが良い。

▲目次へ戻る

「割烹 渡辺」さんの立地と雰囲気

お店は巻駅の近くにありますが、巻駅自体が離れているため、かなり意外な立地に感じます。

知っていなければ降り立たない駅でしょう。

僕は車で訪問しましたが、街の雰囲気は風情があり、ノスタルジックな気持ちになりました。

割烹渡辺外観

お店はカウンター8席に加えて、2~6名がけのテーブルが2卓、2~10名用の完全個室があります。

入口からお席までのアプローチは期待が高まる素敵な雰囲気です。

 

カウンター席に座りまず印象的なのが天井の両隅に鎮座する獅子。

割烹渡辺内観01

お店の象徴的存在になっていて、随所にアイコンとして描かれています。

 

カウンター越しに外が見えるので、開放感もあります。

割烹渡辺内観02

「割烹 渡辺」のお店情報と予約方法

「割烹 渡辺」さんは、お電話での予約となります。

 

割烹 渡辺(食べログのリンク)

店名:割烹 渡辺(かっぽう わたなべ)

予算の目安:昼夜共に8,800円(少し軽めのコース)、11,000円(スタンダードコース)、16,500円(より食材、料理をお楽しみいただけるコース)

宿泊:一日一組、3名まで(木、金、土、日曜日のみ)、1名8,800円(朝食付)

TEL:0256-72-2859

住所:新潟県新潟市西蒲区巻甲2443

最寄駅:巻駅から250m

営業時間:12:00~13:00まで入店、18:00~20:00まで入店

定休日:水曜、第1、第3週は火、水曜連休

※完全予約制です

 

関連する記事

渡辺さんと親交があり、新潟が誇る鮨店「兄弟寿し」

新潟で鮮烈な印象与えてくれる「割烹 新多久」さんの鮭会席

 

新潟食材のポテンシャルにワクワクする、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)でした。

▲目次へ戻る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA