綺羅びやかなお店よりも渋いお店が好きな、すしログ(@sushilog01)です。
さて、こちらは祇園四条駅から八坂神社へ続く大通りにあって、非日常を味わわせて頂ける実力派のお店です。
多くの京都人であっても、「えっ、こんな場所に、こんな名店が!?」と思う立地でしょう。
観光客が賑わう商店街から裏路地に入るような小道を入るアプローチには、誰もが心を躍らせるはずです。
雰囲気については後述しますが、肝心の御料理は正統派の日本料理(会席)です。
そして、京都にある星付きのお店でありながら、お昼限定5,000円の【点心】をリースナブルに頂けます。
しかも、リーズナブルであってもお店の魅力を感じさせてくれる充実した内容です。
すしログ
京都は雰囲気や人気で選ぶと余裕で外してしまう、怖い街。
懐が深く、和食が好きな人の心を癒してくれるのが、「味舌」さんです。
味舌(ました)さんの魅力とは?
味舌
さんとは不思議な響きで、いかにも美味しそうな店名ですが、実は大将の本名です。
大将の味舌正洋さんは、日本屈指の料亭である滋賀「招福楼」で9年間修業された方。
お店は、【親子丼】で人気を馳せる蕎麦店の「権兵衛」の姉妹店として1979年(昭和54年)に創業されました。
そして、2000年(平成12年)に独立されました。
2010年にミシュランの一ツ星を獲得されて以来、2022年も星をキープしているお店です。
名実ともに優れた名店と言えますが、世間的には京都も派手な料理店の方が脚光を浴びやすいためか、「知る人ぞ知る名店」と言う印象を感じます。
しかし、和食に以下の要素を求める方ならば、高確率で惚れる御料理です。
- 正統派!
- 明確な季節感を演出する日本料理
- 一見素朴ながらに美しさのある御料理
- 旨味がありつつスッキリした出汁
また、こちらは、宮城県塩竃の名店「千松しま」の色川秀行さんの修行先でもあります。
塩竃で感動的な御料理を頂いたため、修行先にお伺い出来て幸いです。
味舌(ました)さんの御料理の詳細
以下に2022年1月に訪問した際の内容をご紹介します。
この度頂いたお酒
月の桂、柳 純米吟醸 1,600円
頂いたお昼の【点心】の内容
- 大福茶
- 祝い酒
- 八寸:お節料理
- 椀:白味噌の雑煮椀
- 造り:ヒラメ、鮪
- 焼きもの:鮭の味噌焼き、出汁巻き玉子
- 酢のもの:寒堀りの筍とワカメ
- 炊き合わせ:鴨の丸、赤こんにゃく、蕪
- お食事:蕗の薹と海苔の出汁茶漬け
- 水菓子
- お薄
大福茶
京都古来の、正月用のお茶。
1年の無病息災と口福を願って頂く縁起の良いお茶だ。
八寸、祝い酒
蛸の柔らか煮、たたき牛蒡、のし梅、紅白なます、玉子焼き、菜の花の芥子和え、黒豆、ごまめ、ちょろぎ。
【蛸の柔らか煮】は料理名どおり柔らかいが、鮨店における【柔らか煮】あるいは【桜煮】ほどには柔らかく炊いておらず、みっしりした繊維質で、さっくりと歯切れが良い。
【ごまめ】は飴がけになっておらず、甘み無い。
よって、全体の中で苦味の役割になる。
【菜の花の芥子和え】は出汁が利いていて、芥子の塩梅も上品だ。
【玉子焼き】は、ふわんふわんと良い食感だが、甘みが全く媚びていないのが凛としている。
【紅白なます】もまた然り。
極細に切られた大根と人参は酸味がしっかりしていて、甘みは弱い。
お節料理の定番の品々だが、さりげないプロの仕事が光る。
椀
白味噌の京都らしい雑煮。
たっぷりの鰹節を乗せて提供。
出汁はかなりスッキリしていて、白味噌を引き締めている。
椀種は大根、金時人参、八つ頭、お餅。
八つ頭は非常にトロットロに炊いている。
造り
ヒラメ、鮪。
調味料はちり酢と造り醤油。
ヒラメはバッチリ旨い。
脂が乗っていて、旨味もある。
鮪も脂が乗っていて、老舗の日本料理店ながらに美味しい鮪だ。
ちり酢には出汁と柑橘を利かせていて、美味しい。
つまは、山芋、ハマボウフウ、紅蓼。
焼きもの
鮭の味噌焼きと、出汁巻き玉子。
出汁巻き玉子は非常に柔らかく、ぷるんぷるんと心地よい食感がある。
小鉢には酢のものが入っていて、寒堀りの筍とワカメの酢のものだ。
酢は極穏やかで、タケノコは早春を想起させてくれて嬉しい。
炊き合わせ
鴨の丸、赤こんにゃく、蕪。
蕪はとろんとろんで甘い。
鴨は骨ではなく軟骨を入れて丸にしている。
出汁は旨味が強く、まろやかでスッキリ。
お食事
蕗の薹と海苔の出汁茶漬け。
ご飯はおにぎりにして、中に鯛味噌を射込んでいる。
大根に細かい包丁入れてる、出汁のみで塩気は鯛味噌と香の物からというのが良い、蕗の薹の香りが抜群!
水菓子
正月の餅飾りをイメージした生菓子。
百合根餡を使用している点がユニーク!
瑞々しくスッキリした味わいのつぶし餡も美味しい。
お薄
京都らしくて嬉しくなる。
味舌(ました)さんの立地と雰囲気
京都に行ったことがある人なら、誰もが通った事があるであろう、八坂神社に続く四条通。
観光客向けのショップが軒を連ねる中に、味舌さんはあります。
祇園らしい町家ではないものの、アプローチが素晴らしいので、町家以上に「京都感」を感じられるかもしれません。
喧騒から一瞬にして静寂に包まれるギャップ。
薄暗い石畳には打ち水が打たれていて、静寂が一瞬にして身に染みてゆきます。
思わず凛とした気持ちになり、期待が高まります。
店内は歴史を感じさせる渋い空気感がありますが、古めかしさは無く清潔で、カウンターは明るいです。
また、お店の中庭には祠があり、非日常感を漂わせます。
味舌(ました)さんのお店情報と予約方法
WEB予約について、公式サイトもしくは食べログから可能です。
老舗なのにWEB予約に対応されているとはありがたいですね。
店名:味舌(ました)
予算の目安:お昼の点心5,000円〜、夜13,200円〜 ※お昼は現金払いのみ
TEL:075-525-2160
住所:京都府京都市東山区祇園町北側246
最寄駅:祇園四条駅から180m
営業時間:111:30~13:30(L.O)、17:00~20:00(L.O)
定休日:日曜(三連休の場合は営業)
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舌の肥えた方と、云うのは失礼にあたりますが、近頃味の分からない方が多いので損をされてるお店です。
家元さんも来られるところですが、本当にお値打ちと思います。
御雑煮を召し上がられましたが、花鰹の薄さは特筆と思います。
美味しいお店を、またご紹介ください。
CUP商会さま
コメント頂きまして、ありがとうございます。
味を思い出すとともに、また異なる季節にお伺いしたいと改めて感じました。
昨今の見た目や高級食材を前面に打ち出す風潮は料理の本質から逸れますよね…
真っ当なお店が然るべき人気を維持することを切に願いながら訪問を続けます!