こんにちは、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。
さて、高知県と言えば「豪快」なイメージが強いかと思いますが、確かに多くの料理店が豪快です。
洗練された日本料理店や江戸前鮨店は非常に少ないものの、居酒屋文化が非常に強く、お酒好きには堪らない県です。
しかし、今回訪問した「寿司処 すず木」さんは、高知で大変貴重なご当地江戸前鮨のお店です。
街場寿司の方向性ながら、江戸前の仕事を施された地魚たちは、こちらでしか頂けない握りへと昇華されます。
高知県で鮨と美味しい魚介類を求めるならば、覚えておいて損は無い一軒です。
例によって食べログのスコアは低く3.09ですが、「隠れた名店」だと思います。
中でも、今回頂いた鰹は掛け値なしに人生で一番美味しかった!
しかも完全に「レベチ」で、圧倒的なクオリティの差でした。
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高知市の「寿司処 すず木」さんは国道沿いにあり、外観からすると上質な江戸前鮨を頂けるようには見えません。
雰囲気の良いダイニングバーのような内装で、スタッフの皆さまも若くてフレンドリーです。
さらには、親方の鈴木 建二郎さんは、なんと金髪!
かなりの個性派に思われるかもしれませんが、物腰は穏やかで、誰もがリラックスして楽しめるはずです。
鈴木親方は神奈川の江戸前鮨店で修業された後、高知に戻り、「寿司居酒屋」を謳う「睦月処 穂寿美」さんの料理長を勤められたそうです。
その後、2015年12月に独立されて「寿司処 すず木」をオープン。
当世主流の「おまかせ・一斉スタート・回転制」の真逆を行く、「おこのみ・何時でも訪問可能」を採用されています。
お店の特徴としては、高知では珍しい赤酢のシャリを切られている点と、上質な魚介類の仕入です。
赤酢については、外観の壁面に看板が掲げられているほど。
これはご自身のシャリへの自負と同時に、お客さんの教育も兼ねているのだと推察します。
赤酢のシャリが根付いていない土地においては、「赤いシャリ」が忌避される事は、かの京都や大阪でも昔はザラでしたので…。
そして、鈴木親方の赤酢のシャリは塩も酸味も穏やかで、旨味が主体です。
温度加減は良好で、パラッとしている点が素晴らしいです。
高知の方のために書いておくと、ダメなシャリの特徴は「甘すぎる・柔らかすぎる・粘度が高すぎる・冷たすぎる」となります。
鈴木親方のシャリは、これら全てをクリアされています。
そして、仕入については申し分無く、高知の魚と他県の魚ともにバッチリです。
冒頭にも記載した通り、今回頂いた鰹は人生で一番美味しく、あらゆる鰹とは別モノの神クオリティでした。
味については後述しますが、あまりにも感動的だったので伺ったところ、「400~500匹の内の数匹レベル」で「昼に揚がったもの」かつ「年間を通してそうそう入らない鰹」との事でした。
僕は前々から高知県は鰹を県内消費している…と踏んでいましたが、間違いありませんでした。
本当に上質な鰹は高知県内でしか出会えない模様です。
久々に、ご当地で地魚を頂く喜びを心から実感させて頂きました。
さらに、調味料への配慮もあり、この点において街場寿司とは一線を画します。
料理、魚によって塩を使い分けておられ、山葵は紛れもない本山葵。
リーズナブルなのに覚悟が凄い…と感動を覚えました。
「寿司処 すず木」さんは、前述の通り「おこのみ」が可能です。
壁にタネ札が掛けられていて、別途メニューブックもあります。
全て価格が明示されているので明朗会計。
しかも非常にリーズナブルで、満足度が高いです。
要は「寿司割烹」的な使い方が出来るお店ですが、魚のクオリティは高く、誰もが楽しめる鮨店だと言えます。
この度頂いたお酒
- 美丈夫 麗 吟醸酒(松山三井55%・新高知酵母SHELA)
- 若波酒造(福岡) 蜻蛉 純米うすにごり酒 青とんぼ(夢一献60%)
- 大嶺酒造(山口) 大嶺3粒 夏純かすみ生酒 山田錦(山田錦50%)
地酒の種類は多くありませんが、むしろ県外のモダンなお酒を中心に入れておられます。
季節がわりのオススメのお酒は、カウンター前の黒板を確認の事!
白眉!!
昼に揚がったものなので、食感はぷりぷりしていて、もっちり張り付くような口当たり。
そこから強烈な旨味と確かな脂が滲み出る!
全く酸化しておらず、ひたすら旨い。
血の香りも無く、ひたすらピュアな味わいだ。
それでいて食欲をそそる香りがあり、これが鰹本来の香りなのか…と感動する。
もの凄い食感から想像を超える味……、本当に食感が秀逸であった。
ぷりぷり、もっちり、しっとり。
余韻に爽やかな酸味が極めて上品に漂い、恍惚へと導いてくれた。
これが2,000円とは信じられない(これでも当日一番高いメニューだった)。
アイスプラントの奥の漬け物はガリではなく、茗荷の甘酢漬け。
加熱せずに生で提供するのは自信の証。
包丁を効果的に入れて歯切れと食感を良くしている。
噛み締めると旨味が高まる。
冷製ながら確かな旨味だ。
蛸はつまみになる、と実感する。
塩を見れば、調味料への配慮が一目瞭然だ。
漢字表記は頭五郎鰯で、鰯でありながらハードな鱗を持つ。
よって、揚げる事で鱗がつまみになる。
一口目から香りが実に良い。
そして、肝の香りと旨味、ホロ苦味が心地良い。
「ちちこ」とは鰹の心臓である。
当然の事ながら1匹から1個しか取れないので、頂けるとはありがたい…
食感、香り、味わいが素晴らしく、癖が皆無で、記憶に残る味わいであった。
この後、握りを頂きました。
お好みでも頂けますが、「地魚をひととおり」とお願いしました。
見た目通りクラシカルな味わいのガリ。
「ヒラアジ」は各地で指す魚が変わるが、高知においてはマアジの事だろう。
煮キリのアタックが強めながら、噛み締めると味わい深い。
程良い脂と旨味、上品な香りを楽しめる鯵だ。
食感はぷりぷり、パツパツ。
鱚の香りと甘味が伝わる。
酢橘を用いつつも非常に上品な使用量で、足し過ぎないのは実に良い。
都会の高級店でも足し過ぎているお店は多数ある。
これは県外産だが、タネ札を見て「必須でお願いします!」と伝えていた。
何と【三つ編み】で登場した。
しかも【三つ編み】が活きる古典的なバッチリ〆(三つ編みはバッチリ〆ないとコハダの味が分かりづらい)。
オボロと合わせる強めの塩気だが、酸味は穏やか。
親方の味を感じさせる仕事だ。
脂がしっかりと乗った金目鯛。
バーナーで炙ってから提供。
バツバツな身に鹿子包丁を入れていて、食感と脂を共に楽しませる。
包丁で魚の味を変える実に良い仕事。
縞鯵もパンチが非常に強い!
食感と脂がたっぷりだ。
アオリイカであっても食感がパツパツな点が「江戸前鮨のイカ」らしくて良い。
最近はアオリイカと言えば「柔らかさ」と「強い甘味」を前面に出すお店が多いので…
とは言え、噛み締めるほどに甘い、アオリイカならではな魅力も楽しませてくれる。
神。
握りで頂いても感動的な味わいであった…
干瓢巻きを仕込んでおられると、江戸前鮨好きとしては嬉しくなる。
高知で赤酢のシャリの干瓢巻きを頂けるとは。
「寿司処 すず木」さんは、お電話のみの予約となります。
店名:寿司処 すず木(すしどころ すずき)
シャリの特徴:高知では非常に珍しい赤酢を用いつつ、オールマイティに仕上げたシャリ。
予算の目安:おこのみなので食べる量次第だが、お酒を飲んで6,000円~8,000円くらい
TEL:088-856-7666
住所:高知県高知市本町2-1-3
最寄駅:堀詰駅から130m
営業時間:17:00~22:00
定休日:不定休
相当昔に書いた、高知の郷土寿司についての記事
すしログ No. 63 驚くべき高知の寿司文化(高知県)
鮨を諦めていた高知県でも美味しい鮨を頂けて感動する、すしログ(@sushilog01)でした。
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