佐賀県唐津が誇る洗練された郷土料理の名店!「川魚摘草料理 飴源」

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こんにちは、海魚も川魚も大好きな、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

以前、2016年7月に鮎を求めて訪問した唐津の「飴源あめげん」さん。

この度再訪したところ、やはり素晴らしい名店だと実感しました。

ともすれば野暮ッたく思われがちな郷土料理を、上質な調理と見せ方で会席料理として提供されているところが素晴らしい。

飴源ツガニの姿煮01

次代の息子さんは東京・赤坂の某店で修業され、戻ったばかりとのこと。

今後も御料理が継承されるのは、非常に喜ばしいことですね。

すしログ

郷土料理のお店で二度伺って感動させてくれるお店は稀有。

個人的に、島根県日原の「美加登家」さんに並ぶ名店だと思います!

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唐津の名店「飴源」の魅力とは?

唐津の「飴源」さんは1838年(天保9年)に創業された、由緒正しき川魚料理、摘草料理の名店です。

「海の幸が豊富な唐津で川魚!?」と思われるかもしれませんが、唯一無二の個性を有しています。

お店のそばを流れる玉島川で獲れる天然物の鮎、鰻に加え、ツガニ(モクズガニ)を用いた御料理が格別。

飴源箸

創業以来、頑なに天然物のみを使用しておられ、他では頂けない確かな味わいを楽しめます。

飴源箸置き

 

「飴源」さんの魅力を簡単に挙げると、下記のとおりです。

  • ご当地の食材のみを使用
  • 郷土料理を上品に昇華させる調理技術
  • 唐津らしく素晴らしい唐津焼の器を多用
  • 居心地の良いお部屋とフレンドリーな接客

「飴源」さんでしか楽しめない御料理を、非常にリラックスして頂けます。

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尚、変わったお店の屋号の由来については、初代田中源吉が川魚料理に加えて水飴屋も営んでおり、「飴やの源さん」と呼ばれていた事にちなむそうです。

 

そして、余談となりますが、「飴源」さんの目の前に流れる玉島川には、『古事記』や『日本書紀』まで遡る鮎にまつわる伝説があります。

その昔、神功皇后は百済の救援に応じ新羅に出兵する際に、玉島川で戦占をしたと言います。

その戦占とは、鮎の釣り。

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『日本書紀』には、以下の通り記載されています。

是(ここ)ニ皇后針ヲ匂(ま)ゲテ鈎(ち)を為(つく)リ

粒(いいぼ)ヲ取リテ餌ニシ

裳の縷(いとすじ)ヲ抽取(ぬきと)リテ緡(つりのお)ニシテ

河中ノ石ノ上ニ登リテ鈎ヲ投ゲテ祈(うけ)ヒテ曰ク云々

占ったところ、年魚=鮎が釣れたため、戦勝間違い無しとされたそうです。

この伝説にちなんで、鮎は「魚に占う」と書くようになりました。

 

更に、面白い事に神功皇后が金の針を使ったため、玉島川の鮎の口は黄色いと言われております。

鮎にまつわる伝承としては最古なのではないでしょうか…

 

閑話休題。

こちらのお店の料理の話に戻ります。

上記伝承にまつわる玉島川の鮎や鰻も美味しいのですが、「飴源」さんでファンが最も多いのがツガニです。

 

ツガニは標準和名モクズガニで、中国の上海蟹の同属異種となります。

モクズガニは全国に分布しておりますが、頂けるお店は結構少ない。

その中でもこちらのお店は扱いに長けており、クセの無い上質なモクズガニを頂く事が出来ます。

僕の初回訪問時は鮎を狙っての訪問でしたが、モクズガニを狙う場合は秋がベストであるようです。

 

モクズガニのみならず、こちらの川魚の扱いの巧さは流石。

独特の泥っぽさを排除し、旨味を引き出す調理に終始感嘆を覚えます。

強い味付けの料理もありますが、川魚の風味を壊していないところが素晴らしい。

玉島川の魚に合った調理法を長年培われてきたんだな、と心から感じ、満足いたしました。

「飴源」の川魚料理の詳細

「飴源」さんでは季節に応じて食材を使い分けています。

春に訪問した際のメニューは下記のとおりです。

飴源メニュー

コースの大きな違いはツガニのサイズや量との事です。

僕は5,900円のコースを頂きました。

格式あるお店なのに、圧倒的なコストパフォーマンスです!

 

頂いた御料理は下記の通りです。

2022年4月に訪問した際の記事(シロウオ料理)

2022年4月の訪問時に頂いた御料理は、下記のとおりです。

 

春の川魚料理コース(5,900円)

  • 花山葵のお浸し
  • のびると手作りコンニャク
  • シロウオの吸いもの
  • シロウオのおどり食い
  • 鯉の洗い、山女魚の背ごし
  • 山女魚の塩焼き、山女魚の飴焼き
  • シロウオのかきあげ、摘草の天ぷら
  • ツガニの姿煮
  • ツガニの寄せ汁
  • ツガニご飯
  • 香の物
  • 水菓子

 

日本酒は地元・鳴滝酒造の「聚楽太閤」

飴源日本酒

…僕は運転手なので、ノンアルビールを脳内変換してビールに変えたが。

 

よもぎ茶

飴源よもぎ茶

 

前菜3種類はどれも郷土性と季節を感じさせ、上品な味に仕上げている。

 

花山葵のお浸し

飴源花山葵のお浸し

香りで春を感じさせる。

甘酢の塩梅も上品だ。

 

のびるのおひたしと手作りコンニャク

飴源のびると手作りコンニャク

これまた嬉しい組み合わせだ。

のびるは実に香りが良い!

コンニャクも瑞々しくて爽快!

 

 

シロウオの吸いもの

飴源シロウオの吸い物

スッキリした上品な出汁であるが、どことなく懐かしさもある。

シロウオの繊細な味わいに癒される。

 

シロウオのおどり食い

シロウオの漁は2月15日~4月15日までとのこと。

飴源シロウオ01

飴源さんは広大な水槽をお持ちなので、活け越しでご用意頂いた。

飴源シロウオ02

自家製の橙ポン酢とうずらの卵黄で頂く。

 

初めて頂くので、最初は少しひるむ。

なにせシロウオは活きが良いので、逃げようと必死だ。

口に運ぶと、まさに「躍る」。

トゥルンと滑らかな小魚が口の中で跳ねて踊る。

味わいの前に、この口当たりが楽しい。

噛み締めると、コリコリと食感が豊かで、甘みとホロ苦さが広がる。

シロウオの香りも爽やかに楽しめる。

飴源シロウオ03

味わいにおいても食感においても、間違い無く他の料理にない確かな魅力があると実感した。

最後まで器に残ったシロウオは特に活きが良いので、要注意だ。

 

鯉の洗い、山女魚の背ごし

飴源鯉の洗い山女魚の背ごし01

まず、中里太郎衛門の器に豪快且つ美しく盛り付けられた景色に魅了される。

飴源鯉の洗い山女魚の背ごし03

調味料も魅力的で、山菜酢味噌や自家製の柚子胡椒で頂く。

飴源山菜酢味噌

飴源柚子胡椒

鯉はもちろん臭みなど無く、旨味の強さに目をつぶりうっとりする。

飴源鯉の洗い

山女魚の背ごしとは珍しいが、鮎とは異なる妙がある。

飴源山女魚の背ごし

鮎よりも繊細な香りで、旨味があるのでアッサリし過ぎていない。

飴源鯉の洗い山女魚の背ごし02

自家農園の野菜がたっぷり盛り付けられ、どれも香りが強くて美味しい。

 

山女魚の塩焼き、山女魚の飴焼き

飴源山女魚の塩焼き山女魚の飴焼き01

鮎以外のシーズンは、山女魚が看板料理を支えてくれている。

海魚が美味しい土地だからこそ、川魚の異なる魅力を伝えてくれるのが、こちらの【飴焼き】だ。

飴源山女魚の塩焼き山女魚の飴焼き02

皮はパリッとしていて、身はホロホロ。

この絶妙な食感のコントラストに、初めて食べる人は驚くだろう。

皮目の焼きの香ばしさも加わり、秀逸な調理法だ。

【飴焼き】という名称と黒光りする見た目から強い甘みをイメージするかもしれないが、決して強すぎず、魚の味を活かしている点が秀逸である。

飴源山女魚の塩焼き山女魚の飴焼き02

サッパリした塩焼きとのコントラストのおかげで、印象が余計に深まる。

 

ツガニの姿煮

飴源ツガニの姿煮01

名物のツガニ。

味噌は上海蟹と同様に濃厚な味わいで、身も甘いので嬉しい。

飴源ツガニの姿煮02

一番リーズナブルなコースのカニでも意外に詰まっていて、食べごたえが抜群だ。

 

シロウオのかきあげ、摘草の天ぷら

飴源シロウオのかきあげ摘草の天ぷら

シロウオ以外の山菜は、タケノコ、雪の下、よもぎ。

薄衣でサクサクと軽やかに揚げている。

タケノコは香り良く、ホロ苦さが活きる。

シロウオは、ふわっサクッと揚げられていて、存在のはかなさを御料理で表現しているかのようだ。

 

ツガニの寄せ汁

飴源ツガニ寄せ汁

これは恐るべき旨味!

本当に驚くほどの旨味である。

ツガニをすり潰して汁に仕立てていて、記憶に残る逸品だ。

 

ツガニご飯、香の物

飴源ツガニご飯01

ご飯も抜群に旨い。

飴源ツガニご飯02

派手な見た目の土鍋ご飯が増えている世の中だが、無理していない確かな美味しさの炊き込みご飯の方が印象に残る。

飴源香の物

香の物も抜かりなし。

 

水菓子

飴源水菓子

メロンとは非常にクラシカルだが、甘みが強くてバッチリ美味しい。

 

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2016年7月に訪問した際の記事(鮎料理)

2016年7月に訪問して頂いた鮎料理の記事は、こちらです。

コースの価格は8,800円です(現在は9,300円)。

 

鮎の酢のもの

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酢の甘みは強めであるが、鮎の香りがふわっと香り、爽快。

あしらいのミズイモ(タイモ)もシャキシャキと良い歯応えで、夏らしい先付。

しかし、琉球料理の重要食材であるタイモ(たーむ)が食されているとは、興味深かった。

 

うるか

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叩いた長芋と合わせており、これもまた爽やかに頂ける。

 

青梅のシロップ漬け

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鼈(スッポン)のスープ

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鼈から濃厚な出汁が取られており、それでいて上品。

雑味が皆無で、力強い香りがあり、食欲が高まるスープ。

 

お造り

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鯉の洗いと鮎の背ごし。

魚だけでなく野菜も自家菜園で作っておられるとの事で多種多様。

ルッコラ、そうめん瓜(金糸瓜)、ミズイモ、紅芯大根、ピッコロ人参、蓼の葉、紫蘇の葉…

付け合せの味噌ドレッシングと柚子胡椒。

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鯉の洗い、鮎のせごし共に川魚特有の癖は無く、下処理と包丁に妙を感じる。

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鮎の魚体は大きくなさそうだが、刺し身であっても強い甘みを楽しめる。

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鯉も旨味が強く、骨の処理も良い。

薄切りによって鯉独特の食感を感じ易く、完成度の高い川魚のお造り。

 

ミズイモの胡麻和え

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前述のものとは異なる調理で良き箸休め。

 

鮎の塩焼き

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待ってました、と言うべき夏のメインディッシュ。

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口元は伝承の通り黄色い…かも。

かなりさっぱりした香りだが、旨味がしっかりある。

火入れも上々。

 

鮎の飴焼き

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泉屋でも記載した通り、僕は基本的にはシンプルな味付けの焼きものが好きだが、こちらの【飴焼き】は鮎を完全に活かしており、秀逸。

コクのあるタレを掛けてじっくりと焼く事で表面のみに味を付け、パリッと焼き上げている。

正に、「飴」焼き。

タレは苦味に加えて旨味が強いので女将さんに伺ったところ、継ぎ足しのタレに鮎の肝を混ぜているとの事であった。

鮎の肝の風味がタレによって浮き彫りにされており、鮎の魅力の一つである肝をダイレクトに感じさせる非常に秀逸な料理だと感じた。

 

鰻の焼きもの

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頭から尻尾まで付いており、嬉しい。

皮はカリカリ、身は軽やかに焼き上げた鰻。

適度にむちむちとした食感と、しっとりホロッとした食感を共に楽しめる。

タレは甘みがあるが嫌みになっておらず、こちらの焼き方に合っている。

聞けば鮎の飴焼き用のタレとの事で納得。

玉島川の鰻は初めてだが、強い旨味と上品な味わい、香りを持った鰻であった。

骨が全く当たらない点も素晴らしい。

 

ツガニ

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鋏脚が毛むくじゃらなのが特徴。

独特の香りと強い甘みを持っており、上海蟹と同様に内子に圧倒的な旨味がある。

外子も凄い!と感じたが、何よりも内子のコクに感銘を覚えた。

確かにファンが多い気持ちが分かる。

 

ツガニご飯

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ツガニの風味がバッチリで、味付けも良い。

上品な味付けに仕上げており、ツガニが活き活きしている。

 

ツガニの味噌汁

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こちらも凄い旨味!

ツガニの自然な甘みを活かす味噌の塩梅で、ご飯を共に無心で頂いてしまった。

 

香の物

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全て自家製で、ズイキの柴漬けが珍しい。

 

水菓子

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メロンが特に濃厚な味わいだった。

 

唐津焼のご紹介

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「飴源」のお店情報と予約方法

「飴源」さんの予約はお電話のみとなります。

シーズンは早めに予約するのがベターです。

 

川魚摘草料理 飴源(食べログのリンク)

店名:川魚摘草料理 飴源(かわざかなつみくさりょうり あめげん)

予算の目安:4,300円から細かく設定

TEL:0955-56-6926

住所:佐賀県唐津市浜玉町五反田1058-2

最寄駅:なし、車がベター

営業時間:11:00~21:00

定休日:第1、第3、第5火曜

※完全予約制です

 

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※日本料理編 No. 43に最新情報を加え大幅にリライトしました

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