こちらは過去に何回か伺い、以前記事を書きましたが、今回は一年ちょっと空けて再訪しました。
何度お伺いしても、駅からお店への道程には意外性を覚えます。
なお、お店は来年早々に改修される予定で、確か2月中は一時休業となるとの事でしたので、訪問される際はご注意ください。
シャリは前回伺った時よりも塩気が少しだけ穏やかになった印象。
ただ、手を加えられても、米酢を用いたシャリとしてはハイレヴェルです。
その後の再訪記事もございます。
鯛
明石産。
熟成は掛けておらず、一塩振り寝かせて、香りと甘みを引き出しております。
尚、使用している塩は、フランス・ゲランドのもの。
家で料理をされる方は分かるかと思いますが、滅法高い塩です。
鮑
蝦夷鮑。香りが非常に強く、旨味もしっかりある。
海胆
時季にしては珍しい二色食べ比べ。
勢子蟹
11月上旬の訪問でしたので、解禁後すぐに頂くことが出来ました。
鰹出汁が利いており、食欲を刺激する味付けです。
鰻
浜名湖産。一切れですが、脂がねっとりと絡み、香りは上品。
燻香を軽やかに纏わせております。
カワハギ
肝と醤油で漬けにした、魅力的な酒肴。
ガリ
墨烏賊
肉厚だが歯切れ良く、噛むと甘みが広がる。
鮪
白眉。この度頂いた【赤身】は掛け値無しに素晴らしく、こちらよりも上の価格帯のお店で頂いたものを超えておりました。
赤身だが旨味が極めて鮮烈で、酸味、香りが甘みに寄り添う。
シャリとの調和が完璧で、ほどけ加減も申し分なし。
小鰭
さっぱりしており、消えるかのような〆加減。
オボロを噛ましている点が、好みを分けるかもしれない。
(個人的に、この〆加減ならばオボロ=甘みは蛇足かと感じます)
赤貝
じゅわっと滲む粒子が細かく、中々のもの。
車海老
こちらの海老は「茹で上げ」ならぬ、「蒸し上げ」。
ご主人・相澤さんのスペシャリテとも言うべき仕事だと思いますが、今回はやや火入れが強かった。
「ミディアムレア」くらいに調整されても良いように感じます。
鰤
唯一の熟成種。
一週間熟成し、鰤の香りを封じ込め、旨味を強めております。
意図的に熟成に傾倒しないようにされているそうですが、正解だと思います。
こちらのシャリ、(他のタネの)仕事を考慮すると、熟成必ずしも真ならず。
熟成に飛びつき無条件で手を打ち喝采するは当世流の曲学阿世の徒哉。
いくら軍艦
穴子
玉子
芝海老を使用し、海老の香りを立てつつも嫌味の無い余韻。
ふんわり系だとかなり精度が高い玉子だと思います。
この度訪問して感銘を覚えたのは、何にも増して【鮪の赤身】でした。
ただ、それを差っ引いても、こちらのお店の満足度は高いと再認識しました。
雰囲気、ご主人の距離感なども含めて、(高級な)江戸前鮨が初めてな若い方でも楽しめることは確実です。
こちらで頂けば、江戸前鮨の魅力を知ることが出来るでしょう。
ただ、末永く繁栄されるためには改良点が無きにしも非ず…。
来年のリニューアルも控え、鮨ヲタから幾つか改良点を述べさせて頂くと、
1. 前述のとおり車海老の火入れを少し弱めると、スペシャリテとなり充実度が増す、
2. ガリが柔らかく甘みが強いが、こちらのシャリには甘みを除いて塩気を利かせたガリの方が相性が良い、
3. コースは10貫なので、干瓢巻(と望むらくは椀)を組み込まれると満足度が上がる、
4. 握りの技術は高いものの、捨てシャリは不要。是非とも癖にしないで欲しい、
といったところです。
本来は直接言うべきところなのですが、現場でお伝えする機を逸してしまい、このブログを読んで頂いていることは存じておりますので、応援の意味を込めて記載させて頂きます。
ここまでの握りを独学で編み出されたご主人だからこそ、更なる進化を遂げて独自の鮨を構築して欲しいと切に願っている次第です。
リニューアルにより、お店が更に繁栄されることを祈念しております。
尚、こちらはおまかせのみとなりますが、立地を考えると致し方なく、また内容を考慮すると満足度の高いものだと感じます。
店名:鮨おとわ
シャリの特徴:米酢のみで端正なキレ。硬めで、塩分が強い。特に鮪との相性が良好。
予算の目安:13,000円~
最寄駅:こどもの国駅から800m
TEL:045-961-1007
住所:神奈川県横浜市青葉区奈良3-11-1
営業時間:平日18:30~21:00、土日祝日17:00~19:30、21:00〜23:30、水金日祝12:00〜14:00
定休日:月曜、第3日曜
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