
こんにちは、日本酒ペアリング研究家の、すしログ(@sushilog01)です。
長らく訪問したかったモダンベトナミーズと日本酒をペアリングするレストラン、「Ăn Cơm(アンコム)」。
著名なソムリエである大越基裕さんのお店で、外苑前の「Ăn Đi(アンディ)」の支店です。
勉強のために訪問したところ、サプライズが多々あり、日本酒ペアリングの面白さを十分に実感しました。

日本酒はワインではカバーできない味覚をカバーして、独自のペアリングを行えることが分かります。
日本酒好き、エスニック料理好きな人はぜひとも訪問してみてください!

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「Ăn Cơm(アンコム)」の魅力については、「ベトナム料理×日本酒」という、他にないペアリングをご提供されているところです。
もちろん御料理自体も美味しく、洗練された味覚と独自性の高い着想に基づくモダンベトナミーズは、多くの人の舌を喜ばせます。

ただ、この度ペアリングをいただいて実感したのが、日本酒ペアリングは御料理の魅力も、お酒の魅力も高めてくれるのが素晴らしい!ということです。
ペアリングの理論は非常に重要かつ有効で、なんとなく合わせるよりも格段に美味しくなり、もはやマジックです。
理想的には、お酒を提供する場合に、お酒と料理の個々の味が分かれてしまう状態はよろしくないと実感することができました(あくまでも理想的には…)。

また、提供されるポーションが最適なところも美点です。ペアリングをいただいても食べ疲れないバランスのポーションと味覚はペアリングを実施する意義があると感じました。
「Ăn Cơm(アンコム)」の日本酒ペアリングは驚きと刺激に満ち溢れています。
この度頂いたコースは、コース6,000円+日本酒ペアリング(6種)5,000円です。
お酒の量は合計2合くらいとのことなので、少なすぎず多すぎず、程よい量だと感じました。

スパイシーなソーセージに菜の花のソテー。レモンの香りが爽やかでシューの香ばしさと合致する。なますの食感も楽しい。菜の花のホロ苦さが食欲を高めてくれて、これは美味しいアミューズだ。

余韻にアルコールの苦味ではなくベルガモットの香りを楽しませつつ、フレッシュなサラダとお酒のキレを合わせるペアリング。お酒の香りはふくよかで、お米の香り、粕汁、そしてベルガモットの苦味と香りが芳醇に高まる。特に、ドレッシングのリンゴ部分に強く調和する。果実的に加える発想でクラフトサケを使う発想は非常に面白い。
グリーンと完熟二種パパイヤ、酒粕とリンゴのドレッシング

鱈とオレンジを合わせる発想が面白い!鱈の香りの後にニョクマムの香りも広がる。ソースは芽キャベツ、長ネギ、ニンニクで作られていて、焼きレモンが爽やかなアクセント。

お酒は味が濃く苦味と長い余韻がある。料理と合わせることで、単体で飲むよりも甘味が料理に加わる方向性。そして、マスキング効果もあり、鱈特有の香りやニョクマムを流す。さらに焼きレモンがペアリングに酸を加えるため相乗効果もある。レモンの皮の苦味が雄町の苦味と合わさるところも面白い。また、冷菜に燗酒を合わせる発想も素敵だ。

浅蜊に、ココナッツミルク、百合根のフリット、白菜の漬け物。お酒のチョイスは花椒オイルを切るイメージとのこと。

浅蜊出汁がしっかり効いていて、まろやかな出汁的な旨味のスープ。発酵白菜の酸味と香りによるアクセントが魅力。コハク酸と乳酸の組み合わせは良い。お酒の甘味を同調させつつ苦味で切るペアリングである。また、前のものとは逆に、今度は温かいスープに冷酒を合わせ、温度変化でメリハリを与える。ただ、花椒の香りは極々弱く、これは掛け忘れではないか??と感じた。むしろディルの香りが優勢であった次第。これは妻も同感だったので、掛け忘れかと…。とは言え、美味しかった。

マンゴーとハリッサ、エゴマの葉で包む楽しさのある提供。お酒はかなり微細な発泡に生クリーム香からの強い酸味。ハリッサの辛味にお酒を合わせているそうである。

細やかなサクサク感からカキの香りがあふれ、エゴマの香ばしさとハーブの爽やかな香りが包む。お酒の酸味と発泡で味を切りつつ、酒の持つ甘味とうすにごりのクリーミーさを牡蠣に合わせる目論見であろう。

キウイとタマリンドのソース、キノコソテー、パパイヤのマリネと、トロピカルな構成。旨味が強い熟成させたお酒をご飯代わりに合わせるようなペアリングだ。


これは料理に酸味があっても負けない合わせ方。余韻は長いが、決して重たくはなく、五百万石の熟成は相性が良い。米の甘味や旨味と牛の油脂も相性が良い。相補的に味を高めるペアリングながら重たくならないのは、五百万石のお陰だと実感する。


黒龍酒造らしい香ばしい苦味に、燗で開いた甘味とじんわり広がる旨味を活かすペアリング。フォー自体も非常に美味しく、旨味がたっぷりで満足感が大きい。

そして、ハーブが多めなのも嬉しく、発酵ショウガのペーストも良い味チェン調味料だ。


香ばしく苦味のある美味しいプリンだ。
「Ăn Cơm(アンコム)」は、下記の食べログ経由でWEB予約が可能です。
店名:Ăn Cơm(アンコム)
予算の目安:コース6,000円+日本酒ペアリング(6種)5,000円など
TEL:050-5593-8435
住所:東京都渋谷区広尾5-4-16 EAT PLAY WORKS THE RESTAURANT 2F
最寄駅:広尾駅から100m
営業時間:11:30~14:30(L.O. 14:00)、17:30~23:00(L.O. 料理21:30)
定休日:月曜、火曜、祝後日
日本酒ペアリングのポテンシャルを実感する、すしログ(@sushilog01)でした。
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