約7か月ぶりに再訪しました。
前回は春らしい花山椒を駆使したコースでしたが、今回は冬めいた食材を中心に頂きました。
改めて感じたこちらの魅力は、ピンの産地の食材を豪快に頂ける点、に尽きると思います。
今回は強い味付けの料理が多い構成となりましたが、お酒と頂くには申し分無い酒肴が多かった。
今回書きながら、個人的にはもう少し穏やかな方が好みかな、と感じましたが、訪問の都度印象を変えると言うのは、素晴らしい事だとも思います。
(前回は出汁の取り方、構成などが自分にとって非常に印象深かった)
また、以前から格段に改良されたのが、鰻の焼きもの。
こちらの鰻は元々秀逸であり、ヘタな鰻専門店を凌ぐクオリティでしたが、ガス火から炭火へ変えられた事により、美味しさがアップ。
更に、前回(同年4月)伺った時よりも炭火を駆使されており、火入れと炭の香りの使い方が随分と向上しておりました。
酔っぱらいセイコガニ
香住のセイコガニを用いた酔蟹。
紹興酒に加えて萬膳(芋焼酎)を使用し、薬味は実山椒、ネギ、生姜。
紹興酒がバシッと利いており、食べにくいが美味しい。
一品目から随分とマニアックな料理でスタート。
松葉蟹の蟹味噌和え
こちらも香住産。
繊維がしっかりと食感あり、加えて甘みも十分。
個人的には酔っぱらいセイコガニよりも好みであった。
松葉蟹の甲羅酒
殻を炙り、香ばしさを引き出している。
蟹の甲羅の内側は旨味の宝庫なので、余すところ無く楽しめる。
味噌はトロトロと溶け、ある種茶碗蒸し的な趣がある。
釧路産牡蠣と能登産青ナマコ
番茶を用いて茶ぶりしたナマコは実に滑らかな食感。
牡蠣はそれ自体が非常に甘くミルキーだが、ナマコに牡蠣の風味が移っている点が魅力を更に高めている。
トコブシと聖護院蕪
山口産。両素材を柔らかく炊いており、美味しいが蕪の温度が低い点が少々ネック。
伊勢海老の玉子焼き
鳥羽産の伊勢海老を用いた贅沢な玉子焼き。
通常は芝海老を用いるため、原価が圧倒的に違う。
小宮さんも「一度やってみたかった」との事で、遊び心抜群。
砂糖をやや強めに利かせ、芋は少な目でスフレ的な食感。
鰤の藁焼き
氷見産、激厚!
圧倒的な脂の旨味の鰤を藁で炙る事により、旨味が活性化し、中心部の温度も高すぎず良好。
強い燻香とニンニクの風味が雄々しいが、むしろ食味を高めている。
お造り
明石産の鮃、釧路産のバフン海胆。
肉厚で大胆な切りつけで、共に旨味が突き抜ける。
穴子の肝、鮟肝
穴子は対馬産、鮟鱇は余市産。
鮟肝は超トロトロで甘く旨い。
穴子の肝は対照的に苦味があるため、良い相性。
海老芋と唐墨
ほっこりと甘い海老芋に唐墨をたっぷりと。
椀もの
椀種はグジ(甘鯛)、山口長門の名残の松茸も使用。
吸い地は柔らかでありながらしっかりした旨味で、塩気は穏やか。
鰻丼
1.7kg、児島湾産。
とにかく炭火の威力を痛感。
鰻のクオリティも良いが、焼き方が良く、身はぷりぷり且つしっとりに、皮はパリパリに、皮目をねっとりと仕上げ。
この後、握りに移行します。
今回は赤酢を強めに用いており、硬めの炊き加減。
前よりも更にトレンドに近いシャリとなっていた。
鮪脳天
対馬産。程良い甘み。
白海老
甘みがしっかりしており、白海老の香りも楽しめる。
墨烏賊
小柴産。ねっとり感とぱっつり感が共存し、胡麻がアクセント。
鮃
青森産、昆布〆。かなりしっかりと昆布の香りと旨味を付けている。
濃厚でねっとりした食感の〆加減。
小鰭
小柴産。これもかなりしっかりな〆加減。香りを強く残している。
筋子の西京漬
岩手産。西京漬にする事によって濃縮された筋子。
鮃の潮汁
真昆布を用い、鮃の圧倒的な旨味を楽しませる。
鮪大トロ
ミンククジラの鹿子
ぷりぷりで脂たっぷり。これは「鮨店」では頂けないトリッキー且つ上質なタネ。
鯖
岩手・宮古産。これは小鰭とは逆に、浅い〆加減。
鯖のぷりっとした食感を味わわせる仕事。
鮪中トロ
生雲子丼
羅臼産。否応無しに美味い〆。
水もの
愛媛産紅マドンナ、紀ノ川柿黒あま、山形産ラ・フランス。
黒あまは非常に強い強い甘み、ラ・フランスかとてもかぐわしく、小宮さんの果物愛を痛感する。
本当に、いつ来ても果物が美味しい。
こちらは、訪問一回で判断するよりも、何回か伺った方が魅力が分かります。
食材の仕入れが独特なので、出会える食材によって印象が変わる事は間違い無いので。
店名:おすもじ処 うを徳(おすもじどころ うをとく)
シャリの特徴:改良を重ねておられ、赤酢をやや強めに使用し、硬さのあるシャリ。
予算の目安:15,000円~20,000円
最寄駅:東向島駅から170m
TEL:03-3613-1793
住所:東京都墨田区東向島4-24-26
営業時間:17:30~22:00
定休日:月曜
本記事のリンクには広告がふくまれています。