江戸前鮨=握り鮨以外に関西鮓や郷土寿司も大好きな、すしログ(@sushilog01)です。
今年はコロナで半ば外出禁止に近い状態に陥った5月前後は、鮨を食べられないのでお取り寄せ出来る郷土寿司を手配しました。
今回ご紹介するのは、長らく頂いてみたかった秋田県の郷土寿司・郷土料理である【鰰寿司】です。
【鰰寿司】はお米と麹を使った発酵寿司・発酵料理となるので「渋い」と思われる方も多いでしょうが、これが案外現代でもバッチリ美味しい。
特に三浦米太郎商店さんのは絶品です。
すしログ
秋田の郷土料理・鰰(ハタハタ)寿司とは?
【鰰寿司】は飯寿司の系統にあるスシです。
飯寿司とは、お米だけでなく麹や野菜と共に漬け込むスシです。
しかし、ナレズシのように強い発酵を伴わないので、味わいや香りとしては上品です。
完成度の高い飯寿司はサラダ的、香の物的に頂くことが出来るスシだと思います。
北陸、東北、北海道によく見られ、以前ご紹介した四十萬谷本舗さんの【かぶら寿し】も飯寿司になります。
【鰰寿司】は名前の通り、ハタハタとお米、麹を漬けたスシですね。
さて、皆さん、そもそもハタハタについてはどれくらいご存知でしょうか?
産地でなければ「干物」のイメージくらいしかないかもしれません。
ただ、産地の秋田県においては「ハタハタが無いと正月が迎えられない」と言われるほど愛されてきました。
その理由は、名前の漢字が示唆しています。
「魚」へんに「神」で「鰰」。
これはハタハタが正月前に大群で押し寄せてくることから「神からの恵みの魚」とみなされてきたことにちなみ、敬愛を持って付けられた名前です。
秋田での漁期は11月後半から12月と短い。
なので、短い漁期を最大限活かすために魚醤の【しょっつる】や【鰰寿司】が編み出されたのだと思います。
そして、鰰寿司の作り方は、ざっくり言うと下記の通りです。
- ハタハタをさばき、水に半日漬けてぬめりを取る
- ハタハタを桶に入れて10%の塩をまぶし、重石をして1晩置く
- 上がってきた水を切って、五倍酢に1晩~1日漬ける
- 米を炊き、炊き立てご飯に麹を合わせ、塩と味醂を混ぜる
- 桶に笹の葉を敷いてご飯を乗せ、その上にハタハタ、その上に千切りにした人参と生姜を乗せ、それを3層くらい重ねる
- 重石を乗せて2~3週間発酵させて完成
家庭で作るとなると、握り鮨よりも手間ひまがかかるスシですね。
秋田県にかほ市の老舗・三浦米太郎商店とは?
1910年(明治43年)創業で、もともとは1864年(元治元年)から漁業を行っていたそうです。
よって、当代の社長は何と13代目。
郷土寿司と言う渋いジャンルでよくぞ続いてこられたと感じます。
だからこそ、自分は応援したくなります。
三浦米太郎商店さんは製法にもこだわっており、戦前まで遡る昔ながらの作り方を守っています。
現在は麹を用いず砂糖で甘みを出す(つまり発酵の甘みよりも味付けの甘みを優先する)ことも多いそうですが、味本位の少量生産で、伝統的な味を生み出しています。
それでいて美味しいのが素晴らしい。
前述の製法とは異なるので、簡潔にご紹介したいと思います。
- 秋田県にかほ市平沢漁港から仕入れたハタハタの洗浄
- 粗塩でもみ、三日間塩漬けにする
- 酢と水の漬け込み汁で三日三晩漬け込む
- 重しをしてさらに丸一日冷蔵室へ
- 殺菌作用のあるクマザサを敷き、材料をよく混ぜ合わせ冷蔵室で1ヶ月間発酵させる
職人技が継承されており、臭みは皆無で旨味が引き出された【鰰寿司】です。
絶品!三浦米太郎商店の【鰰寿司】
原材料は非常に真面目で、化学的な調味料を使用していません。
秋田県産のハタハタ、秋田県産米、米麹、人参、食塩、砂糖、味醂、醸造酢、酒、ふのり(紫のり)、柚子。
笹を開けると柚子の香りがふわっと広がり、クセは無く、むしろ良い香りです。
一切れ頂いてみると、ハタハタのむぎゅっとした食感が小気味良く、旨味と香りが押し寄せてきます。
そして、米麹の甘みが印象的!
ハタハタとお米と米麹を一緒に頂くと、複雑な味わいに魅了されることは必至です。
噛み締めても柚子の香りが爽快で、さらにふのりの食感がアクセントになります。
飯寿司には色々なものがありますが、中でも特に美味しいのが三浦米太郎商店の【鰰寿司】だと感じました。
発酵食品がお好きな方と日本酒がお好きな方にオススメします。
河北新報の報道によると、2020年は海水温の影響で前年1割程度の漁獲量とのこと。
気候変動は悩ましい問題ですが、今後もずっと残り続けて欲しい郷土寿司です。
三浦米太郎商店の【鰰寿司】の入手方法
各種ネットショッピングで入手可能です。
Yahooショッピングの店舗がオフィシャルショップとの事です。
また、ふるさと納税の返礼品としても入手可能です。
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